たまには毒も悪くない
避難所となった商館、その中庭で剣戟の音が響く。
だがいまアカンの街を襲っている未曾有の魔物大侵攻で避難所が襲われている訳ではなく二人の褐色耳長族の女性とヴィーアの戦いだ。
そして耳長達は焦っており、逆にヴィーアは余裕でいつもの不敵な笑みを崩さない。
「ほれほれ、さっきの威勢はどーした!パイターッチ!」
「くっそ、面白ぇくれぇ当たらねぇ!」
「笑う余裕もねぇ…オラァ!」
姉貴と呼ばれた褐色耳長は二本のシミターを巧みに振り回しヴィーアの間合いに入るがどうにも当たらない、剣でいなされステップで躱され熱が入り大振りになった所にパイタッチされる始末だ。
そして妹は弓に矢を三本つがえ、一発目を避けられても避けた先を予測して発射しているのだがそれも当たらず姉を盾に射線を切られたり苛立ちを隠せずにいる。
「ふはははは!なんだ口程にも無いなぁ、まぁ俺様が強すぎるんだ気にする事は無いぞ!」
「意味分からねぇ!バケモンかこいつ」
「姉貴!邪魔だ射てねえ!」
「お前が移動しろ!」
姉が走りながら剣を振るのに対してヴィーアは高笑いしながら後ろに下がり二本のシミターを弾いている様子はもはや喜劇であり、観客と化した避難民の子供達は楽しそうに笑っていて、それがまた双子達を苛立たせる。
(カカッ!どうなってやがる…アタイ達だってレベルは高い方だ。それがこんな一方的だなんてな、笑えてくるぜ!)
その一方で攻撃を軽くいなしながらヴィーアも不思議に思う。
(俺が強いのはもちろんなんだがさすがに弱すぎねぇか?しかしそろそろ疲れてきたぞ…)
「どうした!動きが鈍ってきやがったぞ!」
「カカッ!ついに体力切れか!?」
「こらー二体一とは卑怯だぞ!しかも殺す気で来やがって!こっちは怪我させない様にしてんだぞー!」
「面白ぇくらいバカにしやがって!」
「本当に殺し甲斐があるなぁ?」
理由は分からないがとにかく目に見えてヴィーアの動きが悪くなってきたのを心配したベルは何か心辺りは無いかカレインに聞いてみた。
「カレイン様、ヴィーア様はどうしてしまったのでしょうか?…どこか具合でも悪くしてしまったとか」
「うーん分からん…体力が無い人では無いからな、なんだか戦いの中で能力が下がった様な…まるでレベルが下がって身体が頭に付いて来ない様なチグハグさを感じる…」
「そんな…戦いながらレベルが下がる事なんてあるのでしょうか?誰かの妨害…?」
「レベルダウンの魔法なんて聞いたこと無いからな、考えられるとしたら呪われた何かを装備しているとかか?」
「呪われた道具…」
「「うーん…あ」」
辛うじて攻撃を受け、地面を転がって避けるヴィーアは最初と打ってかわって焦っていた、漲る様だった身体から力が抜けるかの様だったのだ。
(なんなんだこりゃ、力が入らなくなってくる…さっさと倒さんと逆に殺されちまうぞ。ヤる時に影響無いようにしたかったがそうも言ってられん、本気で倒すか)
「弓があることを忘れたか!?ジャンプするなんてバカな奴だ、今だぶっ殺せ!」
「カカッ!待ってたぜぇ、ハリネズミになりなぁ!」
「美人だからって調子に乗りやがって!死んでなかったら腹に穴空いててもヤるからな、食らえ衝撃斬!」
「なっ、攻撃スキル持っていやがった!うぐぅぅ!」
「姉貴ー!」
不意に放ったヴィーアの衝撃斬は姉の攻撃に合わせて飛来してきた矢もろとも吹き飛ばし、壁に叩き付けられた姉はそのまま気を失った。
「はぁーしんど…よーしまずは一人片付けた…あとは君だけだ、大人しく降参すれば早く気持ちよくなれるぞーおすすめだぞー」
「カカカッ!姉貴が気絶してるとこなんざアデルとヤった時以来だ、久し振りに見たぜ!」
「なんだとあのマフィアジジイ、もうお手付きしていやがったか、ムカつくぜ!だがな、すぐに上書きして俺が一番だと覚えさせてやる」
「ヤってみろよ!アタイは弓だけじゃねぇぞ!」
「はん、そんな付け焼き刃のナイフが俺に当たるもんか!」
弓を捨てた妹は太もものナイフホルダーからナイフを抜くと地を這う様に接近して、防ぎにくい脚を狙い斬撃を放つ。
確かに姉に比べ接近戦は苦手だった、だが遠距離攻撃だけでは上位ランクには到達出来ないし、そんじょそこらの男に遅れを取らない程度には自信があった。またナイフには痺れ毒が塗られておりどこか少しでも掠ればオークの様な巨体でもたちまち動けなくなる麻痺毒だ、それを狙う為に浅く隙の少ない動作で狙う。
(とにかく一発当てさえすればいい!)
妹は油断なく攻めたつもりだった、離れた獲物を弓で狙う時と同じくらい冷静に広い視野を持ち、確実に息の根を止める。
だがヴィーアは一瞬の判断で足元の砂を蹴り巻き上げた為目に砂が入り視界が一気にゼロになる。
「ぐあっ、目が見えなくてもよぉ…こんなに近づかれたんじゃそこにいんだろうが!?」
「うあぁぁやめろぉお!」
(声まで出して知らせるとは、バカめ!)
声が聞こえた方へ走る方向を微調整しナイフを振り抜き…壁に激突した。
「がはっ」
「ふーう、血塗れでヤるの嫌だし怪我させないってのは性に合わないな…だがこれで綺麗な状態でゲットだ!」
ジャンプし、壁に剣を突き刺したヴィーアは身体を振った反動で剣を引き抜き降りてくるとナイフを拾い上げ妹の指に少し刺した。
「うっ」
「やっぱり毒を仕込んでいやがったか、君みたいな戦い方の奴は大抵毒頼りで分かりやすい」
妹は毒が身体を回ってきて口を閉じる筋肉も弛緩し舌がだらしなく出てきて、涎がダラダラと垂れてくるのを見たヴィーアは戦いで引っ込んでいた自分の一部が再び固くなるのを感じた。
「ごくり…よーし!勝者の特権だ!今すぐベッドにゴーだ!!」
「あ、あぇ…ぁぇ…」
妹を肩に担ぐと今だにのびている姉を叩き起こす。
「おら起きろ!さっさとイクぞ!」
「う…あぁ?」
「お前らの負けだ、分かるか?まーけー!今からご褒美タイム!ついてこい!」
姉はヴィーアの肩に担がれている妹を見て、全てを悟ったのだった。
「それで?こうなったからには従うがどうすればいいってんだ…」
「うーん、妹の方はしばらく動かなそう出しなぁ…こっちは転がして突っ込むとして君にはまず妹を濡らして準備して貰おうかなぁぐふふ」
「なんだと!?アタイに…妹のを舐めろってのか!?」
「妹を守るのは姉の仕事だと思うんだがなぁ、俺はこのまま突っ込んでも良いが妹は痛いだろうなぁ…?」
「こっの…クサレ変態野郎が!」
「舐めながら自分のも準備しておけよー、妹が済んだら今度はこっちだ!」
逃げられないと覚悟を決めた姉は妹に顔を埋め…ヴィーアは2時間ばかり楽しく過ごした。




