表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/38

2話 バグスキル

 僕たちのクラスはこれといった大きな問題や、虐めなどは発生したことはなかった。表面的にはと注意書きが付いてはしまうが、それは田舎のため仲間意識が強いこともあったと思う。

 そして、他人に自分の中の価値観だけで押し付けるような人は居なかった。そんなクラスだったから、僕の様なひねくれ者が存在できた。




 目が覚めると立ったまま荒野に居た。グラウンドのようか乾ききった土が、足裏の感触から伝わってくる。


 辺りを見渡すと他のみんなもどうやら立ったまま意識が戻ったみたいでキョロキョロしている。


「我らの召喚に応じて頂き感謝する!」


 低いお腹に響く声で誰かが声を掛けてくる。その声に少し驚き、ビクッと体が動いた者もいた。


 クラスメイトにこんな声の人は居ないし、年齢的にももっと歳上だろう。誰なんだろう?


 そう思って声の方向へと顔を向ける。自分たちよりも幾分か上の騎士とも呼べそうな格好をして、こちらへ話しかけていた。



「この後、慶祝行進を行うため、貴方方には馬車に乗って頂きたい!」


 慶祝行進?

 難しい言葉で分からないが、僕たちを召喚したことを祝うのかなと思った。


「憂鬱だ」


 その状況を想像してしまってボソリと口に出してしまったが、みんな気にしていないようだから大丈夫だろう。

 だが、パレードのような形で僕達が街を移動するなんて、面倒くさいと思ってしまったため、仕方がないと思う。


 しかし、騎士のような人の話は続いていく。


 パレードの最中は手を振っておけばいい。服などはそのままのそのままの服で参加して欲しいそうだ。なんでも衣服の作りが違うため、一目で異世界人か、異国の者だと理解させやすいそうだとのこと。


 それを聞いて決定事項なのかと頭を抱えたくなった。目立ちたくないのに、どうしてやらなければなんて思ったが、逃げることなんて出来ないため、大人しくする。


 そして、話は続きパレードの後は王様との謁見らしい。簡易的な儀礼を教えられ、皆に伝わったあと馬車へと皆乗った。


 用意されていた馬車に乗って城下町まで行く。

何組かに別れて馬車に乗り、別れた先で出来た組で自然と会話が始まった。まあ、僕の組はそうだったから、他の組もそうなったと思う。


 異世界に来た事による興奮、魔物が存在するのではと恐怖する者、この先どうなるのか心配しているなど、それぞれ反応が異なる。

しかし、そんな反応も鶴の一声で変わる。


「スキルはあるのか」


 異世界に来たら定番と言えるような考えが、一人の男子から発せられた。その言葉に人々は興奮し合う。


 ステータスと言えばいいのでは。

 鑑定だろ。

 ステータス看破だろ。

 そんなのは無いなどと意見が分かれるが、一人のステータスとだけ発したことでその話題に付いての討論が終わった。


「ステータスで見れるぞ!」


 異世界の原理はどうなっているのかとか、そんな難しいことは考えない方向で、話し合いが進んでいく。

それぞれが確認し始めたため、自分も確認することにする。


 ステータスと唱え見てみたところ、ステータスというよりはスキル一覧と言った方が良いだろうと分かった。そしてそのスキル一覧には単語だけ書かれていた。そのことは他のみんなも同じようで職業を冠したスキルが書かれていたらしい。

 職業を冠したスキルから幾つか派生されているのか、フォルダとなって持っているスキルが分かるみたいだ。


 しかし、僕のこのスキルは職業なのだろうか。

 書かれていた文字それは不老不死。外国での言葉で表すならノスフェラトゥ。

 ネクロマンサーやネクロマンシーなどが使役するような死体やアンデットではなく、生きたままの不滅の存在。


 みんなの話を聞いていくと、みんなは魔法使いや剣士などいろいろなスキルの詰め合わせとしての、名称として職業を冠したスキルが五個くらい与えられているらしい。

それなのに、僕の場合は種族でスキルは再生と不老と不死の三個だけ。みんなは五個くらいある中での三個だけとは、それだけ強いのかバグなのか。


 取り敢えず、このバグスキルは隠さなければと頭の片隅に刻んでおく。どの時代の偉い人も最後に求めるのは不老不死。

 どっかの血の伯爵夫人みたいに僕の血を飲めば若返るや、人魚の肉を食べることのように僕の血肉を食べようなんて考える馬鹿がいるかもしれない。


 そんな風には考えていたらそれなりの時間が経過したらしく、馬車の窓から門が見える位置まで来ていた。そのことに少し憂鬱になりながら思った。ああ、異世界での生活が始まってしまうと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