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第0話 プロローグ

4月29日 編集致しました。


  かつて【英雄】と呼ばれた男がいた。


  その存在は、伝説とさえ言われていた。


  彼の名は、シルバート・ウィル・クロシアム。


  クロシアム王国の初代国王である。


  彼は邪神ネセウスの右腕である魔王クラッシュ


  ラを倒し、人間を邪神の支配から開放した。今


  から約2000年前の出来事である。


  その後、共に魔王と戦った、大聖女レイチェル


  と結婚し、その子孫がクロシアム王国の王族で


  ある。




          <クロシアム王国建国記>より


  ―――――――――――――――――――――




「レオン様、本日は何を読まれていたのですか?」




「『クロシアム王国建国記』だよ、メリル。初代国王様はね、魔王を倒した英雄なんだって。いつか、俺も【英雄】と呼ばれるような人になりたいな」




 俺、ことレオンは現在、俺付きのメイド、メリルと話している。ちなみに俺の本名は、レオン・フォン・エルメント。エルメント辺境伯家の長男である。そして、墓場まで持って行くつもりの大きな秘密を抱えている。俺には、前世の記憶があるのだ。地球という星の、日本という国で育った記憶が。


 俺は前世で、父は弁護士、母は医者という、エリートの家系で育った。勉強はあまり好きではなかったが、学校の成績が上位だった自信はある。自信過剰な奴めと、思うかもしれないが事実だ。顔も上の中ぐらいだった自覚がある。皆は、




「人生勝ち組じゃん」




 とか、




「ずるい」




とか言っていたけど、俺自身はそうは思わなかった。


 俺は漫画を読んだり、ゲームをしたりする事がほとんど無かった。


 何故ほとんど無かったのかというと、父も母も漫画を読んだり、ゲームをしたりすることを許してくれなかったからだ。だから、親友の家に遊びに行ったときにこっそりとラノベ小説を読むのが楽しみだった。

 父と母は厳しかったけど、親友とはメッチャ仲が良かったし、人生にはそれなりに満足していた。そして、これからの人生に夢を描いていた。




 なのに。




 俺は。




 一流大学に現役で合格するために、死にものぐるいで勉強して、両親からの微量の期待を背負い、受験した帰りに居眠り運転をしていたトラックにひかれて、呆気なくこの世を去った。



 本当に、本当に一瞬の出来事だった。

自分が思っていたよりもテスト問題が簡単だったから、朝よりも軽い足取りで家に帰っている最中のことだった。歩道で信号待ちをしていた俺を、鼓膜が破れそうなぐらいの轟音と共に、強い衝撃が襲った。それから先のことは、覚えていない。痛みも、恐怖も感じなかった。今考えてみると、きっとあの時は即死だったのだろう。それが、不幸中の幸いだった。まあ、不幸の方が何百倍も大きいのだが。


 現在、俺は5歳だが、前世の記憶を取り戻したのは、3歳の時だった。

その時のことを、少しの間、振り返ってみようと思う。





◇◇





 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い


 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い


 苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい


 苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい




 突如として高熱にみまわれた俺は、熱いということと、苦しいということしか考えられなかった。


 連絡を受けて、神殿から急遽駆けつけた神官と、領内随一の腕を持つ医者からも、




「回復させる方法がない」



「原因がわからない」




 と言われた。


 あまりの熱さに失神することもできず、ただただ、苦しみだけが俺の体を駆け巡った。


 体力は既に付きかけており、3歳児ではあるものの、なんとなく自分は死ぬんだと思ったときだった。




 前世の記憶を思い出したのだ。




 その瞬間、俺の体の中に封印されていた『何か』の封印が弾け飛び、訳もわからぬまま、俺の意識が吹き飛んだ。





◇◇





「・・・・・・ン」














「・・・・・オン」














「・・・・レオン」










 ……なんだよ、うるさいな……












「ほら、起きて。レオン」






 ……もう少しだけ、寝かせて……






「ほら、そんなこと言ってないで」






……うん、おはよう……






「今日の朝食は、トーストに、ゆで卵、それから……」






 ……顔、洗ってくるね……






 いつもと変わらない日常。






 まず、洗面台で顔を洗う。






 次に、鏡を見ながら、髪の毛を整える。


 相変わらず凄い寝癖だ。






 それが終わったら、朝食を食べて、


 それから……








 ・・・・・・。








 ・・・待って。






 ここは、地球の、日本という国。


 俺の名前は、レオン。






 ……違う。






 それは、俺のもう一つの名前。


 地球とは違う世界での名前。






 ……違う世界……?






