13話 罠
鹿の解体をしたあと、僕達は次の仕掛けへと向かっていた。
森の中を歩いているが、鳥のさえずりや、虫の鳴き声など、外の壁さえ知らなければただの森だとしか思えない中を突き進んでいく。
歩きながらこの階層について質問をしてみる。
すると全てのことにしっかりと答えてくれたた。
まず、この森の世界はしっかりとした食物連鎖が成り立っていること。
トラやライオンなどは出て来ず、狼のような中型の肉食獣が、先程の鹿などの草食獣を喰らうことで間引きされている。
最初に出会ったようなマルツァはこの改装ではなく、2層ほど降りた先の乾燥地帯で現れる。
また川が流れているため、水などには困ることは無いとのこと。
「でも、狩りすぎることとかは無いんですか?」
質問が思い付かなくなって来た最後の辺りに、僕はそう質問した。
「ああ、狩りすぎることは確かにある、がしかし、いつの間にかその動物が出現していることがある。まあ、そのことは前にも説明した通りだがな」
あ、と思わず言って少し恥ずかしくなるが、エイダスさんは少し笑った後に、追加の説明をしてくれた。
「学者が言うには食物連鎖が成り立ってはいるが、そこから増えることも減ることも無い。肉食獣が草食獣を喰らえば新たな草食獣がいつの間にか現れている。なぜ、食物連鎖を再現しているのかが不思議だ、そう言っていたよ」
どうやら僕の疑問は学者さんが疑問に思ったことだったようだ。まあ、本当かどうかは分からないが、エイダスさんの優しさがちょっと嬉しい。
「まあ、そろそろ次の罠が見えてくる、奥の方へと来たから、肉食獣には気を付けろ」
言われた通りに注意をし始める。
だが、次の罠に着いた時、その掛かっていた物を見て少し驚いてしまう。
「フォルネスか」
エイダスさんは遠目からでもはっきり分かるのかそう呟いた。
それを聞いて僕は少し憂鬱になった。まあ、ほんの少しだけだけど。
なぜならフォルネスは獲物を横取る事が多い狡賢い生き物だからだ。
罠にかかった獲物を喰らい、罠もこんな罠なんて壊してやると、壊されることが多い。それに加え逃げ足も早いため、ダンジョンの中で何年も生き続けてその醜悪さが磨きが掛かることもあるらしく、本当に嫌われてる。
「喰われているのはマルツァか」
どうやら今回フォルネスの犠牲になったのはマルツァだったようだ。
その事に少しだけ良かったなんて思ってしまった。
「ここから狙えるか?」
エイダスさんはどうやらフォルネスを狩ろうとしているらしく、ダイダスさんに聞いていた。
「食べ始めたばかりだからなぁ、可能の方が高いか」
少しじっと見てから考えてそう答えた。答えたことから狩れるらしいが少し自信が無いようだ。
「なら大丈夫か、頼む」
「へいへい」
少し気の抜けたような感じで返していたが、その瞬間気配が薄まった。
じっと見ているのに、焦点を合わせられない。いるはずだと今は分かっているのに、目を逸らしたら見失いそうだ。
だけど、他のみんなはどうなんだと思って見ると、みんなは何も気にしていなかった。いや、エイダスさんだけは何故か僕を見ていたが、僕と目が合うと直ぐに逸らした。
"クルゥゥゥ"
何かの鳴き声が聞こえた。
それは犬のような声だが何かに怖がっているのが含んでいた。
しかし、その声のした方向はフォルネスがいた方向だったので、仕留めた時に鳴いたのだろうと思ってそっちを見た。
そこには矢で足を射抜かれた、フォルネスが遠吠えのようにして鳴いている姿があった。
「不味いな」
エイダスさんは少し困ったという顔と、しまったという顔を合わせた複雑な顔をしていた。
「どうやらアイツはフォルネスの長だ。単独で行動するなんて珍しいから予想していなかったが、これは厄介だ」
何が厄介なのか。それは事前に聞かされてはいたけど、あの憂鬱になるほど面倒な事が起こるみたいだ。
鳥の羽ばたく音とともに鳴き声を上げて逃げていくのが分かる。
そして太鼓が空気を揺らして、お腹に響いてくるような感覚を感じる程の衝撃が迫ってきていた。
「よりによって最悪の奴が来たか」
その言葉を聞いて憂鬱になってしまう。
誰かが死んでしまうなんて最悪なことが起こったら嫌だと思った。
プロットの見直しやキャラクターについて考えていたら大幅に更新が遅れてしまいました。




