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テンプレートは好きですか?  作者: 秋月 忍
二回戦 川霧秘宝伝
10/16

古文書 解読

いつもありがとうございます。

「艶?」

 私は声をかける。湯気の中、彼女は敵意のないことを示すかのように両手を上げた。

 ――まあ、風呂だし。

 忍者だって普通は露天風呂に仕込み武器を持って入らない。忍者ものの作品で、ひとさまに言えないような場所に武器を仕込んだくのいちが登場することもあるけれど、非現実的すぎる。

「りん、お話があるの」

 艶は遠慮がちに口を開く。まあ、味方を裏切って恋に走った抜け忍である。殺し合いになってもおかしくはない。もっとも、私は、そこまで任務やおきてに忠実ではないし、艶のことは嫌いではない。

「何?」

 私は自分も軽く両手をあげてから、腰を掛けられる石を捜して座った。

「あのね、手を組まない?」

「へ?」

 なんのことだろう、と私は艶を見る。艶やかな唇は相変わらずだ。いや、八郎と結ばれて、さらに美しくなった気がする。

「宗敏さまは手を引く約束をしてくださったのでしょう? だったら、私たちが戦う必要はないと思うの」

 艶はそう言って、私の手を握った。

「……えっと?」

 戦う必要はないけれど、手を組むって意味がわからない。

「古文書を一緒に解読しない?」

「は?」

 私は驚いて目を見開く。

「正確には、お頭の手を借りたいのだけど……りんに頼むのが一番早いから」

「お頭?」

 疾風は、暗号読解が得意ではある。なるほど。解読には得難い人材なのかもしれない。

「りんが協力してくれれば、お頭もきっと協力してくれる」

「あのね……」

 気持ちはわかるけれど、そもそも、疾風の足を切ったのは八郎だ。私はともかく疾風の心情を考えると、そう簡単に協力など出来るはずがないと思う。

「りんは、『やまみち』というお蕎麦屋を知っているわよね?」

 艶はくすりと笑った。

「協力してくれたら、いつでもあの店のおそばをいつでも用意するわ」

 ぐぅっと、思わず腹が鳴った。

「かけでも、ざるでも。天ぷら、山掛け、月見、なんでもいいのよ。りんのためなら、十割蕎麦を特別にうつと、山城さんは言っているわ」

「十割蕎麦……」

 思わず、心が動く。

 しかし、なぜ、私が『やまみち』にハマっていることを艶が知っているのだろう?

 わたしがそれを問うと、

「八木さんが……りんをお店でよくみかけたからそう言えって」と艶が答えた。

 どうやら、徹は私を蕎麦で釣り、疾風を取り込もうという魂胆らしい。

 そもそも、私は『やまみち』で、八木徹之進とあったことはないはずである。酷い話だが……そこまでして宝探しがしたいのかと、苦笑いが浮かぶ。

「私が協力するのは簡単だけど、お頭がついてくるかどうかは別問題だよ? 私、説得する気はないから」

 私がそう言うと、艶はにっこり笑った。

「大丈夫よ。りんが来てくれるならそれだけで」

 何が大丈夫なのかよくわからないが、私は艶の申し出を受け入れることにした。



 その後、温泉に一泊したのち、何事もなく私達は宗敏の屋敷に戻った。

 勝手に、屋敷を出るのは簡単であったが、追手とか差し向けられても厄介なので、私は疾風に一言伝えてから、と思う。説得の必要はないと言われているから、それだけすれば十分であろう。

