初めての友人はイケメンでした。
入学式が終わると、生徒の親は説明会のため会場に残された。
新入生たちは割り振られた教室へと向かう。顔見知りと話しながら移動している者も多い。
その話題は一様に生徒会長についてだった。
成績優秀、眉目秀麗、スポーツ万能、家柄などなどとにかく誰もが褒めている。
入学式で祝いの言葉を述べていたらしいが生憎、前日の夜に最後の足掻きとばかりにぐずった愛羅と麗羅。彼女達を宥めるのに時間を費やし、寝不足気味だった為うとうとしていたから全く見ても聞いても居なかった。
皆が席を立った音で意識が戻ったくらいだ。
欠伸を噛み殺しつつ歩いていると、後ろから声を掛けられた。
「なあ、君さ式の間寝てただろう?生徒会長すげー睨んでたぜ。」
振り向くと某有名なアニメキャラの台詞を吐きそうになる程のイケメンがにっこりとしていた。
「あー、そうなんだ。寝てたからわかんないな。」
当り前の台詞を言ってしまった。目を付けられていたらヤバいなとは思ったが、後の祭りだ。仕方ない。
「ふふ。君面白いね。豪胆と言うか。普通慌てるってw」
くすくすと笑う男は、周りの視線に気付いていないのか。気付いていて無視しているのか。
とにかく、周囲の女生徒はもちろん男子生徒も男が気になるのかチラチラと視線を向けている。
「俺、御堂 竜哉1年間よろしくな。」
差し出された手を素直にとっていいものか、一瞬悩んだが無視するのも失礼なのでその手を握り返した。
「鳳 一騎だ。よろしく。」
握手をしたあと、2人で並んで教室まで歩く。
「一騎って呼んでもいいかな?俺の事は竜哉って呼んでよ。」
なぜ俺のような平凡な奴に声を掛けてきたのかは分からないが、とりあえず友人候補として承諾する。
「好きなように呼んで、俺も遠慮なく名前で呼ぶから。」
そう言うと、竜哉はうれしそうににっこりと笑った。
その瞬間いたるところでバタバタという音がし、周囲がざわめき始めたが俺たち二人は気付かずに教室まで他愛ない話しをしながらゆっくりと歩いて行った。
あとから耳にした話だが、竜哉の笑顔で数人の女子生徒が失神したのだと言う。
恐るべし竜哉。
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