蟹さん
掲載日:2011/12/03
ん~、実話かもしれない‥‥
社会人になったばかりであった。
初対面のバーの女性と寝た。
僕の部屋は、小さな台所とトイレはついていたが、バスはなかった。
夏。
事後、タオルを濡らし、女の身体を拭いてあげた。
あなたのこと、もっと好きになるのかも、と女は言った。
泊まることは無理らしく、外まで送り、タクシーを拾い、彼女に二千円、渡した。
当日の朝、11時、ノックの男で目が覚めた。玄関ドアの曇りガラス越しに、プロレスの前座に出てくるような蟹さんの身体の影が映っていた。
おそるおそるドアを開けた。
「A新聞ですけど、取っていただけますかぁ?」
「あぁ、新聞ね?明日からでも、入れてっていいよ。何だったら2部、入れてってもいいよ」
翌日から配られた新聞は1部であった。
女と、続けて会うことはなかった。
ちょっと三枚目の吉行さんを狙った積もりですが‥‥