 ……さっきから俺は何を言っているんだろう……






 なんとなく、モヤモヤする。


 理解している自分と、理解できていない自分がいる気がする。


 自分が二人いる訳ないのに。






 ……でも、一つだけ、これだけは確実に言える。






 俺は持っていたはずだ。


 日本という国で両親から付けてもらった、カッコいい名前が。両親から付けてもらった、素敵な意味を持つ漢字が。






 ・・・・・・。






 ……思い出せない。






 ……俺の名前は、レオンと、それから、○○ ○○だ。






「レオン、いつまで顔を洗っているの」






 ……ごめん、母さん……






 母さんなら知っているかな?






 俺の名前を。






 ……ところでさ、俺のもう一つの名前って、なんだっけ……






「レオン、もう忘れてしまったの?」




 いつも通り、慈愛に満ちた笑顔で俺に微笑みかける母さん。






 ガシャン。


 パリン。






 何の音?






 ガシャン。






 足元から聞こえる。




























パリン…










ガシャン












パリパリパリパリ
































 少しづつ床に穴が空いてきている!?












 ……床が崩れていく……






「困った子ね。もう、忘れないようにするのよ」






 ……母さん、床が!?






「あなたの名前はね……」






 パリン。


 ガシャン。


 パリパリパリパリ。






 ……母さん、今何て言ったの……?






 ……母さん!!!!!……



「母さん!!!!!」


そこで、目が覚めた。

なんか凄く、頭が痛い。


「あぁ、レオン、よかった。本当によかった。気がついたのね」


「レオン様がお目覚めになられたぞ」


「あの熱病から回復するだなんて」


「奇跡の子だ」


 あれ、ここはどこだっけ? ついさっきまで、母さんと話していたのに。



「レオン様、私めのことが、わかりますか?」



 いつの間にか目の前に、茶髪の見た感じ16歳ぐらいの美少女がいた。見たことあるような、ないような……?



「え、えっと、だあれ?」


 なんか、舌がまわらない。


「レ、レオン様!?」


 目の前の美少女がいきなり泣き始めた。


「メ、メリルです。……レオン様が赤子の頃からお世話をして参りました。 ………まさか、覚えていないなんてことは有りませんよね?」


 メリル?


 なんか聞いたことがあるようなないような??


 首をかしげる俺に気付いたのか、目の前の美少女…メリルが白目を剥いて気絶してしまった。




 ・・・・・・。





 なんか、ごめん?





 次に、最初に『あぁ、レオン、よかった。本当によかった。気がついたのね。』と言った美女さんが、


「……レ、レオン、わたくしのことは覚えているわよね?」


 と言ってきた。こちらもまた、見たことあるような、ないような…?


「・・・・・・。」


 沈黙を保つ俺を見た美女さんは、


「先生、レオンは、レオンはどうしてしまったのですか?」


 と言って、先生…白衣着てるし、あれは医者だな。医者の方を向いて泣き崩れた。


「病が治ったばかりですし、レオン様はきっと混乱していらっしゃるのでしょう。しばらくたてばレオン様は元通りになるかと思います。ですので、安心して下され、アリアーヌ様。」


 どうやら、先程の美女さんの名前はアリアーヌと言うらしい。


「……そうね、そうに違いないわ。レオン、しばらく席を外すから、何かあったら横に置いてあるベルを鳴らしてね。メリルは……ちょっと意識が無いみたいだから、誰か他のメイドがすぐに行くからね。」


 と言って、美女さんと、医者、その他この部屋に居た人が、ドアから出ていった。



 ……メリルさんは、気絶したまま他の人に抱えられて退室していった。



 でも、俺は見逃さなかった。


 アリアーヌさんの瞳に透明で綺麗な涙がたくさん浮かんでいたことを。




◇◇




 部屋に俺一人が残された。


 ベットの横にあるテーブルにはベルがある。




 正直言って、混乱している。




 母さんはいなくなってるし、目の前に美少女がいると思ったらいきなり気絶するし、気絶したと思ったら、次に新しい美女が来るし、泣かれるし。






 ・・・・・・。






 って、いうか、ここ何処だよ。


 今更だけど。



 とりあえず、ベッドから出てみよう。





 中世風な内装。


 やけに暗い部屋だと思ったら、照明器具なんてなくて、全部ロウソクだった。




 ふと、目の前にある机の引き出しを開けてみたくなった。




 開けてみると、中には一冊の手帳が入っていた。


「これ、開いていいやつか?」


 プライバシーがどうたらこうたらと迷ったが、開いてみることにした。

皆さん、はじめまして。

この度は『チートを封じられたから、俺は努力の天才を目指します 〜【努力】すれば、絶対に成長できるんです!〜』を開いて下さり、ありがとうございます。

誤字脱字、抜け字は極力減らすように努めますが、もし残っていましたら、お知らせください。

また、ストーリーが進むと、番外編を書く予定ですので、こういう話が欲しい!というのが有りましたら、感想等でお知らせください。

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