 疾風はあまり歩くことが出来ず、玄関そばの控えの間の裏側にある小さな部屋で、じっと何かを見ていた。

 後ろからみると、どうやら地図らしい。前に奪った時に、書き写したものであろう。

「あの……私、古文書解読に誘われまして、幸川の屋敷に行こうと思っております」

「何?」

 私の言葉に、動けないと思っていた疾風が、あっという間に間合いを詰めて私の腕をつかんだ。

「お前も、八郎に?」

 疾風の鋭い目に怒りの色が浮かぶ。

「いえ、あの……そういうことではなくて」

 十割蕎麦に目がくらんだ……と言える雰囲気ではない。

「こ、古文書に興味がありまして……その、艶はお頭もできれば一緒に、と」

 疾風に強く腕を引かれて、私は疾風の胸の中に倒れ込んでしまった。

「男に誘われたのではないだろうな?」

 ムッとしたような声で疾風は私を抱き寄せられた。

 逆らえない強さだ。怪我人だと思って、完全に油断していた。拘束がきつくて離れられない。私は厚い胸板に押し付けられながら、全身に恐怖を感じた。

「お頭、違います。お願いですから、離してください!」

 しかし、疾風は手を緩めるどころか、私の顎に手をあてて、強引に私の顔を自分に向けた。

 怖い。身体が動かない。疾風の顔が近づく。唇が重なりそうになった。

『テンプレーナ様の御名において、カオスを解き放て!』

 咄嗟に、私はそう叫び……時が止まった。




 眩しい光が放たれて、視野が戻ってきた。

 肩で息をする私を心配そうに、テンプレーナ様が覗いている。

「大丈夫? 理奈ちゃん」

 いつもの作戦室の風景に私は安堵し、脱力した。

「このタイミングで、戻ってきたということは……カオスの雫の解除に成功したということですね」

 私は、ふうっとため息をついた。

「キスされそうになったぐらいでビビるなよ。小娘じゃあるまいし」

 徹が呆れたように呟く。

 私は思わず、目の前にあった座椅子を徹めがけて投げつけた。

「いてぇっ! 何しやがる」

 見事に顔面にクリーンヒットし、徹が叫ぶ。

「徹ちゃん、理奈ちゃんに謝りなさい! 今のは絶対、あなたが悪いわ」

 テンプレーナ様が私の前に立ち、徹についっと指をさしてそう言った。

「なっ」

 徹はテンプレーナ様の剣幕にたじろいで、沈黙する。

「疾風がカオスの雫でよかったわ。そうでなかったら、大変なことになっていたもの」

 テンプレーナ様は私の背をそっと撫でてくれた。涙がボロボロこぼれてきた。怖いのと、悔しいのと、ホッとした気持ちがぐちゃぐちゃになって、私はテンプレーナ様の胸に顔をうずめて泣いた。

