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『最弱モンスターに転生した俺、トーナメントで強敵を喰い続けたらいつの間にか王になっていた』  作者: パーカー


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13/23

捕食者と殲滅者

読んでいただきありがとうございます。

第13話は、

本戦前の小休止として

ヴォルグとレクスの再接触を描いた回になります。

戦闘ではなく、

思想・覚悟・進む道の違いに焦点を当てています。

同じ王座を目指しながら、

まったく異なる選択をしてきた二体が、

今どこに立っているのかを感じてもらえたら嬉しいです。

それでは、第13話をお楽しみください。

控え区画は、静かだった。

闘技場の喧騒が嘘のように、

厚い魔力壁の向こう側では、音がほとんど遮断されている。

俺――ヴォルグは、壁にもたれかかっていた。

(……正直、動きたくない)

体の奥が、まだ熱い。

いや、熱いというより――不安定だ。

核の周囲で、魔力が渦を巻いている。

制御できている。

だが、いつまで持つかはわからない。

「……限界超え、か」

あの最終戦は、明らかに無茶だった。

だが、後悔はしていない。

――勝った。

それだけで、十分だ。

「生き残ったな」

声がした。

低く、冷えた声。

俺は顔を上げる。

そこにいたのは――

刃殻種、レクス。

黒い外殻。

刃のような骨。

闘技場で見た時と、何一つ変わらない。

「お前もな」

短く、返す。

沈黙。

互いに、距離を詰めない。

この距離感が、今の俺たちを表していた。

「……無茶をした」

レクスが、先に口を開く。

「捕食核、限界を超えたな」

(……見抜かれてる)

「殲滅型には、わからない感覚だろ」

俺は、そう返した。

レクスは、鼻で笑う。

「逆だ」

一歩、近づく。

「俺は、“壊れる瞬間”を何度も見てきた」

視線が、俺の核へ向く。

「捕食者は、強くなるほど自分を削る」

「喰えば喰うほど、

いずれ“中身が追いつかなくなる”」

……痛いところを突かれた。

「それでも、お前は喰う」

レクスの声には、確信があった。

「王を目指すなら、そうするしかない」

俺は、黙ったまま頷く。

否定できない。

「俺は違う」

レクスが、壁にもたれかかる。

「俺は、削らない。

壊さない。

殲滅する」

「不要な力は、取り込まない」

「最短で、最強になる」

捕食と殲滅。

同じ“勝ち続ける道”でも、

向いている方向は正反対だ。

「……どっちが王に向いてると思う?」

俺が問う。

レクスは、即答しなかった。

少しだけ、考える素振りを見せてから――

「まだ、わからない」

そう言った。

「だが一つだけ確かなことがある」

視線が、鋭くなる。

「本戦で当たれば、

どちらかは“終わる”」

殺気はない。

だが、逃げ道もない。

「……ああ」

俺は、立ち上がる。

体が、きしむ。

「その時は――」

言葉を切る。

喰うか。

潰すか。

答えは、もう決まっている。

「全力で、やろう」

レクスは、ほんの少しだけ笑った。

「それでこそだ」

背を向け、歩き出す。

捕食者ヴォルグ

殲滅者レクス

「次は、闘技場で会おう」

足音が、遠ざかる。

一人残された控え区画で、

俺は静かに息を整えた。

(……敵だ)

(……だが)

不思議と、嫌な気分じゃなかった。

王座へ向かう道に、

同じ高さで立つ存在がいる。

それは――

恐ろしくもあり、

少しだけ、心強い。

捕食者と殲滅者。

二つの道は、

いずれ必ず――

一つの王座で交わる。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

捕食者ヴォルグ

殲滅者レクス

二体の違いは

強さそのものよりも、

強くなり方への考え方にあります。

・取り込むことで進む捕食

・削ぎ落とすことで進む殲滅

どちらが正しいかは、

まだ物語の中では答えが出ていません。

ただ一つ確かなのは、

この二体が本戦で当たった時、

どちらかが無事では済まないということです。

次回からはいよいよ

本戦1回戦が始まります。

予選とは比べものにならない戦いが待っています。

感想・評価・ブックマークをいただけると、

とても励みになります。

それでは、次話でまたお会いしましょう。

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