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第1話 前世と今世の記憶

4月29日 編集致しました

 中には、絵が描いてあった。


 汚い字で。


 絵の上には数字が必ず書いてあった。


 殴り書きで。



 最初のページには、


 5.5.


 の数字の下に、これは…この手帳っぽい物と棒人間、白い楕円形(だえんけい)の上に赤い丸が5つある絵が描いてあった。



 次のページには、


 5.6.


 の数字の下に、またこの手帳っぽい物と…髪の毛の様なものが頭から生えた棒人間が二人居る絵が描いてあった。



 そのまた次のページを見ると、


 5.7.


 の数字の下に、『レオン』の殴り書きの文字と共に綺麗な字で『大変良くできました』と、()()()で書いてあった。



 そこでふと思った。


『なんか、体が軽くないか?』


 そこで気付いた。手が小さいことに。


 手だけじゃなく、体が全体的に小さくなっていた。


 はぁ!?


 机の上に置いてあった手鏡で自分の姿を見てみると、黒目黒髪で、白…というか、青白い肌を持つ男の子がそこには居た。

 この部屋には、俺しかいない


 ……これが俺?


 ……ひとまず落ち着こう。


 ……冷静に冷静に。


 ……俺にはできる。


 ……いくら自分の体が小さくなっているからといって……






 ・・・・・・。






「できるかぁ!?」




 …あまりのショックで俺は気を失って倒れた。




◇◇




 はいはい、皆さんこんにちは。


 レオンでーす。


 ……すみません。現実逃避してました。


 どうやら今俺は(めい)(せき)()を見ているようです……多分。


 目の前に、でっかいスクリーンみたいなのがあって、それに、さっき手鏡で見た小さくなった俺が映っている。


 そして、なぜか手に封筒を持っていた。


 とりあえず開けてみる。


 何々、


『レオンヘ


 異世界でも頑張ってね〜!


 そんな君にプレゼント!


 ジャジャーン。


 なんとなんとなんとなんと、君が前世の記憶を思い出す前のレオンについて、分かりやすく動画にまとめといたよ〜!

 君は、封印されていた前世の記憶を蘇らせた影響で、今までの今世の記憶を綺麗サッパリ忘れてるから、これで学んでね!


 動画は、目の前のスクリーンから見てね〜!



 それじゃ、バイバイ!!


 ラズリより』



「はへぇ?」


 …ごめん、変な声出た。



 ・・・・・・。



 …開いた口が閉まらない。


 まあ、とりあえず気を取り直して、手紙の中の重要単語を確認。


 ・異世界

 ・レオン

 ・ラズリ



一つずつ考察していく。



 異世界()()ということは、目を覚ました場所は、地球とは違う、異世界である。



 ・・・・・・。



 薄々そんな予感はしていた。


 友人に見せてもらっていた、ラノベ小説でも、転生や、転移という内容がよく書かれていた。

 体が小さくなっていたし、転移という可能性は、低いだろう。しかし、前世での俺の最後の記憶……トラックと轟音と衝撃……この3つの要素を考えると、転生である可能性が一番大きい。



 次に、レオンについて。目を覚ます前に、不思議な夢を見ていた気がする。確か、前世の母さんが出てきて、前世の名前を忘れてしまったという内容だった。


 前世の名前は、今でも思い出せないけど、きっと俺は、これからレオンとして生きて行くのだろう。


 前世の世界に戻りたいし、欲を言うなら、もう一度○○ ○○として生きたい。大学受験したんだから、大学(アオハル)生活したい!


 ……でも、多分無理だろう。


 ラノベ小説でも、転移または転生から元の世界に帰還できた話は少なかった。


 ここはあくまでも現実世界(リアル)で、ラノベ小説の世界とは違う可能性も高いが、なんとなく、帰還できない予感がする。…勘だけど。



 ・・・・・・。



 ……どうせ現時点で帰還できる方法がないなら、異世界でも、自由に楽しく生活してやろうじゃないか!!!



 そして、最後にラズリについて。


 この手紙を書いたということは、少なくても俺を(多分)転生を知る人物(人なのかも分からないが)である可能性が高い。


 現時点でラズリから得られる内容はそれぐらいなので、一旦保留にしておく。


「手紙から得られる内容は、これくらいかな?」


 次に、俺が転生した記憶を思い出すまでのレオンについてまとめた動画を見てみよう。


 っと、その前に、忘れてたポイント発見!

 あんまりこれからの生活には関係なさそうだけど、一応。


 俺の前世の記憶は『封印』されていたそうだ。誰が、何のために?


 まあでも、それが分かったって、そこまで重要ではない気がする。…これも勘だけど。



 で、動画、動画。


 スクリーンはあるけど、再生する方法が分からない……


 スイッチなんてないし……


 こういう時は……



 ・・・・・・。



「動画よ、再生し〜ろ〜」



 とりあえず念じてみる。


 念力というやつだ。


『それじゃ、動画、スタ〜ト〜。』


 なんか、上から女性の声が聞こえたぞ。


 って、いうか、待て。


「念力で再生するんかい!! 」



 失礼。取り乱した。


 で、動画をみる。


   ・


   ・


   ・


   ・


   ・


   ・


 見ること体内時計で1時間。


 内容をまとめると、


 ・俺の今世の本名はレオン・フォン・エルメント。エルメント辺境伯家の長男で、一人っ子。


 ・アリアーヌさんは、俺のこの世界での生母で、本名は、アリアーヌ・フォン・エルメント。エルメント辺境伯の正妻で、エルメント辺境伯夫人と呼ばれている。


・俺は今3歳。ピチピチの幼児である。


 ・メリルは、俺付きのメイド(教育係)