「好きでもない男に襲われそうになった女の子に、言うセリフじゃないわ。徹ちゃんは、だからダメなのよ」

 テンプレーナ様が私の髪を撫でながら、そう言った。

「もう、徹ちゃんは女の子と組ませない」

 心底腹を立てたらしいテンプレーナ様が、吐き捨てるようにそう言った。

「理奈ちゃんは物語に戻らなくてもいいわ。この世界、カオスリーンにあげることにする」

「テンプレーナ様……」

 私は思わず顔を上げた。慈愛に満ちた女神の顔がそこにある。

 その優しさに甘えたい気持ちはあったけれど……それでは、私がここにいる意味がない。

「私、戻ります。ひょっとしたら、廉次が心配するかもしれないし」

 たとえ作戦だったにしろ、廉次は私に優しくしてくれた。突然私が抜けたら、びっくりするに違いない。

「ちょっと待て、理奈。お前、廉次と何かあったのか?」

 涙にぬれた顔を洗っていると、徹が私の腕をつかんだ。

「離して」

 私は徹の腕を振りほどく。

「疾風は良くって、廉次はダメなの? 徹にとっては、私は秘宝を手に入れるためのただの道具だものね」

 ムッとした私の声に、徹は驚いたように目を見開く。

「言っておくけど、私、そこまで滅私奉公できないから。艶との約束があるから、解読の手伝いには行くけど、疾風は誘わない……今回は、私、徹に協力しない」

 私がそう言うと、徹は「理奈」と、小さく私の名を呼んだが、私は答えず、ひとり、扉の向こうへ足を向けた。



 カオスの雫から解放された疾風は、茫然自失となっていた。

 私は、抱きすくめられた状態から抜け出して、そっと離れる。これで、疾風が私に言い寄ることはもうないに違いない。

「りん!」

 襖を開けて、部屋を出て行こうとすると、心配そうな廉次が走ってきた。

 カオスの雫が解除された時、私達戦士は必ず作戦室に戻る。そして、何が起こったのかを把握するのだ。

「怖かっただろう? 大丈夫か?」

 廉次は、そう言って、私の顔を覗きこんだ。とても心配そうだ。

「平気。何事もなかったから。知っているでしょ?」

 廉次は私の頬を優しくなでた。

「泣いたのか? ごめん。守ってやれなくて」

 まるで廉次が相棒かと錯覚するかのようなセリフに私は苦笑した。徹より、よほど親身で。何かが激しく間違っているように思えた。

「疾風があそこまで真っ直ぐに君に入れ込んだのは想定外だった。正直、艶以外の女に惚れてくれれば、それでいいという予定だったから」

「そんなことまで、話しちゃって大丈夫?」

 私が目を丸くすると、廉次は首をすくめた。

「解除されちゃったからね」

 ずいぶんとあっけらかんとした意見である。

「ま。君があのまま疾風を受け入れようとするなら、俺が解除しちゃったかもね」

「は?」

 どうしてそういう意見が出てくるのか謎である。

「それで、りんはこの後どうするの?」

「うん。艶に古文書解読に誘われているの。蕎麦に釣られたンだけどね」

 私は軽く首を振った。

「じゃあ、俺も行く」

 廉次がニヤッと笑った。

「……解除されたけど、たぶん、疾風も行くと思うな」

「ん? なんで?」

 私は首を傾げた。

「カオスの雫は『きっかけ』だ。艶に想いが向かない様に仕向けただけだから」

「……じゃあ、艶に惚れ直しちゃうの?」

 それはヤバいなあと思うと、廉次は苦笑した。

「大丈夫。りんは俺が守るから」

 私の頬に手を伸ばし、廉次が甘くささやく。

「私への感情は曲げられたものでしょ? 必要ないと思うけど」

「……理奈は自分の魅力に気がついていないな」

 くすりと笑った廉次の顔があまりにも甘くて……私は、彼が私の『本名』を呼んでいたことに全く気が付かなかった。



「こ、これが、十割蕎麦」

 つなぎがないから、多少「つるん」とした触感はないものの、濃厚な蕎麦の香りが口に広がる。

 つけ汁にめんを浸し、ずるっと私は蕎麦をすする。薬味のネギも、添えられたワサビの香りもたまらない。ほんの少し散らされたもみ海苔も、食欲をそそる。

「お、おいしい!」

 私が感嘆の声をあげると、目の前で料理している山城辰之進がニコリと笑った。

 美形ではないが、優しそうな男性である。年齢は二十代後半くらい。

 私は、幸川家の台所の板の間に座布団を敷いて、蕎麦を試食している。

 幸せである。来てよかった、としみじみと思う。用意してもらったざるそばは、あっという間に胃袋の中に納まった。

「蕎麦湯も飲んで」

 山城辰之進が湯呑と蕎麦湯を用意してくれた。

「あー美味しい。寿命が延びる」

 私がしみじみそう言うと、「面白いねえ、りんちゃんは」と、山城が目を細めた。

「りん、ここにいたのか」

 ふらりと台所に廉次が入ってきた。

「……蕎麦、食べ過ぎじゃない?」

「だって、美味しいもの。山城さんってば、本当、天才だわ」

 私がそう言うと、山城の顔が真っ赤になった。

「りんは、古文書の解読に来たんじゃなかったの?」

 呆れたように廉次がそう言った。

「私が翻訳なんてできるわけないでしょ。私は、単純に疾風おかしらを釣るための餌だし、私は蕎麦に釣られただけだもん」

 ふーっと息を吹きかけて、わたしは蕎麦湯を飲む。

「一応、疾風おかしらもこっちに連れてきたし。疾風おかしらは熱心に解読作業しているみたいだから、もう蕎麦を食べるだけよ」

 そうなのだ。あのあと、疾風は散々私に謝り倒し、お詫びにいっしょに解読に行くと言い張って、ついてきた。こっちにきてからは、非常に熱心に解読体勢に入り、私に対してはものすごく低姿勢なのである。

