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行き掛けの駄賃を捕まえるぞ

~アカンの町から出発してから15分後~


「おいまだ辿りつかんのか」


 不機嫌そうなヴィーアが荷台から顔を出す。


「へぇヴィーア様、1時間かかるもんで…5分後とに聞かれても無理でがす」


 彼の名はバルボ。

馬車を操るのはずんぐりむっくりした樽族の男、人間で言う40歳くらいの顔つきだが人間で言う18歳である。(種族的な事で顔立ちだけ男は18歳で一気に老ける、女は30歳で一気に老ける。ただしそこからは殆どは老けない)


「くそ、暇だ。たちんぼの女いたら起こせ、俺は寝るくだらん事で起こしたらケツに剣ぶっ刺してやる。だいたいなんで俺の御者はいっつもこいつなんだぶつぶつ…」

「はいでがす」


 酷い言われようだが嫌な顔一つせずバルボは返事をしヴィーアがよく眠れるようになるべく振動を出さないように、でも速く運転する。

しばらく順調に進んでいた頃だった、1本の矢が御者台に突き刺さると前方から薄汚れた格好の人間が三人出てきた。


「ヴィヴィヴィヴィーア様!盗賊でがす!」

「なんじゃあって囲まれてるじゃねぇか!」


 後ろからも二人しっかり退路も塞ぐように盗賊が出てくる。


「そこの兄ちゃん出てこい、おかしな真似したら余計に痛ぇ思いするぜ。」

(…む?女の声!)


 荷台から文字通り踊り出たヴィーアは素早く盗賊の顔をチェックする。


「何をキョロキョロしてや」

ざっしゅー


 退路を塞いでた二人の盗賊が迂闊に近付いた結果一人は喉を一突きされもうひとりは首に剣がめり込む。


「お、発見」

「や、野郎やりやがった!」

「み、見えなかった…気を付けろ!かなりの腕だぞ」


 怒りと動揺状態になった盗賊達を尻目にヴィーアは倒れた盗賊Aの頭に足を乗せなんとか剣を引き抜く。


「ほう!ほうほうほう耳長ちゃんか!良いじゃないかたまには人間以外でも良いと思っていたところだぞ!」


 ボロの外套から覗く長い耳、淡い緑の長い髪は盗賊生活で痛んでしまっているが耳長族は総じて整った顔立ちをしている事もあってすぐにヴィーアの中の抱ける基準をクリアした。


「こ、こいつ一体何を言って…!」

どすっ


 会話の途中でもお構いなしに剣を投げつけ盗賊Cを倒す。剣を投げると同時に走り出したヴィーアはその隣に立っていたDの顔面に飛び膝蹴りをかましそのままの勢いで体重をかけた。


「けっ、雑魚が…さーて待たせたな耳長ちゃん」

「く、来るな!なんなんだお前は、人を躊躇なく殺しやがって、どこかおかしいんじゃないのか!?」


 怖い、殺される…恐怖のあまり後退り、背中が木にぶつかる。そこで自分が初めて弓を持っていた事を思いだし半狂乱で矢をつがえ弓を構える…が。


「そーい!」


 ヴィーアは目にも止まらぬ早業で盗賊の外套をひっぺがしたかと思えば顔をや身体をべたべたさわり出す。


「や、やめっ…触るんじゃねぇ!」

「うーん盗賊なんかやってるから多少匂うがやっぱり上玉だ、お前かわいいじゃないか!」

「か、かわいい!?変なこと言うな、放せ!!」


 じたばたと暴れるが全く相手にならずついには馬車に運び込まれてしまう。


「うぁ、ヴィーア様!お、終わったがすか?」


 頭を低くして隠れていたバルボが戻ってきたヴィーアに気付き声をかける。


「いーや今から始まるんだ!お前は運転してろ!」

「は、はいでがす」

「やーめーろー!!!」

「はーっはっはは抵抗は無駄と知れ!俺に武器を向けた時点で優しくしてやらんのだ!」


 遺跡までの残り30分の道のりを、エロい声を響かせながらやたら揺れる馬車が行商人に目撃されるのだった。





これで手持ちぶさたにならなくなったね!

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