表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

神の庭・4

扉を開けると、既に私以外のメンツは揃っていた。


12人全員が揃うのは始めてじゃないだろうか。


1、神の写し身にして、始まりの大工、アダム。


2、狩猟者、追う者達の始まり、セツ。


4、一の戦士、レメク。


5、鉄を究めたる者、トバルカイン


6、呪詛、祝詞の開発者、アベル。


7、着飾る者、恥を知りし者、イヴ。


8、医の道を開いた男、イエレド。


9、船、空船、動力車、速さに魅いられた男、エノシュ。


10、農耕を継ぎし心穏やかなる者、ヤイル。


11、神からの勅命を受けし、死ぬ事の無い神の目、カイン。


そして私、死の門を通らなかったイレギュラーにして、神の問の唯一の全問正解者という面白味も糞も無い優等生、12席……エノク。


それにしても……、久しぶりに御方の顔を見た気がするな。


席にも座らずに机の上に乗り出して何をやってるんだろう。


どれどれ……………うん? あんな海底地図広げて何をして……ってあれは遊んでるね、


海底人とかいたら面白いよねって、それは百歩譲ってアリとして、頭がイカってそれ発声とかどうすんの?


テレパシー?そうですか。で、海底神殿で独自の文化を…………もういいかな?


すみませんが、そろそろ招集の目的を教えて頂いても宜しいでしょうか?


「ん?エノクか。え~と……ふむ、これで12人揃うたな」


御方が厳かな声で答える。


うん、これで机の上に胡座かいてで無かったら最高ですけど。


「ふぅ、結構楽しかったんじゃが、まぁ仕方あるまい。あ、セツよ、それは元に戻さんで良いぞ?それにはロマンという名の永遠の命が詰まっとる」


御方の声に従い、セツさんは廃棄しようとしていた手を止めて首が八つある巨大な蛇を元に戻した。

さりげなく洞穴を作って封印している所にセツさんの良識を感じる。


ただ、その程度の封印だと千年位したら解けて暴れだしちゃいそうな気がするが、そうなったら御方が責任をもって誰かしら派遣するだろう。


一応御方にバレないように、被害が拡がり出したら「英雄が現れて退治→その辺の有力者の娘と結婚してめでたしめでたし」てなシナリオが発動するようにしておこう。


ずいぶん先の話になるだろうから上手くいくかはわからないが、やらないよりマシか。


しかし…


確かに昔から悪ノリが好きな方ではあったし、それが多少暴走する事はあった。


だが、最近は明らかにおかしい。


空を飛ぶ鳥の様な機械、一薙ぎすれば雷を落とす槍…


山を一巻きにするような大百足に全ての質問に対する答をくれる金属の板。


まだまだあるが、どれも今の人類には一歩間違えれば

破滅を与えてしまうレベルの危険なファクターだ。


自らの写し身たる披造物、人類を更なる高みへと導く為の試練。


又は次のステップに進む為のヒントとして、今まで様々な神造物が地上に送り込まれた。


そのシナリオの幾つかは、私が作った台本の通りに進んだし、全く違う結末を迎えた物もあった。


人間に《自由意思》という物がある以上、いくら此方が筋書きを用意したとしても、完全に思い通りにはいかないのだ。


勿論、その都度こちらからのアドバイスを聞いて軌道修正をしてくれれば元のシナリオの方に近づける事は可能だが、そういう信心深い素直な心をもち続けられる者は中々居ない。


結果、現在の地上は御方の予定していた姿には程遠い、混沌を極めた様相を呈している。


それを考えると今更何を放り込んでも大して変わらないが、それにしたってやり過ぎだ。


それに…


「エノクよ、頼んでおいた件はどうなった?」


私が今、抱えている案件。


悪い冗談の様な


「もう、できておるのだろう?」


人類のほとんどが、下手をすれば全てが地上から消え去ってしまう様な


「では、議題を発表しよう。エノク、頼んだぞ」



大天災の筋書を作れ、という神からの依頼。


そうか、私のシナリオの完成を待つまでも無く、神は地上を滅ぼす積もりなのか。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