 廉次は首をすくめて私の隣に座った。

「それにしても、こんな板敷きのところで食べなくてもいいじゃないか?」

「……だって、山城さんの蕎麦打ちを見たいもの」

 私がそう言うと、廉次はムッとしたような顔をした。

「りんちゃんのためなら、何回でも打つよ。本当、可愛いね」

 ニコッと優しく微笑まれて、私はドキッとした。思わず顔が赤らむ。

「あれ? りん姐さんだ! 来てくれたんだね!」

 突然、見知った声に気が付いて、振り向くと、お殿様の装いをした光さんこと光二郎が立っていた。

「殿、今日はどういたしますか?」

 山城の言葉に私は目を見開く。

「え? 光さんって、光春さま?」

 私は思わず、持っていた湯呑を置いて、その場にひれ伏した。もともとは敵対している相手とはいえ、やはり身分の高い殿さまである。下手すれば無礼討ちされるような言動をしてきた自覚がある。

「やだなあ、私と姐さんの間で、そんな堅苦しいことはなしですよ」

 光二郎と私の間にたいした関係はなかったハズだ。

「山城、かけそば。今日はたぬきで。姐さんもこんなところにいないで、私の部屋で一緒に食べましょう」

「は?」

 手を引かれそうになって、私は慌てて首を振った。

「あの、私、山城さんの傍で、作業を見ていたいのですが」

 私がそう言うと、山城が真っ赤になって、後の二人の男が山城を睨みつけた。

 なんだか、空気が急に冷えた気がした。

 蕎麦打ちの妙技を見ていたいという私の欲求はそれほどまでに、変なのだろうか?

