俺の幼馴染は勇者様?
すんごい見切り発車なのです。
書けるとこまで書いてみます。
すごく運動神経がいい。
頭もいい。
度胸がある。
もちろん顔も良い。
正義感なんて、バリバリ。
でも、真面目すぎなくて、柔軟性もあって……ようするに話の分かるやつ。
俺が持ってる『勇者』のイメージはそんなとこだし、ファンタジーの王道って、そんなもんだろう。
でさ、俺の家の隣に住んでる幼馴染で、堂下藍生ってやつが、まさにそんな奴で。
剣道、空手、ともに有段者。
医学部。
趣味がスカイダイビングとロッククライミング。
高校生の時にスカウトされ、バイトでモデルやってて、昨年のうちの大学のミスターキャンパス。
通学途中の電車で痴漢を捕まえること3回。ひったくりを捕まえて1回。警察からの表彰の打診を受けたが、当たり前のことしているだけ、と辞退。
高校の時風紀委員だったけど、男女交際禁止の校則やバイト禁止の校則を、形骸化して無意味だと、廃止とさせた。
まあ、ほんとこれはごく一部。
奴のことがしりたければ非公式ファンサイト、「AIKIきゅんきゅん♡」には、いろんな武勇伝が載っているから、ぜひ参照していただきたい。
そんなわけで奴がいわゆる異世界の勇者召喚的な出来事に巡り合ったとしても、ぜんぜん不思議はないし、きっと世界も救えるぞ! はやく召喚しろ! って、異世界中にお勧めしたい人物である。
もちろん俺はそんなこと、普段から考えているわけじゃない。
そこまでヤバイ妄想癖はない。
俺は、コンビニにアイスを買いに行こうと自宅を出たら、ちょうどそこに藍生が通りかかったんだ。
あ、藍生だ!
思わぬタイミングでイケメン様に遭遇した俺は、立ち止まった。
奴はイヤホン付けて前を向いてたから、真横にいる俺には気付いてなかった。
そんな時、藍生の足元の地面が直径2mくらいの広い範囲で光ったのだ。
それで俺は、ああ……とうとうその日が来たのだ、と、普通ならあり得ない不思議な現象をすんなりと納得が出来た。
藍生!
救って来い!
異世界!
期待してるぞ!
俺は光に包まれる藍生に向かって、親指を立てながら心の中でエールを送った。
し、しかたないだろっ!
いわゆる学級委員長タイプの俺とは、ぜんぜん住む世界が違うんだから!
そして僕は、異世界に転送される藍生を、心温かく見守る……はず、だった。