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第6話「魔導小銃《にいまる》 ― 西部戦線、崩壊の序曲」



チカノート魔国・ネノリゾート

ギル魔王はビーチベッドに寝そべり、ビールを片手にくつろいでいた。 だが、秘書スタインの報告がその空気を一瞬で凍らせる。


「ゴリアテ様が討たれました」


「はぁ?」


「北部に続き、東部も全滅です」


「な、ななな……合わせて二万……!」


ギルはビールを落とし、立ち上がる。


「俺達も行くぞ!」


「は!」


西部戦線・上空

マジックBOX内。 三柱が西部戦線を見下ろしていた。


ラノが呟く。


「順番的には、タクじゃない?」


タクが笑う。


「そうなるか」


リュークは剣を肩に担ぎながら言う。


「俺はお腹いっぱいだ。寝るぞ」


アイが報告する。


「敵の主力はゴーレムです。数は約1000体。 隊長はゴーレム使いのドーナ」


タクが立ち上がる。


「やりたいこともあるし、行くか。 ラノ、中心に転移させてくれ」


「りょうかい」



光が収束し、タクが西部戦線の中心に転移する。 着地と同時に、地面が陥没し、周囲の魔物が吹き飛ぶ。


タクは背中から魔導小銃にいまるを取り出す。 黒鋼の銃身に魔力が走り、銃口が青白く光る。


「さて、始めるか」


――ズガン!


一発目。 魔力弾が放たれ、前方の魔物が頭部を吹き飛ばされる。


――ズガン!ズガン!ズガン!


連射。 魔導弾が空を裂き、敵陣を貫く。 その精度は、もはや“狙撃神”。


アイが冷静に告げる。


『敵、収納完了。眷属化処理中』



隊長ドーナが叫ぶ。


「前線のゴーレムを中央に向かわせろ! 20m級を全力でぶつけろ!」


地面が震え、巨大なゴーレムが動き出す。 魔力で強化された岩の巨人たちが、タクを囲むように進軍する。


「囲め!潰せ!」


だが――


「効かねえよ、そんなもん」


タクが《にいまる》を構え、魔力をチャージ。


「《魔導弾・貫通式》」


――ズゴォォン!!


一発で、ゴーレムの胸部を貫通。 背後のゴーレムまで串刺しにされる。


「……面倒だな。アイ、最大解放だ」


『了解です。最大解放――ゴブリンデウス、起動』



光が収束し、タクの身体が膨張する。 筋肉が膨れ、骨が軋み、魔力が奔流となって地面を焼く。


60m級の巨体――ゴブリンデウスが戦場に降臨した。


「な、なんだあれは……!?」


ドーナが絶句する。


「ゴブリンデウスです!!」


「伝説だろ!?実在した記録なんて……!」


だが、現実は目の前にある。


タクが拳を振るう。 20m級のゴーレムが、まるで紙のように吹き飛ぶ。


「どけよ」


タクが踏み込むたび、地面が陥没し、ゴーレムが砕ける。 その破壊力は、もはや“災害”。



ドーナは魔導端末を握りしめながら叫ぶ。


「全軍、後退!後退しろ!!」


だが、遅い。


ゴブリンデウスが両腕を振り上げ、地面に叩きつける。


――ズゴォォォォォン!!


衝撃波が走り、ゴーレム部隊が一掃される。


「……なんか疲れたな。アイ、戻してくれ」


『了解です』


光が収束し、タクは元の姿に戻り、マジックBOXへと帰還する。



タクが振り返る。


「おい、黒龍」


「ボス、なんでゲス?」


「あとは任せた。全滅させろ」


「ドラゴン使っていいでゲスか?」


「ああ。お前の部下だ。好きにしろ」


「アイ様、ドラゴン全体降らせて下さいでゲス!」



空が裂けた。 黒龍が咆哮を上げながら、戦場に降り立つ。


「こ、黒龍です!!」


「なんでだ!?なんでこんな……!」


ドーナが空を見上げる。


「空から……!」


200体のドラゴンが、空から降ってくる。


――ドォォォォォォン!!


着陸と同時に火を噴き、暴れまくるドラゴンたち。 黒龍が先頭に立ち、咆哮を上げる。


「全員、焼き尽くしてやるでゲス!!」


炎が戦場を包み、ゴーレムたちが次々と溶けていく。 西部部隊――崩壊。


アイが冷静に告げる。


『西部部隊、戦闘力喪失。収納処理、開始します』

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