 ・俺は、原因は不明だが、何かしらの熱病にかかり、高熱が出ていたところで前世の記憶を思い出した。


 ・手帳に書いてあった内容は、最初のページは、


  5.5.←日付

  この手帳っぽい物←この手帳

  棒人間←レオン(自分)

  白い楕円形だえんけいの上に赤い丸が5つある

  絵←誕生日ケーキ


  どうやら、5月5日が俺のこの世界の誕生日の様

  だ。

  この年の誕生日プレゼントは、この手帳だった

  ようだ。


  次のページは、


  5.6.←日付

  この手帳っぽい物←この手帳

  髪の毛の様なものが頭から生えた棒人間が二人

  居る絵←俺の母であるアリアーヌさんと、俺。


  映像によると、俺は、この手帳を日記として使

  っていたらしい。まだ文字が書けないので、絵

  日記だか。棒人間に髪のモドキが生えた

  のは、初めて書いた(絵)日記を、アリアーヌ

  さん(母)に見せたところ、褒められたと共に、

  髪の毛を描くことを勧められたから。


  そのまた次のページは、


  5.7.←日付


  『レオン』の殴り書きの文字←初めて書いた文

  字。3歳児が文字を書いたから、汚い字になっ

  た。

  綺麗な字で『大変良くできました』と、

  ()()()で書いてあった。←メリル(教育係)の字。

  この国の文字は、日本語らしい。


  正直言って、前世で言語系の科目は苦手だっ

  たから、助かった。新しい言語を覚えるなん

  て、絶対に無理。


 とまあ、こんな感じだった。まだ異世界に来てしまったという実感はわかないが、異世界といったら定番のアレは有るのだろうか?




 魔法!!




 スキル!!




 冒険者ギルド!!




 前世でラノベ小説を読んだときに、何回憧れたことだろうか!


 あんなふうに、俺も冒険したい!


 早く明晰夢から目覚めて、魔法が有るのか聞かなければ!




 ・・・・・・。




 …どうやって、夢から覚めればいいのだろうか?


 …うーむ。


 とりあえず、アレやってみる?



「夢から覚め〜ろ〜」




 …定番の念力だ。




『オーケー、了解! 夢状態解除 ! 』


 目の前がぼやけてきた。


 霞が掛かったみたいだ。


 また、あの女の人の声だったな。



 って、まてまて。


 やっぱり念力なんかい!!




◇◇




目を開けると、目の前に美少女がいた。


「メリル?」


「レオン様、お目覚めになられたのですね。すぐにお飲み物をお持ちいたします。アルフレッド様も、アリアーヌ様もご心配なさっていましたよ。そして……先程はお見苦しいお姿をお見せしてしまい、大変申し訳ございませんでした」


 アルフレッド様というのは、俺の父だ。エルメント辺境伯と呼ばれている。(By夢)


「急にお倒れになられて、また、あの熱病が再発したのかと、使用人一同、とても心配しておりました」


「しんぱいさせて、ごめんね、メリル。」


 やっぱり、舌がまわらない。熱病から回復したときもそうだったな。


 そういえば、メリルは俺がメリルのことを忘れて、気絶してたな。


 今も落ち込んでいるのかな?


 ちらりと、メリルを覗き見する。


 ……メリルの顔に、表情は浮かんでいない。


 それが逆に、少し不気味で怖かった。


「ねぇ、メリル、またあたらしいじをおしえて。つぎは、おかあさまの、アリアーヌがかきたいな」



 これで、メリルの事を思い出したというふうに受け取ってくれるはずだ。


「レ、レオン様、私めのことを思い出されたのですか?」


 案の定、メリルはその様に受け取ってくれたようだ。


「うん! おかあさまのことも、おとうさまのことも、メリルたちのこともおもいだしたよ」


「レオン様、よろしゅうございました。『レオン様が私めのことを忘れてしまっても、また思い出をつくれば良い』と、自分に言い聞かせておりましたが、今までの思い出と共に新たな思い出をつくることができるとは、メリルは嬉しくて、嬉しくて……」


 あーあ、また泣いちゃった。

 でも、嬉し泣きだから、いっか。


「……ではレオン様、私めはご当主様にレオン様がお目覚めになられたことをお伝えしてきますので、何かあれば、ベルを鳴らしてくださいね」


「うん、またね」


 扉を静かに閉めて、メリルは部屋から出ていった。



 ……ふぅ。


 ちょっとひと息。


 とりあえず、現状は大体分かった。……受け入れたくは無いけど。


 ……で、さっきからずーと思っている事がある。


 背中に何かがある気がするんだよね。


 厚みは無いんだけどさ、なーんとなく嫌な予感がするんだよねぇ。


 見たくないけど、見なきゃダメかな?


 なんか、今、女の人の声で、


「見ろー見ろー」


 っていうのが聞こえた気がする。幻聴か……熱病から回復したばっかりだし、疲れてるのかな?


 背中に手をまわして、その『何か』を取る。


 明晰夢(?)で見たのと同じ封筒だ。


 レオンヘ


 の文字と、


 ラズリより


 の字が書いてあった。


 ……もうホント、ラズリって誰? 夢にも出てくるし……


ホント、迷惑!!

活動報告の方も見て頂ければ幸いです。

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