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『最弱モンスターに転生した俺、トーナメントで強敵を喰い続けたらいつの間にか王になっていた』  作者: パーカー


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15/23

死地の向こうで刃が鳴る

読んでいただきありがとうございます。

第15話は、

本戦第一回戦のフルバトルです。

環境そのものが敵となる戦場で、

ヴォルグは再び「限界」に触れる選択をします。

勝つために削る。

生き残るために壊す。

本戦が、

予選とは別次元の戦いであることを

感じてもらえたら嬉しいです。

それでは、第15話をお楽しみください。

転送が終わった瞬間、理解した。

――ここは、長く生きる場所じゃない。

足元は泥。

いや、泥というには粘性が強すぎる。

ぶくぶくと泡立ち、

触れた地面が、じわじわと溶けている。

「……腐蝕の湿原、ね」

空気を吸っただけで、

体表が微かに焼ける感覚があった。

捕食体の俺ですら、だ。

(普通の個体なら、数分で終わるな)

対面の湿原が、揺れた。

――来る。

霧の向こうから、

何かが這い出てくる。

輪郭が定まらない。

粘体と霧の中間。

触れたものを、同化し、侵蝕する存在。

同化侵蝕体カーヴァス

《グゥゥ……》

声とも音ともつかない振動。

同時に、

足元の泥が、俺を捕まえに来た。

「っ……!」

湿原そのものが、敵だ。

体を広げ、

接地面を減らす。

だが、腐蝕は止まらない。

(長引けば――)

不意に、核が脈打った。

――嫌な感覚。

(来るな……!)

だが、集中を切らす暇はない。

カーヴァスが、動いた。

霧状の体が、

一気に広がる。

触れれば、終わり。

俺は、逆に前へ出た。

「――喰う!」

体を収縮。

一点突破。

だが。

触れた瞬間、

侵蝕が始まった。

「ぐっ……!」

体表が、溶ける。

魔力が、吸われる。

捕食判定が、揺らぐ。

《捕食判定――侵蝕干渉》

(……相性、最悪だ)

捕食すれば、侵される。

離れれば、削られる。

湿原が、逃げ場を奪う。

(なら――)

俺は、限界を思い出す。

第12話で越えた、

あの感覚。

(……使うな)

理性が、叫ぶ。

だが――

今は、生き残る方が先だ。

核を、半解放する。

完全解放じゃない。

あくまで、制御下。

だが――

体が、悲鳴を上げた。

「――ッ!」

形状操作が、暴走気味になる。

だが、その分、

侵蝕を押し返す圧が生まれる。

カーヴァスが、たじろぐ。

《ギ……》

今だ。

俺は、体を多層化した。

外層を捨て、

内層で絡め取る。

侵蝕が、外側を喰う。

だが、核までは届かない。

「――今度は、俺の番だ」

捕食。

《捕食判定――成功》

《侵蝕能力を部分吸収》

体が、軋む。

視界が、歪む。

それでも――

カーヴァスの抵抗が、弱まる。

湿原が、静まり返る。

最後に残った核を、

完全に包み込む。

《捕食成功》

爆発的な魔力の逆流。

膝をつく。

(……勝った)

だが――

喜びは、ない。

体の奥で、

確実に何かが削れている。

(……これを、続けるのか)

湿原が、消える。

転送の光が、俺を包む。

――別視点:レクス

別の戦場。

刃殻種・レクスは、

静かに立っていた。

足元には、

原型を留めない敵の残骸。

「……捕食者め」

空を見上げる。

本戦が始まった。

「無茶をしたな、ヴォルグ」

誰に言うでもなく、呟く。

「だが――」

骨刃が、鳴る。

「その覚悟は、嫌いじゃない」

視線を前へ。

「次は、俺だ」

転送が終わる。

闘技場へ戻った瞬間、

観客の視線が突き刺さる。

歓声。

恐れ。

期待。

全部が、混ざっている。

俺は、立ち上がる。

(……本戦だ)

最弱から始まった捕食者は、

確かに――

王座への道を、踏み進んでいる。

だが、

その道は、

確実に“命を削る道”だった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

腐蝕の湿原戦は、

ヴォルグにとって相性最悪の戦いでした。

・侵蝕 vs 捕食

・環境ダメージ

・半解放という危険な選択

勝利はしましたが、

確実に「代償」は積み重なっています。

また、

レクス側も順調に勝ち進んでいます。

捕食者と殲滅者、

両者が王座へ近づくにつれ、

いずれ避けられない衝突が迫ってきます。

次回は

ヴォルグの身体異変や、

本戦特有の連戦による負荷が

はっきりと表に出てくる予定です。

感想・評価・ブックマークなどいただけると、

とても励みになります。

それでは、次話でまたお会いしましょう。

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