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常連どもの悔しがる顔が浮かぶぜ

 昼と夜とでは毎日見慣れたはずの街並みが違って見えると言われている。

それが破壊され通れるはずの道が通れず、火の手も上がっており大小様々な魔物が襲ってくるとあれば尚更だ。


「邪魔だカスども!」


 全身が鋭利な爪の様な物が生えており、身体を高速回転しながら接近し相手を削り殺すずんぐりむっくりしている魔物、スリバーの群れを衝撃斬で吹き飛ばしたヴィーアはドロップアイテムも拾わず駆け抜けランバージャックの店へと急ぐ。


(もうすぐ店だってのに敵が多いぞ、ランちゃんはぷち巨人族だし戦える方だが…)


 更に大型魔物、スーパーゴブリンの踏みつけを回避し膝を足場に更に跳躍し首を斬り付けると血が溢れ家々を汚す。最初は持っていた棍棒を振り回していたが、やがて血が無くなったのか力なく倒れる。

ヴィーアは息が上がってきたが、戦闘音を聞いたのか他の魔物がワラワラと集まってきたので休むことも出来ず見付かる前に走り続ける。


「ようやく着いたぞ…はぁーしんど」


 ついにランバージャックの酒場の通り向かいまで辿り付いたので物陰から入り口を観察する。窓は破壊され、魔物が一体干される様に死んでいるし扉は穴だらけだがまだ破られておらず、前には小型の魔物が多数倒れている。

左右敵がいないことを確認すると駆け足で通りを渡り入り口に近づくと、そっと鍵も丁番も壊れた扉を開けると割れて中身が僅かに残っている酒瓶がコロコロと転がっていく。

中は昼間だと言うのに薄暗く入り口から最も遠い角など光が届かず何があるか分からない。辛うじて机や椅子で積み上がってバリケードになっているのは分かるのだが…。


「おーい、ランちゃーん…」


 思わず小声になってしまったが、もう一度目を凝らして明るい方から暗い方へ順に店内を見渡してバリケードを見ると机と椅子の隙間から見慣れた紅い獣耳が見え、その下には蒼い眼と無骨な、ぷち巨人族が好んで使う火薬を要いて鉄の粒を飛ばすハンドキャノンに僅かな光が反射し…。


「バッカヤロウ!」


咄嗟に横に飛び地面に伏せ、顔から腹をロングソードで守ると耳をつんざく音がしたかと思うと頭の上を熱い何かが通過した。


「撃つな俺だ!」

「…ヴィーア?」

「そうだ!殺す気か!?」

「殺す気はない…ごめんなさい」


 ガタッと物音がし、バリケードより高いランバージャックが頭を出す。

硝煙が立ち込めるハンドキャノンを持って、申し訳なさそうな顔で謝り、こちらにやってくる。


「当たんなかったから良いけどよ…相変わらずすげぇ武器だな…」

「ほとんどの人間には扱えない反動と給弾機構、ぷち巨人族が経営する酒場のカウンター下には必ず入っているもの…大抵カウンターに座ってるお客さんの股間を狙っているから、強盗とかバカな事しないように気を付けて」

「お、おう…俺は和姦派だからな…大丈夫だ」

 

 実は今まで何気なく酒を飲んでいたがムスコの危機だったと知り、無理矢理ナニかしなくて良かったと思い身体を震わせた。


「まぁいいや、ランちゃん一緒に逃げるぞ」

「…もしかして私を助けに来た?」

「他に何がある、今は酒はいらんぞ」

「ヴィーア、彼女いっぱい。私に構う時間ないから」

「何言ってんだ、まだヤらしてくれないがランちゃんだって俺のお気に入りの一人だぞ」

「本当?だったら、それはとても嬉しい事…」

「おっ?」


 ランが少し膝を折り、ヴィーアと視線を合わせると背中に手を回し抱き締めた…ぷち巨人族の基準で。


「あだだだ痛い痛い!おい死ぬ!死ぬって!」

「ごめんなさい...殺す気はない」

「全く…俺がやってやるから大人しくされてろ」

「うん、分かった」

「もうちっとしゃがめ」


 メキメキ鳴った背骨を確めたあと、ランの頭を優しく抱き締め髪と耳を撫でてやると、気持ち良さそうにしている。


「よく生きてたな、偉いぞ」

「私、戦うの苦手だけど…頑張った」

「そうだな、魔物もたくさん倒してる」

「怖かった…怖かった!」

「よしよし、もう大丈夫だ。俺がいる」


 堰を切ったかの様にランは泣き出し、ハンドキャノンを落とし、ヴィーアの服を握っている。ヴィーアはランが落ち着くまで頭を撫でてやった。


「…もう大丈夫、来てくれてありがとう」

「おう、無事で何よりだ。ヤらせてくれたらもっと嬉しいぞ」

「お礼にしてもいい…でも私が抱き締めると人間はすぐ死んでしまうの。」

「お、マジか!ちょっとくらい抱き締められたって俺は死なんぞ!」

「感じた時、絞まりが良くなったらヴィーアのアレを中で潰しちゃうかも」

「俺様のは特別製だ、鋼並に固い!ホントはちょっと、いやかなり怖いが…ヤって死ぬなら本望だ!」

「ふふっ、本当に変わった人…でもここにはお布団は無い」

「うーん、ビリヤード台があるじゃないか。ここでヤろう」


 ヴィーアがウキウキでランの手を引くと台の上に座らせ上着を脱がせに掛かる。シッポが左右に揺れナインボールがポケットに入る。


「お客さんが好きだから置いてるけどルールは分からない」

「棒で玉を押して穴に落とすんだ、俺も詳しくは知らん」

「そう、一緒にやってみる?」

「それはまた今度だ。今は、こっちの棒を穴に挿入る遊びをするぞ!」

「あっ…」


 キューとボールをどかし寝かせるように押すと素直に寝転ぶ。2メートルぴったりのランが台の半分が上半身で埋まり、足を持ち上げスカートからパンツを引き抜くと初めて恥ずかしそうな声を出した。


「魔物が来たらどうしよう」

「ようやくランちゃんを抱けるんだ、本当はゆっくりたっぷりしたいんだがさっさと済ませないとな」

「時間がある時に、また…ね」


 ヴィーアは近くにあったウィスキーの瓶から口に含むと、ランに口移しをしてから1時間程楽しんだ。


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