「殿! 殿!」

 パタパタと、せわしげな足音がして、一人の男が入ってきた。八木徹之進こと、徹である。

「どうした、八木?」

 八木の声に、光春は振り返った。殿さまらしいキリッとした顔だ。

「古文書の解読は出来ました……が、その……」

「なんだ?」

「その……秘宝とよんでよいものかどうか……」

「行こう」

 光春は奥の座敷へと戻っていく。八木がちらりと私に目を向けた。

 私は、その視線をあえて無視をして、廉次に目を向ける。

「廉次は行く?」

 私は廉次に声をかけると、八木は表情のよめない顔をして、光春の後を追った。

「俺はどっちでもいいけど……りんが行くなら行こうか」

 八木の背中をちらりと見ながら、廉次はそう言うと、腰を上げた。

 ――一応、戦士の責務として、結果くらい見に行かないとね。

 私は廉次とともに、奥の座敷へと向かった。



「これはなんだ?」

 疾風は解読を進める。古文書は暗号になっており、その鍵をようやく疾風は突き止めたものの、顔はみるみる険しくなった。

『葉や茎や花を食する時は軽く湯通しをする』

『すりおろすときはサメ皮で』

『清浄な豊富な水で栽培』

 疾風の口から紡がれる言葉に、周囲の人間がどよめく。

「これは……」

 八郎が顔をしかめた。

 疾風は地図を広げる。大きく印のついた場所。そこは……。

「どうみても、これは、ワサビの栽培と調理法の秘伝ですね」

 苦々しい結論に、「まいったな」と八郎が首を振った。



 除夜の鐘が鳴っている。

 私はまだ、幸川光春の屋敷にいて、台所で山城がそばをゆでているのをじっと見ている。

 奥の座敷では、艶と八郎がイチャイチャと年越しそばを食べている様だ。

 そばを打つのを見ている私の傍に、廉次が腰掛け、なぜか、殿さまが私の隣に座っている。

 最近、疾風が山城の弟子になると言って、蕎麦打ちの修行を始めた。今、疾風はネギを刻んでいる。

「どうして、お頭は、蕎麦打ちなんて始めたんだろう?」

 私がふと呟くと「りんのせいでしょ」と廉次が苦笑した。

「りんが、あまりにも蕎麦に執着しているから、山城に妬いているのさ」

「え?」

 私がキョトンとすると、廉次の手が私の肩に伸びてきて、触れようとしたとたん、パチンと光春の手に弾かれた。

 ギロリ、と、廉次と光春の間でにらみ合いがおこる。何故だ。

「殿! 殿!」

 台所の勝手口から、八木が飛び込んできた。

 手に、緑色の何かを握りしめている。

「見つけました! 秘伝のワサビです!」

「おおっ! やったか!」

 光春がポンと膝を打った。

 そうなのだ。八木は、『師走の年越しそば』のために、秘伝のワサビを採りに出かけていたのだ。

「山城、悪いが『ざる』にしてくれぬか?」

「へい」

 光春の言葉に、山城は頷いて、八木からワサビを受け取った。

「りんちゃん、手を借りてもいい?」

 私は山城に声をかけられ、「うん」と頷いて、棚からそこにいた全員分の器を降ろしてきた。

 山城の素晴らしい手つきで、美しく蕎麦が盛りつけられる。

「お頭、ネギ刻むの、美味いですねえ」

 薬味を用意している疾風に声をかけると、疾風はびっくりするぐらい嬉しそうに笑い、顔が真っ赤になった。

「その気がないなら、気を持たせるような言動はやめろよ、バカ理奈」

 ぽつりと、私にだけ聞こえる声で八木が呟いた。

「へ?」思わず顔を上げるものの、八木は首をすくめ、私から離れる。

「りん姐さん、さあ、座って」

 ポンッと、光春が自分の横の座布団を叩いて、座れと要求した。どうでもいいけど、狭いわけでもないのにお殿様と滅茶苦茶近い位置なのは、勘弁してほしい。

「は、はい」

 私は、座布団の位置をすこしだけ光春から離して、座る。光春は、少しだけガッカリしたような顔をした。

「これが、秘伝のわさびですか……」

 私は添えられたワサビを箸でつまみ、香りを嗅ぐ。

「ツンときますね。なんて贅沢な年越しそば」

 私はワサビをつゆにとき、蕎麦の味を楽しむ。

「美味しい!」

「りんちゃんは、本当に美味しそうに食べるね。毎日作ってあげたくなる」

「わあっ、嬉しい」

 山城の言葉に、歓喜の声をあげると、「本当、天然のたらしだな」と、廉次が小さく呟いた。

「あれ、社交辞令じゃないよ? 口説き文句だから、気をつけないと」

 びっくりして、廉次を見るとニヤリと笑われた。

「理奈は、本当に初心だね……惚れ直した」

「……玲人れいじ?」

 ドキリとして廉次の顔を見なおす。その面影に、山岸玲人の面影が重なって。

 そして、除夜の鐘が鳴った。

 ツンとくるワサビの香りと、食欲を誘う出汁の香りが遠のいていく。

 奥の座敷には、仲良く艶と八郎がよりそっていて。

 私の意識は、すっと、りんから遠のいていった。




『川霧秘宝伝』

 勝利条件 2 達成 テンプレーナ側の勝利。

 物語のその後の歩み

 川霧八郎  艶と結婚。光春の剣術指南役に就任。

 艶     八郎と結婚後、一男二女をもうけ、幸せに暮らす。

 幸川光春  国の産業として、ワサビの栽培を保護。のちに蕎麦将軍のあだ名が付く。

 疾風    忍者を辞め、そばや『やまみち』からのれん分けされ、立派な蕎麦職人になる。

 川霧宗敏  決闘後、すぐに隠居。隠居後は、八郎と和解。

 山城辰之進 蕎麦屋『やまみち』は、飛ぶ鳥を落とす勢いの大盛況。国一番の大店となる。

 廉次    忍者をやめ、りんと旅を続けている。

 八木徹之進 ワサビ農家のために尽力する。

 りん    忍者をやめ 食べ歩きの旅を続ける。


次回は、テンプレ戦士とカオス戦士の交流会? の予定です。

そのあとの三回戦は……まだ未定ですが、たぶん変身ものかロボットもの。

今回以上に、阿呆な話になると思います。

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