そんなところで運動神経披露しなくてもいいでしょう!
たぶん藍生は俺がその場所にいるなんて、微塵も思ってなかっただろう。
運動神経の良い藍生は、持ち前の反射神経で横っ飛びにとんだ。
そしてその着地点が、たまたま俺のすぐ横だった。
藍生は無駄のない動きで着地した。
すこしばかり俺の右腕をすこしかすめたけど、ほとんど衝撃はない。
だが俺はとっさに藍生の動きを目で追っていて、ぶつかられた瞬間、俺はちょうど不安定な姿勢を取ってしまっていた。
そのため俺はバランスを崩し、大きく脚を一歩、前に踏み出してしまった。
「えっ! うそっ!」
地面があるべきの場所に、ただ光があって、そこに踏み出してしまった僕の足は、当然のように吸い込まれた。
「あ」
背後から、藍生の声が聞こえた。
「うそぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
そのまま僕は、全身、光の中に落ちていった。
「ふぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」
俺は突然、空間に投げ出された。
どわわわわ!
建物の中だったのだが、突然空中に放り出された僕には、そんなことを認識している暇はなかった。
ちょうど、2メートルぐらいの高さに出現した俺は、足をばたつかせた甲斐もなく、床に全身を思いっきり叩きつけられた。
ほんの短い間だが、痛みと衝撃で気を失ってしまう。
だけどそれはきっと短い時間だったんだろう。
気付いた時も、全身激しい痛みに襲われていて、場所も変わった形跡はない。
ヒドイ……!
痛い!
この痛み……絶対肋骨二、三本逝ってるだろ!
「ぐふ…ってぇ……ガチ死……む」
激しい痛みに身動きできずにいると、俺の体は突然水の塊に包まれた。
「ごふぅ!」
ち、ち、窒息させる気か!
再びワタワタしたが、幸いにも水はすぐ消えた。
そして同時に、体の痛みが消える。
あ、コレ、魔法?
多分、治癒の魔法ってとこだろう!
俺が体の痛みがないことに気付いて起き上がると、そこには3人、人がいた。
……うん。
たぶん、人。
皆、体デカいけど。
一人は女の人だったけど、ぜったい2mは超えてる。
ヤベエ!
来ちゃいました……異世界へ。
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