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(仮題)番長が幅を利かせる和風異世界に転生したけど前世日本に帰りたい  作者: ぱちぱち


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第6話 新しいお仕事

「姐さん、例の漫画ってやつ。読ませていただきましたよ。随分と面白い事を考え付きましたねぇ」

「お、マサシくんちっす。読んでくれてありがとう。ところでマサシくんの彼女が昨日、私とマサシくんの仲を疑ってうちのクラスに怒鳴り込んできたんだけど」

「………………あとで、あすかには注意しときやす」

「いいよ、面白かったし。あ、次はあすかさんに読ませてあげてね。約束しちゃったから」



 おた松くんとの二人三脚で漫画「でんでろでん」を書いてから数日。弟から「ごめん、姉ちゃん。おた松っちゃんが限界だから1週間くらい休ませてやって」と懇願されたため放課後も特に用事がなくぶらついていたら、カッコいいバイクに乗ったマサシくんが声をかけてきた。うぅん、やっぱりデカいバイクにデカい男が乗るのは絵になるなぁ。


 宮本っさんはなぁ。めちゃめちゃ良い人なんだけど思い込みが激しいんだよね。私がマサシくんに「これ読んでみて」って漫画を渡しただけであの人の中では男にノートを渡す→交換日記→お付き合いになっちゃうみたいでいきなり怒鳴り込んできたのは驚いたね。ただ思い込みが激しい分結構なむっつりってのも知ってたから、その時丁度ノートに書いてた落書きを見せたら急に大人しくなった。どうやら耽美系が好みらしい。彼氏のマサシくんは硬派な男前って感じなのにね。


 一度勢いが途切れたタイミングで絵で描いたお話を作ってるから、学領で一番偉いマサシくんに読んでもらってるんだと思考を誘導したら是非読みたいと言ってきた。これで新たな読者ゲットだぜ。


 ただ、「でんでろでん」は男の子向けの絵柄だからお耽美な感じのキャラは出ないんだよね。一応こういうキャラたちだよとは伝えてるから騙された、とは言われないだろうけど反応がちょっと怖い。宮本っさんの件でもだけど学領の人口の内、3分の1は女の子なんだからそっちにも受ける話を書かないとね。「でんでろでん」は男の子が読んでも女の子が読んでも楽しいと思えるシンプルな造りのはずだけども。


 次の話はもっと女の子も受け入れやすい感じにした方が良いかな。ベルばら日本版みたいな感じの話しとか考えてみようかなぁ。



「ところでマサシくん」

「へい」

「今日の要件は漫画を読んだと伝えるだけって事で良いのかな? もしそうならわざわざ探させちゃって」



 私がそう尋ねると、マサシくんは厳つい顔をぐっと歪ませて低い声で笑った。まぁそうだよね。マサシくんは忙しい学領の長。漫画の感想程度なら暇なときに家か学校に来るだろう。それがわざわざバイクまで出して私を探しに来たとなるとそれだけ急いでくる用事がある。


 つまり、新しいお仕事って事だ。





 マサシくんのバイクに二ケツして彼の学校へと移動する。マサシくんの学校はうちの町からちょっと離れていて、バイクで飛ばして10分ちょっとの距離にある多摩山学園という学校だ。地区番長が治める学校のため学校周辺はうちの塵芥町よりも随分と発展していて、一般的に学領都と呼ばれる町だ。


 お、あそこの電気屋にもテレビジョンが並んでる。流石は学領都、品ぞろえが良いねぇ。学領の人間が大きな買い物をするときはここで買うか特別切符を買って東都に行くのが一般的だ。必然的に学領内の物流の中心地は学領都となるため、ここを治める番長が地区番長になる。当然学領内の学徒兵はこの街の番長になろうとするため粒ぞろいになり、そこを制したマサシくんはこの学領最強の男という事になっている。


 そのマサシくんが私にへーこらしてるのは傘下の学徒兵には良い顔されないから、私はあんまりここに来ないようにしてるんだけどね。仕事の話しとなると下手な場所では離せないからまぁ仕方ない。


 メンチ切ってくる若いのをマサシくんが拳骨で沈めながら学園の中へ入り、来客用の応接室に入った私とマサシくんは早速仕事の話を始めた。ここの周囲はマサシくんの下の子ががっちり固めてるからここでの話は外に漏れない。内緒の話しをするにはうってつけの場所だ。



「今回の出張先は九州になりやす」

「九州? あそこの喧嘩合戦はよそ者お断りじゃないの?」



 上質な皮張りのソファに座った私に、お向かいに座ったマサシくんがそう話を切り出した。九州には20と少しの学領があるが基本的に北部九州領と南部九州領がバッチバチににらみ合ってる場所だ。そのため年に一回夏場には九州分け目の喧嘩合戦が行われ、その舞台になる事が多い阿蘇山のすそ野は学徒兵たちの血で赤く染まっているという。


 そんな場所だから傭兵としての仕事はある……と普通ならば思うだろう。これが九州の場合はそうじゃない。北も南も自力で相手を叩きのめすって一致団結してるから他所からの手助けなんて受ける気が毛頭ないのだ。


 私としてはそんだけバリバリ戦いまくってる地域だから裏番長ボタンを持った番長も居るかも、とは考えていたのだ。機会が無かったら夏の合戦前に付近に忍んで両軍の食料に痺れ薬でも仕込んでやろうとか考えてたから、もし合法的に紛れ込めるなら嬉しい限りだ。


 まぁとはいえその辺は仕事の内容によるか。学領を治めたばかりの若い番長がイキってるからこいつを懲らしめて、とかいう場合は大した期待は出来ないからね。



「依頼主は九州1区の番格で太宰という男です」

「おー、人間失格とか言われてそう。てか1区の番格って上流階級じゃん。どっかの武家上がりか華族でしょ?」

「そういう人格の評判はありやせんが、九州1区の番の側近と呼ばれる腕も頭もキレると噂の男です。九州1区の番は大名家の嫡男ですからそこの家来衆じゃないかと」

「ほう。ほうほう」



 マサシくんの説明を聞くとこれはかなり期待できる仕事じゃないだろうか。私の目的もそうだし、報酬の意味でもね。どこの地域の学領も1区に集められる人間は上流階級の子供ばっかりだから基本的に財力がすんごいのだ。話に出てきた太宰くんはその1区の長の側近だっていうし、下手しなくても学領の長であるマサシくんより裕福な可能性もある。


 そしてそんな裕福な階級のエリート様が、他所の傭兵に頼らなくてはいけない事情。良いね、騒動の匂いがプンプンしてきたよ。


 上手い事話が転がれば、ワンチャン九州1区の番。州番の番長ボタンにも手が届くかもしれない。それが出来なくても九州に伝手が出来ればそれでもよし。どう転がっても私にとっては楽しい出張になりそうだね。


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