捕食進化、解禁
読んでいただきありがとうございます。
第2話では、主人公が
「最弱のままでも、生き残る方法がある」
と気づくところまでを描いています。
いきなり無双はせず、
まずは逃げる・選ぶ・喰える相手だけ喰う、
という地味だけど大事な段階です。
この先、少しずつ進化していきますので、
温かく見守っていただけると嬉しいです。
それでは、第2話をお楽しみください。
ネズミ型モンスターを喰ったあと、俺はしばらく動けずにいた。
――生きてる。
それが、率直な感想だった。
洞窟の天井から落ちる水音が、やけに大きく聞こえる。
さっきまで、あの音すら死のカウントダウンみたいに感じていたのに。
「……今の、偶然じゃないよな?」
俺は意識を集中させる。
体を動かそうとすると、ぷる、と粘体が揺れた。
感覚はまだ曖昧だが、さっきより明らかに――安定している。
恐る恐る、脳内に呼びかけた。
「ステータス……確認」
すぐに、無機質な表示が浮かび上がる。
種族:未分類モンスター(最下位)
HP:8
攻撃力:2
防御力:0
「……増えてる」
微々たる変化だ。
それでも、さっきまでHP5だったことを考えれば、大きな一歩だった。
どうやら、俺は――
捕食した相手の一部を、自分の力に変換できるらしい。
「じゃあ……」
試すしかない。
俺は洞窟の奥へ、慎重に移動した。
速くはない。むしろ遅い。
今の俺にできるのは、正面から戦わないことだけだ。
岩陰に身を隠し、気配を殺す。
しばらくして現れたのは、さっきと同じネズミ型モンスター。
単体。警戒心は薄い。
「……よし」
正面から突っ込めば、負ける可能性もある。
だから俺は、地面に体を広げ、進路を塞ぐように動いた。
ネズミが気づいたときには、すでに遅い。
逃げようとした脚が、俺の体に触れ――
再び、溶ける。
《捕食成功》
《微量進化を確認》
二体目。
体積が、はっきりと増した。
輪郭も、さっきより形を保っている。
「……いける」
この世界は、弱肉強食だ。
そして俺は、弱者のまま終わる気はない。
だが、調子に乗る暇はなかった。
洞窟の奥から、明らかに別格の気配が近づいてくる。
重い足音。
低く唸る声。
現れたのは、ネズミより一回り大きい、牙の長い個体だった。
「……強そう」
正直、今の俺じゃ危険だ。
真正面から行けば、捕食されるのは俺の方だろう。
だから――
「逃げる」
生き残ることが最優先だ。
俺は全力で、洞窟の狭い隙間へ滑り込む。
幸い、この体は柔らかい。
岩の間をすり抜け、どうにか追撃を振り切った。
息は切れない。
だが、心臓がないはずなのに、妙に鼓動がうるさい。
「……今はまだ、勝てない相手がいる」
それでも。
喰えば、強くなれる。
生き延びれば、次がある。
俺は洞窟の奥で、静かに決意を固めた。
「まずは……この洞窟を制圧する」
最弱モンスターの、生存戦略。
それは、無謀な戦いじゃない。
喰える相手だけを喰い、確実に生き残ること。
この先にあるのが、進化か、それとも死か――
それは、俺次第だ。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回は
・捕食の仕組み
・生存戦略
・「勝てない相手もいる」
という部分を意識して書きました。
次回はいよいよ、
見た目が変わるレベルの進化が始まります。
ここから少しずつ、
「最弱モンスター」らしさが薄れていく予定です。
感想や評価、ブックマークなどいただけると、
執筆の励みになります。
それでは、次話でまたお会いできれば嬉しいです。




