第8話「主の座 ― ギル、撃破」
空が赤黒く染まり、地面が軋む。
ギル魔王が剣を振るい、アヴィリスを追い詰めていた。
「ふはははは!貴様など、我が魔力の前では虫けらよ!」
アヴィリスは四本腕を駆使して応戦するが、ギルの魔力は圧倒的だった。
剣撃、魔導波、空間干渉――すべてがアヴィリスを削っていく。
「ぐっ……でやんす……これは、まずいでやんす……」
ギルが剣を構え、最後の一撃を放とうとしたその時――
マジックBOX内、タクが静かに言った。
「アイ、元ギル軍隊長を召喚しろ。
ゼノン、ゴリアテ、ドーナ――それとゴーレム1000体だ」
『了解です。召喚処理、開始します』
空間が震え、光が収束する。
ギルの背後に、三人の影が現れる。
・大魔導士ゼノン――炎と拘束の魔導を操る天才
・剣神ゴリアテ――四剣流を極めた巨人剣士
・ゴーレム使いドーナ――魔界最大の兵団指揮者
さらに、地面が揺れ、ゴーレム1000体が一斉に起動する。
ギルが振り返り、目を見開く。
「お、お前たち……生きていたのか……!」
ゼノンが冷たく言い放つ。
「いまの主は、お前ではない」
ゴリアテが剣を構え、ドーナがゴーレムを前進させる。
「……なんだと!? クソがぁぁぁ!!」
ゼノンが《炎燃孔》を放ち、ギルの背中を焼く。
ゴリアテが《四剣連舞》でギルの防御を切り裂く。
ドーナのゴーレムが一斉に拳を振り下ろし、地面ごとギルを叩き潰す。
ギルは叫ぶ。
「ぐあああああああ!!
裏切り者どもぉぉぉ!!」
だが、三人の軍隊長は一切迷わなかった。
かつて仕えた主を、今は“敵”として斬る。
ギルの身体が崩れ、魔力が霧散する。
最後の一撃は、ゴリアテの刀による一閃だった。
ギルが膝をつき、呻く。
「……なぜだ……我が力は……」
アヴィリスが近づき、首を傾げる。
「……むむごいでやんすね。敵ながら、かわいそうでやんす」
ギルが崩れ落ちる。
アイが静かに告げる。
『ギル、撃破。収納処理、開始します』
光が収束し、ギルの身体がマジックBOXへと吸い込まれていく。