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ものすごく不本意なんですけど!!

 故意に分からないフリしてることがばれてんなら、俺本当にヤバイ。


 首、チョン! かも!


 どどどどど、土下座、ここはまず土下座しか!!


 俺のクソ拙い演技を見て固まった三人に、俺はあえなく白旗を上げることとした。


『ああっ!


 これは私としたことが、魔法に失敗しているようでございます!』


 俺がもう少しで床に這いつくばろうとしたとき、クレオパトラ(仮)が、甲高い声を上げた。


 ……ぬ?


 どういうことだ?


 マサカとは思うが……もしや。


 うまくいったか?


 俺はちょっと様子を見ることにした。


『す、すぐにかけなおします!


 わ、我らが英知と書記の神キキよ。


 この者に我らが言語を読み解く力を、祝福を与えたまえ!』


 クレオパトラ(仮)の詠唱とともに、俺はピンク色の光に包まれた。


 ……何故にピンク!

 

 それにしてもキキって何だよ! 黒猫か? リトルツインスターズか?


 まあ後から知ったけど、鶴頭の神様らしいけどな!


 そういうわけで、無駄に言語理解の魔法を二重かけされた俺は、知らないうちに世界記憶アカシックレコードをちょっぴり覗き見できる才能を付与されていたのだが、生命の危機にさらされていたがためにそんなことには全く気付いていなかった。


『……勇者様?』


 確かめるように再び話しかけられた俺だが、いやもう、初心は貫徹だよね? ということで、分からないフリを続行することにした。


「……グルッポグルッポ、テテケテフルン?」


 あ……みなさん、涙目になってる。


 ワカルヨ?


 デモ、マダシニタクナイ……。


 結局、俺は宮殿の一室に連れて行かれた。


 とりあえず、様子を見ようという結論に達したのだ。


 だけど俺には一つ、不満がある。


 俺は確かに大きくない。


 だけど小柄でもない。


 そりゃ、この世界の人に比べたら小さいかもしれないけど!!


 子供と間違われてた。


 しかも女子に。


 俺もう、大学生だし!


 それにしても、歯がゆい!!


 間違われてるのは分かってるのに、言葉が分からないフリしてるから、訂正できないんだよ!!


 その後女官が着替えを持ってきてくれたけど、全部女物。


 しかもブラジャーみたいな下着付き……。


 思わず床に叩きつけて思いっきり踏みつけたけど。


『もしかして、貧乳なのを気にしてらっしゃるのですね!』


 そう漏らした女官に、俺は絶望した。


 え?


 なんでそうなる?


 もう裸見せるしかないの?


 ……いやいやいやいや。


 そんな痴漢行為、俺には無理だ。


 そ……それほど立派なモノ、そ……備えてないし!!


 あ……なんか、自分で言ってて悲しくなってきた。


『よほど気にされてるんですね……。


 大丈夫!


 小さいおっぱいが好きな男性もいらっしゃいますよ!』


 励ますように話しかけてきた女官の言葉に、さらなる追い打ちをかけられたのは言うまでもなかった。


お読みいただきありがとうございます。

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