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何がなんでも参加してやる

 王女の部屋と言うものに初めて入ったヴィーアだが、きっとこの部屋は特別変わっていると思う。

フーキ国名産のお菓子の箱が山積みにされていたり、雑多だが精巧な木工品が化粧台の上にあったかと思うと立派な背表紙の本がずらりと並んだ本棚がある。まるで王女と庶民が相部屋してるかの様だ。

 

 ヴィーアとカルミティが名を名乗るとこれまで一緒にいた文官は退出する。


「それでは皆様、私はこれにて。まもなく食事の用意が出来ますのでそれまでこちらでお待ち下さいませ」

「はーいよ」


 ラーナナはベッドに寝転びながら文官の顔も見ずに手をひらひらさせている。


「でさ、鏡の中ってどうだったの?」

「鏡の中?」


 でかいソファに一人で寛いでるクーデリアがどういう事か聞き返す。


「俺達はこの城にある鏡に住み着いていた精霊を助けに行ったら悪魔がいたから殺したんだ。ちなみに精霊のフィルギーは可愛い娘だったぞ」

「左右判定の世界なんだけど物とかそのまま置いてあって不思議な感じダ…デス」


 偉い人に囲まれた、一般常識を弁えているカルはラーナナにベッドへ座らされ撫でられているが萎縮して縮こまっており、尻尾まで股下に入っていて見ていて気の毒になる。

ちなみにヴィーアは室内を物色するのに立ち歩いてる。


「生まれたての悪魔か?その程度なら余も何匹も倒している。何故か血生臭い権力闘争が激しい我が帝国は悪魔に付け入られ安いらしい。愉快であろう?観光に来るとよい」

「うわー行きたくねー」

「はっはっは、全く」

「ねーフーキの方が暖かいしお魚美味しいし絶対こっちの方がいいよねーヴィーア分かってるぅ!」

「物理的にこの暖かく魚の旨い地をカークト領にしてやっても良いのだぞ」

「あはははムリムリ!カークトからフーキ来る迄にどれくらい山越えしないと行けないと思ってるの?海から来る?うちの3割くらいしか船無いでしょ?兵站もたないよぉ」

「いつまでも帝国海軍が貧弱と思うなよ、フーキの戦艦より大口径砲を開発している所だ、自慢の海軍を海の藻屑になった後の事を今の内に考えておくのだな!」

「クーったら相変わらず器用ねー寝ながら話してるのかしら」

「こらこら、急に戦争しようとするな。巻き込まれて女が死ぬ。お、パンツ見っけ」


 タンスを漁っていたがこのままだと物騒な話しに行き着きそうだったので止めに入ったのだが、二人の王女はさして本気と言う訳でもなくただ仲の良い友人同士で冗談言っているだけに過ぎなかった。それが多少物騒だっただけである。


「ジョーダンよジョーダン、私達とっても仲良しだもんねー!」

「今日の朝食何食した?程度の会話である、案ずるな」

それに、とクーデリアは続ける。

「我が帝国が軍拡をやめないのは北の魔族領を睨んでの事だ…一部の阿呆どもがこそこそやっている様だが、父上は賢王だ。今さら人類で争う事はせぬよ。そんなことより貴様…」

「ん?」


 ヴィーアは漁るのをやめてクーを見る。


「何をしているか」

「勇者の特権でな、俺もいつ魔族と戦っても良いように軍拡に励んでいる所だ!」

「あはははやーめーてーよーもう!お姉ちゃん流石にパンツは見られたくないかなぁ、打ち首にしちゃうぞ!」


 ヴィーアは、なんだか本当にされそうだからそっとパンツをタンスに戻した。


 食事の用意が出来たとの事で近衛兵がラーナナとクーデリアを呼びに来た。


「ラーナナ姫、参りましょう。」

(この近衛どこかで…なんか気に入らん顔しているな)


 ヴィーアがやって来た優男風の近衛を思い出そうとしたが男に使う記憶を持ち合わせていない為すぐ諦めた。


「じゃあねーまた遊びに来てねー」

「中々面白かったぞヴィーアとやら、息災でな」

「へ?」


 近衛兵に連れられ二人とメイドは行ってしまった。


「ヴィーア殿達は別室ですぞ」

「なんだとこの野郎!」


ヴィーアは文官の首を締める。


「流石に国王へのお目通りは厳しいですぞぐえええ!」

「やめようよぅ、色んな国の王様達がいる中で飯食っても味しねぇよぉ…それより私と二人っきりで食べた方ガ…」


 カルがもじもじしながら言うと握る手を緩め考える。


「それも楽しそうだが…ダメだダメだ!俺は姫達とお近づきになりたいんだ、ゼロ距離までな!だいたいなんであのメイドは良くて俺達はダメなんだ!」

「それはクーデリア様にお仕えしているので当然かと…護衛でもありますし」

「なら俺もラーナナちゃんの護衛になってやる、それなら良いんだろ?」

「もう専属の騎士様がおりますから無理ですぞ」

「なんだと…まさかさっきのあのムカつく顔の奴か!?そいつクビにして今から俺に変えろ!」

「無茶苦茶な!」


 ヴィーアが駄々っ子の如く騒ぎ立て、カルはしゅんとしていて、文官は面倒臭いなこいつみたいな顔をしている所に、いつぞや中庭で出会った双子が執事を連れてやって来た。


「あ、ヴィーアなの」

「今日もクレバーなのね」

「おうがきんちょか、こんな所で何してんだ。子供は寝る時間だぞ」

「これから皆でご飯なの」

「クレバーな王女だからご飯食べた後も勉強が待ってるのね」


 片割れはクレバーが気に入った様で意味も分からず多用している。


「ん?お前ら王女だったのか、てことはラーナナちゃんの妹?」

「知らなかったのかヨ」

「知らん、がきんちょはまだ眼中に無い」

「ホントなんでヴィーアって殺されないで生きていられるんだろうナ」

「リーナナ第二王女とルーナナ第三者王女ですぞ」


ちなみに、~なのと言っている方がリーナナ、~ねと言っている方がラーナナらしいがヴィーアには見分けが付かなかったが、一つ思い付いた顔をした。


「お、そうだがきんちょども。一日だけ俺を護衛騎士に任命しろ、そうすれば晩飯に参加出来るんだろ?」

「おひい様、なりませんこのような素性も分からぬ見たことも無い男」


初めて執事が口を開く。


「じいや、もうヴィーアと会っているのね」

「チホーだからしょうがないの」


そう言われてヴィーアと執事の視線が交差し…


「あぁぁぁぁぁぁ!!!!あんの時のくそジジイ!」

「どちら様ですかな?」


 ヴィーアが剣を抜こうとしカルがそれを精一杯止め、双子はきゃっきゃしていた。

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