26,スキルを明かそう!
「レオン、何のスキルを貰ったの?」
馬車の中でお留守番だったアリアーヌ母さんが尋ねてきた。
「アリア、私と貴女の息子だ。良いスキルに決まっている。」
「そうね。早く教えてほしいわ!」
言い出しにくい……
俺の固有スキル【努力】の効果を俺は知らないが、制約の件を考えると、良くないスキルなのだろう。
はぁ……
「レオン、この指輪を着けてごらん。これは『スキル確認の指輪』といって、特別な素材からできているんだ。着けると、指輪の上に文字が浮き出てくるから、それが【固有スキル】の名前だよ。この指輪は1回指に着けると消えてしまう、マジック・アイテムなんだ。」
マジック・アイテム?
本で読んだ、魔道具とは違うのかな?
まあ良いや。
本当は自分のスキル、知ってるんだけどなぁ。
皆あの声が聞こえなかったっぽいし。
着ける演出でも、しておいた方が良いかな?
「レオン、早く早く!」
はぁ。
『【努力】?』
そりゃ、こういう反応になりますよね。
制約から考えると、良いスキルではないしね……
父さんと母さんの顔を見るのが怖い……
今でも耳にこびりつく声。
「華さんは、こんな物、中学校に上がる前に出来ていたらしいのに、こんな物もできんとは。」
「洋介さんは、こんな問題、一発で解けるのに、間違えるとは。」
「可哀想に。こんな子供を持って。」
俺だって努力したもん。
頑張ったもん。
でも、できなかった。
解けなかった。
……努力は、報われなかった。
アルフレッド父さんと、アリアーヌ母さんは、なんて言うだろうか?
「こんなスキルを貰って……」
……一族の恥だ?
「一族の………………誇りだ!」
……え?
「このスキル、努力が必ず報われるスキルだ! 私たちのように、ステータスアップ系統のスキルではないから、世間一般では決して良いスキルではないが、エルメント家にとって、レオンにとって、とても良いスキルだ!」
……は?
「エルメント家は、日々の努力が大切だという家訓がある。そんなエルメント家に生まれたのが、レオン、お前だ。この半年間の稽古で、お前が努力家なのが、よく分かった。そんなお前が、このスキルを手に入れるとは! 良くやった!」
「レオン、決して、私たちのように、世間一般で良いスキルだと言われているスキルが、良いスキルとは限らないのよ。その人の特徴に合ったスキルであることが、本当に良いスキルを貰った、ということなのよ。」
「レオン、お前は決して、天才とは言えない。剣をやっても、座学をしても、全てにおいて、凡人の才能だ。でも、お前は、全てにおいて、努力を怠らない。これがお前の特徴だ。」
「レオン、1回で出来なくても良いわ。1回で正解しなくても良いわ。でも、努力を怠らないで。あなたはできる子よ。あなたは頑張れる子よ。だから、一人で頑張らなくて良いわ。」
……母さん、もしかして、知っていたの?
今世も失望されたくなくて、剣の稽古の後に、眠ったフリをして、図書室で勉強していたのを。
まだ日が出ていない頃、裏庭で剣の素振りをしていたのを。
「レオン、お前は凄い子だ。」
……前世を含めて、初めて家族に褒められた。
……こんな、俺でも愛してくれる?
「レオン、私たちの宝物。愛しているわ。」
「うわぁぁぁーーーーーーーー!」
今だけで良い。
今だけで良いから、泣かせてください。
あなた達の膝元で。
このぬくもりを。
この優しさを。
忘れないうちに。
物語の修整!
ちなみにラズリは、
『俺は、そもそも迷子にならずに、無事に母さんの部屋に行けた』
という様に皆の記憶を書き換えた様だった。
迷子の称号が外れて良かった(のかな?)
を、
ちなみにラズリは、
『侵入者は、持病が悪化して倒れ、レオンは解放された』
という様に皆の記憶を書き換えた様だった。
かなり無理があると思うんだけどなぁー
に、変更しました!
矛盾に気付きまして……
でん助さんの感想のおかげです!
ありがとうございます!
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次の投稿は、9月9日です。




