始まり
流血が多いので苦手な方は避けてください
僕はあの日、魔法使いにあった。
その魔法使いは赤髪の少女と戦っていた。
赤髪の少女の双眸は深紅に染まり、獲物を仕留めるためになら自分が傷ついてもいいような攻め方をしている。
そして、魔法使いの胸を赤髪の少女の手刀が貫いた。
その瞬間、魔法使いが赤髪の少女の頭を掴んだ。
と同時に、魔法使いは血を吐きながら、何かを呟き、赤髪の少女から何かを弾き飛ばした。
赤髪の少女が地面に倒れ、魔法使いは膝をつきながら、弾き飛ばした何かを見ていた。
それは、赤髪の少女と同じ容姿をしていた。
違うのは、黒髪で目つきが鋭いナイフを連想させる。
そして、魔法使いが動いた。
右手を弾き出した少女に向ける。
「心を喰らう使い魔よ、あの子の魔力を返してもらうぞ!」
右手に氷が集束され、剣の形を形成していく。
そして、少女が左から回り込むように走り出した。
それは、瞬歩に近い速さだった。
膝を付いていた魔法使いは反応が遅れた。
少女の手刀が魔法使いの顔に掠めた。
帽子が飛び魔法使いの素顔が現れた。
魔法使いは女の子だった。
茶髪短髪に蒼眼の整った顔立ちだ。
裂けたフードの下から赤髪の少女と同じ制服が見えた。
「私の命を賭けても親友の命は奪わさない」
足下に血溜まりができていた。
少女が魔法使いに近づき顔にめがけて手刀を放った。
僕は不思議と体が動いていた。
魔法使いはもう無理はできない。
これ以上は流石に死んでしまう。
そう考えたら今までにないくらいに体が動いた。
僕は少女を体当たりで弾き飛ばした。
少女の標的が魔法使いから僕に移った。
少女は素早く僕に接近しながら正拳突きを仕掛けてきた。
突き出されてきた手に合わせながら横から弾き、足を払う。
少女はバランスを崩して派手に転けた。
少女は立ち上がろうとした時、魔法使いが呪文を唱えた。
「闇に喰われし魂の欠片よ。あるべき場所に還り一つに戻れ」
右手に持った氷の剣が砕け、右手から氷の矢が少女を撃ち抜いた。
少女の体が内側から弾けて光が飛び散った。
そして、倒れた赤髪の少女に光が収束され、赤髪の少女が光によって包まれた。
光が収まり、赤髪の少女を見ると黒髪になり、穏やかな寝息をたてていた。
それを見た魔法使いは地面に倒れた。
「良かった・・・亜夜・・・。君も・・・助けてくれて・・・ありがとう・・・」
魔法使いが僕に言ってくる。
「そんな事はいい。とにかく手当てを・・・」
僕は魔法使いに近づき、傷を看ようとすると、魔法使いは僕を制止した。
「どうせ・・・もう助から・・・ないから・・・」
血を吐きながら言う。
「ごめん・・・これを・・・お願い・・・あなたに預けるわ・・・」
すると、魔法使いの姿が僕の通う学校の制服になった。
そして、手には本が握られている。
それを受け取ると魔法使いは意識を失った。
僕は本を鞄に入れて魔法使いと少女を背負うと僕は家に全力で走った。
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