第1話 最弱個体、誕生
はじめまして、またはこんにちは。
この作品を読んでくださってありがとうございます。
本作は
「最弱モンスターに転生したら、トーナメントで王になる話」
という、かなり直球な成り上がりファンタジーです。
・チートなし最弱スタート
・捕食進化
・モンスター同士のガチバトル
・最終目標はモンスター界の王
こんな要素が好きな方に、楽しんでもらえたら嬉しいです。
主人公は序盤、本当に弱いです。
理不尽に喰われそうになりますし、逃げ回ります。
それでも「生き残る」ことだけは、絶対に諦めません。
少しでも「続きが気になる」と思ってもらえたら、
ブックマークや評価をいただけると、とても励みになります。
それでは、第1話をお楽しみください。
目を覚ました瞬間、俺は思った。
――あ、これ死んだな。
理由は簡単だ。
体が、ない。
正確に言うと、手も足も感触がない。呼吸もしていない。心臓の鼓動もわからない。ただ、ぬるりとした違和感だけが全身……いや、全体に広がっていた。
「……え?」
視界を動かそうとして、ようやく気づく。
視界が、低い。
いや、低いというより――地面スレスレだ。
ぼんやりした視界の先に、湿った岩壁。天井から水滴が落ち、暗い洞窟の中に反響している。
「ちょっと待て……ここ、どこだよ」
そう呟いた声は、口から出た感覚がなかった。
なのに、確かに聞こえた。
嫌な予感がして、必死に壁際へ近づく。
水たまりに映った自分の姿を見て、思考が停止した。
――丸い。
――小さい。
――濁った半透明。
「……スライム?」
いや、違う。
スライムにしては形が不安定すぎる。
ぷるぷるしているというより、今にも崩れそうだ。
混乱する俺の脳内に、無機質な声が響いた。
《個体情報を表示します》
拒否する間もなく、視界に文字が浮かぶ。
種族:未分類モンスター(最下位)
HP:5
攻撃力:1
防御力:0
スキル:なし
「……は?」
思わず固まった。
最下位?
防御力ゼロ?
スキルなし?
「いやいやいや、さすがに冗談だろ……」
前世の記憶が、ようやく蘇る。
俺は、ごく普通の青年だった。
仕事に追われ、終電で帰宅し、横断歩道を渡って――
トラックのライトが迫ってきて、そこで記憶は終わっている。
つまり。
「……転生、だよな?」
異世界転生。
ラノベや漫画で散々見たやつ。
普通なら、チート能力とか、最強職業とか、せめて人間スタートだろ。
なのに――
「なんで最弱モンスターなんだよ……!」
そのときだった。
洞窟の奥から、かさり、と音がした。
視界の端に現れたのは、牙の生えたネズミ型モンスター。
赤い目で、明らかに俺を餌として見ている。
「おい待て! 今の俺、HP5だぞ!?」
当然、通じない。
ネズミは跳びかかり、俺の体に噛みつ――
触れた瞬間、溶けた。
「……え?」
ネズミの体が、どろどろと崩れ、そのまま俺の中に吸い込まれていく。
痛みはない。
代わりに、体がわずかに大きくなった感覚。
直後、声が響いた。
《捕食成功》
《個体の微量進化を確認》
「……捕食?」
つまり。
俺は喰った。
喰って、強くなった。
最弱。
スキルなし。
防御力ゼロ。
だが――
「生き残れば、成長できる……?」
洞窟の闇の向こうに、さらなる気配が蠢いている。
この世界は、弱者に優しくない。
だからこそ、俺は決めた。
「――最弱でも、生き残ってやる」
いつかこの世界で、
最も喰らう側になるために。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
第1話は
「転生した瞬間から詰んでいる」
という状況を、できるだけテンポよく描いてみました。
主人公はまだ
・最弱
・洞窟暮らし
・名前すら定着していない
状態ですが、次話以降で少しずつ変化していきます。
この先は
捕食 → 進化 → 強敵との戦闘 → トーナメント編
と、どんどんバトル色が強くなっていく予定です。
感想・誤字報告なども大歓迎です。
読者さんの反応が、続きを書く最大の原動力になります。
それでは、また次話でお会いできたら嬉しいです。




