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さっさと救出して御礼をもらうぞ

 ヴィーアは思う。

クリア後のダンジョンをまた潜る程虚しい物はない、しかもそれが初心者のダンジョンと言うなら尚更だ。宝箱の中身でさえ期待出来ないし場所だってギルドロビーに無料で配られてる初心者旅のしおりに網羅されてる。と言うよりなんでこんな簡単な遺跡で脱出出来なくなるんだ、出てくる魔物だって戦える人間4人もいれば安全に踏破出来るような遺跡だ、それが8人もいてどうなっとるんだ、と。

遺跡の前に馬車を止めたヴィーアはズボンのベルトを締め直し荷台に声をかける。


「よし君はもう行っていいぞ。俺はもうイッた

からな!」

「こっのぉ覚えてろ…いつか殺す…」


 覚束ない足取りで半裸のまま走り出す盗賊女。


「おう抱いた女は忘れないぞ、元気でなー今度は風呂入ってから来いよー…さて、いくか」

「いってらっしゃいでがす」


 御者台からバルボが手を振っているのを無視しながら足を踏み入れた。


 グリコ遺跡地下5階まで、ボスは足が早い人形の魔物である。

レベル的にもヴィーアを害せる魔物はほとんどおらずガンガン進んでいく、途中で壁にボロの短剣が刺さっているのを見つけた。


「俺が使うには短すぎるが、売れば1銅貨にはなるか?」


 引っこ抜き道具袋に放り込み移動を再開する、1時間も歩いたらボスの間にたどり着いたのだが。


「おらん」


 てっきり誰か怪我をして動けなくなってしまったが助けを呼びに行くことも出来ず、見捨てて戻る事も出来ずに立ち往生していると踏んでいたヴィーアの考えが外れてしまった。


(仕方ない、戻ってみるか)


 少し引き返したところで…


・・・てぇー!誰かぁーーー!!!


「おっ、声はするが反響してわからんぞ」


 この階にいるのか、遠いのか近いのかいまいち特定出来ないのでヴィーアも返事をしてみることにした。


「おーーーい、助けにきたぞーーーどこにいるんだー!」


 山びこが反響したのち若い女性に声で返事が帰ってくる。


「ああよかった!私たちは地図にも載っていない隠し通路で迷ってしまって!」

(隠し通路?今まで何人もこの遺跡に入ったが隠し通路を見つけたなんて話一度も無かったんだがな、これは何か美味しい予感がするぞ!)

「分かった、落ち着くんだ。どこから入る!?」

「誰も拾わなそうなボロボロの短剣が刺さった壁の近く!あんなの初心者の私たちでも拾わないから目印になると思います!その近くの行き止まりの場所から入れます!」


無言で道具袋を見つめる。


(どうする、全然場所なんて覚えてないぞ…行き止まりってあそこかぁ?)

 

 頭に地図を呼び起こし何となく走り出す。

「ここだったか…?」


 辺りの壁を触ってみるがそれらしい所は無い。


「お願いします急いで下さい!隠し通路の敵はとても強くて…もうそこまで来てます!」

「だーっ分かってる!」


 ヴィーアはさっきより本気で走る、そうすると何となく思い出してきて、行き止まりに当たる。

「ここじゃないか?…おお、短剣が刺さってる穴があったぞ」


 壁に手を伸ばしてみると壁はあるのに人一人すり抜けられる箇所を見つけた。


「よくこんなところ見つけたな」


 走りながら、なにやら面倒な事になりそうだと大きく息を吐いた。







遺跡やダンジョンで人が死ぬと、その装備が魔物によって宝箱に運ばれ、それをエサにして魔物は人を襲います。

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