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まずは買い物だ

 鏡に映っている自分の顔は、本当の顔で無い事を知っているだろうか。

鏡と言うのは反転して映すので鏡で見た自分が良い感じに映っていても人からはそうは映っていないので過信し過ぎない方がいい。


 鏡を抜けるとそこは、左右反転になった世界だった。

目を覚ますと、変わらず塔の中で気付かなかったが外に出ると記憶にある城の監視塔の位置がやや違っていて元の位置と反転したのだと察するのにはそこまで時間がかからなかったヴィーア達は探索に出ることにした。


「ヴィーア、見てみロなんかスゴイ!変な感じだナァ!」

「見えねぇんだよ!いてて…思いっきり殴りやがって!」


 顔を大きく腫らし、目蓋はたんこぶで視界が糸目くらいしかなく今は治癒をかけていた。


「ふン、こんな美少女とキス出来たんだ、安いもんだロ!」

「こんなイケメンとキス出来たんだお礼にヤらせろ!」

「分かった、もう一発殴られたいのナ?」


じゃれ合いはしばらく続いた。


 魔力が切れたが目は見えるようになったので本格的な探索を開始する事にしたヴィーア達は城へ歩き出す。


「こう言うの時悪いヤツってのは玉座に座っていて人質は牢屋にいるのがお決まりだ」

「おォ~頼もしいじゃんカ。当たり前の事しか言ってないけどナ」


 正面の扉近くにたどり着くが気配を感じ物陰に隠れ辺りを伺う二人。


「こんなところに人間?」

「いーやアレは悪魔と取引して魂を抜かれた人間のなれはて、尖兵みたいなモンだヨ、雑魚だね。でもあれがいるって事は絶対悪魔いる!うへぇ悪魔は強いゾ~、こんなところで出るなんて聞いてないから特攻武器なんか無いヨ、聖なる道具でもあればナァ」


 なれはて達は扉を警備している訳でも何をする訳でも無いが仲間と解読出来ない言語で会話している。


「聖なる道具ねぇ」

「…なんの事か分かるよナ?」


 ピンと来てなさそうなヴィーアに一応聞いてみる。


「塩とか油とか水だろ、あと聖なんちゃら教典みたいな呪文とか」

「市販の塩とかじゃダメだゾ、ちゃんと祝福されてないト…うーーんどうしようかナァ。あと聖ルクシエル教典ナ」

「だったら街に戻って教会行けばいいだろ」

「それダ!オマエ天才だナァ!」


二人はその場を後にした。


 街はもちろん無人ではあるが現実世界で置いてあった物はそのまま此方の世界にもある、商店のかごには果物やアクセサリーが置いてあるし武器屋だって全て100%オフだ。


「オマエとんでもない奴だナ!よくこんな事次から次へと思い付くヨ」

「なっはっはっは!一番良い武器と防具持っていくぞ、カルも好きなもん持ってけ!」


ヴィーアは上機嫌に店内を物色していく。


「そう言えばなんも防具付けてなかったしな、

てけとーに奪うぞー。こう言うのはな、店の奥に良いもんあるんだ」

「へェー…って何で知ってるんダ?」


カウンターを乗り越え、店の奥へ向かったヴィーアは思惑通り良いものを見付ける。


「む、お宝の予感!」


 チェストを発見したが鍵が掛かっているようで開かなかったので武器屋の寝室を探してみる事にした。

お目当ての物はベッド脇の小さなテーブルに入っておりすぐ見付ける事が出来たので戻ってチェストを開けたのだが…


「こいつ浮気してんのかよ、クズだな」


 チェストの中には白銀の胸当てと対熱の厚手のマントが入っていた。

それだけなら良かったのだがチェストの底に隠しスペースがあり、そこには妻子もちで有りながら教会のシスターと不倫をしている事を裏付ける手紙が何通も出てきた。


「なぁにが「貴方に災いが降り掛からないように首飾りを作ったのよ、私の下着と一緒に保管しているわ!」だ」


 高音の声を出しシスターの真似をしているとカルが入ってくる。


「なに気持ち悪い声出してんダ?おぉ~いい装備じゃんカッコいイ!」

「ここの武器屋は女の敵だが品揃えは悪くなかったな」

「女の子テキ?オマエじゃン」

「可愛い子の味方だぞ」


 武器屋を後にし、お目当ての教会に辿り着く。


「左右反転してるだけでなんか方向感覚おかしくなるな」

「分かル、無駄に時間掛かっちゃったネ」


扉を開け祭壇へ歩く。


「よし者共、なんでも良いからやんごとなき物を持ってこい!」

「アイアイサー!キャプテンは?」

「俺はちょっとシスターのパンツ見にタンス漁ってくる」

「ハ?まぁいいやいても邪魔だシ…」

「失礼な事言うな聞こえてるぞ!」

「聞こえるように言ってんノ!」


 シスターの部屋に来たヴィーアは早速タンスを漁る。

「こ、これは聖職者ともあろうものがこんなスケスケやアミアミだなんて…これじゃ性職者じゃねぇか!」


 様々なパンツを楽しんでいると、例の首飾りを見つけた。


退魔の首飾りを手に入れた。


「今の状況にぴったりだな、有効に活用してやるぞ」


用を済ませカルの元に戻った。


「おーパンツ覗き魔、満足したカ?」


 祭壇に腰掛け聖水を小瓶に詰めていたカルは興味無さそうに聞く。


「パンツってのは履いてる女によって牛乳拭いた雑巾以下になったり金以上の価値が出るもんだ、単体じゃただの布だぞ」

「キモッ、ねぇいつもそんな事考えてんノ?」

「そうだ!(速答)」

「鳥肌立った、見てコレ!」


 鳥肌が立った腕を見せてくる、よく見るとしっぽの毛も逆立っている。


「たーっち!」

「ヤメロォ!」


ヴィーアはしっぽを鷲掴みして毛を元に戻してやった。

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