31,ローインズ邸に泊まろう!
「当主様、ローインズ伯爵がエルメント辺境伯家の滞在を許可なさいました。」
しばらくして、イスハール団長が帰ってきた。
「ご苦労。」
まあ、許可するよね。派閥が違う訳でもないし、辺境伯の方が伯爵よりも位が上だしね。
派閥といえば、クロシアム王国には大きく分けて4つの派閥がある。
一、国王派(国王万歳)
ニ、庶民派(庶民大好き)
三、貴族派(俺達一番)
四、平等派(皆で仲良く)
エルメント家は、中立と思わせつつ庶民派だよ。俺も前世は庶民だし、庶民派万歳かな。
ちなみに、派閥の力関係は、
貴族派>国王派>庶民派>平等派
なんだって。
そんな事を考えているうちに、ローインズ邸に着いた。
「エルメント辺境伯、良くぞお越しくださいました。」
ローインズ伯爵自らが出迎えてくれた。
まだ若そうなのに杖をついているけど、何かあったのかな?
「さ、皆様お疲れでしょうから早くお部屋にご案内して。」
そう、近くに控えていたメイドに言うと、ゆっくりと向きを変え、しっかりとした足(杖?)取りで自室に戻って行った。
「ふぅ。馬車って、お尻が痛くなるんだよね。揺れるし。俺、酔いやすいし。」
やっと一人になれたぁ!
案内された部屋は、俺の自室よりは小さいけど、前世の部屋に比べたら十分広い。っていうか、めっちゃ広い。
まあ、それは置いておいて、俺は試したい事があるんだよ!
あれは、裏庭を散歩していたときだった。
父さんの剣術を見に行こうかと思って、すぐ近くの練兵場方向に向きを変えたら、案外近くに父さんを見つけた。休憩中のようだから、声を掛けようかと思って、近寄ったら、ブツブツと呟いている声を聞いたんだよ!
『ステータス!』
ラノベに良くある、あの【ステータス】という言葉を聞いてしまったんだよ! 聞き間違いかと思って、しばらく隠れて覗いていたら、
「はぁ。今日も体力は上がらなかったか……。」
こんな声を聞いちゃったんだよ! もう、聞き間違いとは思わなかったね。
この世界に転生してから、ステータスという言葉を聞いて、滅茶苦茶興奮したんだよ。そしたら、
……俺も自分のステータスが見たくなった。
それから、自室に籠もって考えたんだよ。
『ステータス』は、呪文だったのか。
闇、火、水、風、土、光のどの属性にも『ステータス』は含まれていないような気がしたから悩んでいたんだよね。
そこで俺は思い出したよ!
セルフィア・バーネットさんが書いた『魔法の知識 ~基礎・導入編~』の内容を!
魔法の属性は、闇、火、水、風、土、光だけではないことに!
属性が混ざった混合属性があることに!
それで、とりあえず『ステータス』は魔法であると仮定して『ステータス』を見ようとしたんだけど、問題が発生したんだよ。
……俺は魔法を行使できない。
あの時の絶望といったら……
でも、今はラズリからの制約が緩まったから、生活魔法なら行使できる!
……『ステータス』が生活魔法なのかという問題は置いておいて。
父さんはあのとき『ステータス』としか言っていなかったから…『ステータス』と言えば良いのかな?
単語が無いけど……?
まあ、物は試し!
『ステータス!』
やっと、ステータスを出せた〜
エルメント邸の設計図の件ですが、今めっちゃ忙しいので、1ヶ月ほどお待ち下さい。
次の投稿は9月25日です。




