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我らが文芸部  作者: 村山ケイジ
1/1

自己紹介1

5分アニメ感覚で読んでください

「今日は自己紹介をやろう!」

 本日もいつものように部長が元気な声で叫んでいる。

 僕たちが所属している文芸部では部長の『今日のやりたいこと宣言』を合図に部活が始まる。

「はあ、自己紹介ですか。すごく今更感もありますけど一体どうしたんですか?」

 そしてその部長の宣言に毎回反応するのも僕の役目だ。

「よくぞ聞いてくれた! ピカピカの1年生にして入部1ヶ月半の橘誠(たちばなまこと)君」

「あ、僕の自己紹介終わりましたね。ならもう帰っても大丈夫ですよね」

 今日は読みたい本の発売日だったのでさっさと帰れてラッキー。

「待て待て! ステイプリーズ! 戻ってカムバック!」

 低燃費な少女が言いそうなセリフが返ってきた。あれはおじいさんが言ったセリフか。

「冗談ですよ部長。それでなんで今さら自己紹介なんですか。入部初日にもやったじゃないですか。もしかして部長は1週間で記憶がなくなるんですか」

「もしそうなら1ヶ月半覚えていた私を褒めてくれ。初日にやったあれは軽い挨拶みたいなものだからノーカン。名前しか言い合ってないし。今日は名前含めてもっと細かい自己紹介してもらうから。一人10分は喋ってもらうからな」

 こんな感じのやつって中学校に入った初日のHR時なんかにやるやつだ。いきなり大勢の知らない人の目の前に立つと緊張して名前言うのが精一杯になっちゃうんだよな。にゃんぱすー。

「なるほど~ いいんじゃないですか。では言い出しっぺの部長からどうぞ」

「うわ! 男のくせになんて意気地なし!」

「いやいや、レディーファーストですよ部長。僕紳士なんで」

「そうやって都合のいいように解釈するのずるい! 消えてほしいリストに名前を書いてやる。そして爆弾で殺し合いをすればいいんだ」

 どこのBTOO〇Mなんだそれ。そこは普通デ〇ノートじゃないのか。

「やっぱり最初に部長のお手本が見たいかなーって。かっこいい部長の姿を見て後輩は育つと言うし。」

「ほんとにかっこいいって思ってる?」

「もちろん! これからの高校生活においてためになること間違いなし! 部長のありがたいお言葉が聞きたいなー」

「そ、そう? そんなに言うなら仕方ないわね。じゃあ最初は私から自己紹介するわ!」

 ちょろい。今度から部長ではなくチョロ子って呼ぼう。

「では部長、どうぞ」

 長机の対面に座って面接のような形で自己紹介は始まった。

「よく聞け! 彩文(さいぶん)高校3年の柊梓(ひいらぎあずさ)! 趣味は何も考えずにボーっとすること、好物はオムライス。以上!」

「いや、すっっっっっっくな」

 小学生レベルの自己紹介だった。僕もあれくらいでいいなら全然余裕で言えちゃうレベル。

「うるさい! いざ喋るとなると何を言えばいいのか分からなくなるのよ!」

 先輩の威厳は全くなく、まるでかわいい妹のようだった。

 実際先輩は僕よりも身長が低く幼い顔立ちをしているので中学生に見られてもおかしくない。某ボーカロイドのような栗色のツインテールもその幼さを一層後押しする。

「じゃあ、こちらから質問してそれに先輩が答える形式にしませんか。そっちの方が喋りやすいし話す内容も考えなくてすみますよ」

「名案だな、採用」

「では、質問しますね。身長は?」

「148センチだな。もう少しで150になれるから毎日牛乳のんでるぞ!」

 身長の具合って大半が遺伝によるらしいけど黙っておこう

「なるほど、では体重は」

「よんじゅう……おい待て身長もだがその質問いるか?」

「もちろん、自己紹介なんで。しっかりと自分を紹介してください」

「いやいや騙されないぞ。スケベなおっさんはみんなそんな感じでシークレットエデンに踏み込んでくるんだ。私は真っ白なままでいたいんだ。決して貴様に屈したりはしない!」

「どこのゴブリン同人誌ですか。じゃあ質問を変えましょう。好きな小説は?」

「もちろん禁書〇録。胸が熱いな」

 腕組までしてどこの長門型戦艦ですか。

「では、好きな漫画は」

「ヒ〇アカや幽〇白書、進撃〇巨人はよく読むな」

「見事にジャンルが偏ってますね」

「友情! 努力! 勝利!」

「じゃあアニメだと?」

「プリ〇ュア!」

「プリキ〇ア負けるなー 頑張れー ……同志ですね部長」

 あれは年代問わずいつ見ても素晴らしいアニメだ。まさに人生の教科書。

「え、誠きっも。男の子なのにプ〇キュアはないわ」

 あーあ、今全人類のプ〇キュアおじさんを敵に回したよこの人。これは同人誌行きですよ。

「いいものはいつ見てもいいんです。気を取り直して、特技とかってありますか?」

「うーん特技かー すごいことはできないけど一応あるよ」

「どんなのですか?」

 部長のことだ、どうせバトル物の名シーン再現とかセリフモノマネとかだろう。

「二重の〇み」

「すげーーーーーー!!!!!!!」

 とんでもないこと出来るじゃんこの人。誇っていいよその特技。

「この前、岩に使ったら木っ端微塵になった」

「格闘家も涙目ですよ」

「あとは、チンピラにも使った」

「人殺しは犯罪ですよ」

「でもガッツが12回もついてて全然元気だった」

「すごいヘラクレスですね」

 部長のとんでもない一部を垣間見た気がした。

「ほかにも聞きたいことある?」

「いえ、今日はお腹いっぱいなのでこの辺でやめておきます」

「そう? もっといろいろあるのに」

「今度また聞かせてください」

「そうする。ところで次は誠の番だよ」

「いえ、僕は一番最後にしようかと。新人ですし、みんながそろってからの方がいいと思いまして」

 実はまだ部室は僕と部長の二人しかいない。ほかの部員はまだ来てない。

 僕含めて文芸部は五人いるが、僕以外は全員女性。みんな1つ、2つ上の先輩だ。おっとこれはハーレムではないか。実はここは異世界で僕は転生してきたのではないかと疑うが別にそんなことはなく普通ののんびりとした日常だ。

「次部室に入ってきたやつが自己紹介だな。それまではのんびりするか」

「そうですね~」

 暖かい日差しが部室の中に差し込み気温の上昇を肌で感じながら僕と部長は机に突っ伏して次なる部員を待っていた。



ネタぶち込みマン

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