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鏡の国のヴィーア

 人の話は静かに聞きましょうとはよく言ったもので、話をしている人より大きな声が増えると人はそちらに注意を向けてしまうものだ。


 塔に集められた冒険者達は文官から説明を受けていたが外で大きな物音がし、怒鳴り声が聞こえたかと思うと泥人間が入ってきたので話を聞くどころではなくなってしまった。

そしてその泥人間は人の視線などお構いなしな奴で、近くにあった花を活けている花瓶から花を引っこ抜くと水を頭からかぶり手頃なカーテンで身体を拭きはじめた。

顔をカーテンで拭き終わった後全員の注目を浴びてることにようやく気付き、


「何見てんだ」


 関わりたく無いと直感で感じた何人かは目をそらし、変人を見たと何人かはクスクス笑い、一人のピンク髪のツインテールは大笑いしている。


(お、そうだ)


 ヴィーアは整理を発動させると目まぐるしく両手が動き周囲から見えなくなるほど埃が舞い上がったあと、両手意外が綺麗になったヴィーアが出てきた。


「あーっはっははは!!!」


 大笑いしていたピンクのツインテールは笑いのツボに入り決壊した様で、腹を抑え床を転げ回っている。


(くっそ、この俺を笑い物にしやがって。みてやがれ…)


 ヴィーアはもう一度整理を発動させるとまたもや埃を舞い上げ、煙が消えた後そこに現れたのは全裸のヴィーアが活けてあった花を咥えキメ顔で立っていた。筋肉と顔の良さで一種の芸術作品を思わせるが、そんなことはもうピンクには関係無かった。


「うははははひーっひっひっひっひ!!!し、死ぬっ死ぬっ」


 ピンクはもう虫の息だ。トドメとばかりに芝居がかった動作でピンクに近付き腰を抱く。


「なになになに、いひひこわいっテ」

「俺様とお、おどらな…ぶっ!」


 ヴィーアも自分でやってて笑いの限界を迎え、鼻水が出た。


「「だーっはっはっはははは!!!」」


 笑いすぎてついにピンクは白目を向いて倒れた。


「アー死ぬかと思っタ、死んだバアちゃんが手招きしてたぜィ」

「いや送り返されろよ、嫌われてるじゃねぇか」

「ねぇぇやめてぇ笑い死ぬゥー」


 息を吹き返したピンクはヴィーアが気に入ったのか絡んでいる。

ピンク色のツインテール、猫耳と二本のシッポ、ピンクパールの様なキラキラした瞳に大きく笑う口から覗く八重歯、引き締まった身体にたわわな胸、カモシカの様な力強く健康的な脚とレベルの高い見た目ですぐにヴィーアは合格を出した。


「アンタ面白いネ、ワタシはカルミティ、カルでいいヨ。仲間はみんなそう呼んでル」

「カルちゃんか、俺はヴィーア様だ」

「じゃあヴィーア様、ワタシと遊ぼうヨ!」

「パーティー組むって事か?別にいいぞ」

「やったネ!」

「まぁ今から何するのか知らんが」


要約する。

 

見ると吸い込まれる封印していたはずのいわく付き姿見魔道具が何故か起動していた。

本来は王家が契約した精霊がその姿見を封印していたので何かあったのか吸い込まれて調べてきて欲しい。

なぁに、晩飯までには帰れる。豪華な食事を用意して待っている。

危ないからと思うからどうしてもと言うなら辞退してもいいよ、ただ入るなら出れなくなっても自己責任だよ、だって冒険者達でしょ?


とのことだ。


「…なんか嫌な予感する、帰る」

「そう言うなヨ~!楽しそうじゃん行こうヨ~!」


カルが踵を返したヴィーアの腰にしがみつく。


「じゃあ帰ってきたらヤらせてくれ」

「それはヤ」

「じゃあな、笑ってる間は楽しかったぜ」


ズルズル引き摺りながら出口を目指す。


「わ、分かったヨ!手でなら…」

「話にならんな」

「む、ムネ~!ムネでするかラ!」


 しがみつくカルを上から見下ろす形になり、丸見えの谷間が見える。


「おほほ、仕方ないなぁ」

「もう、話しかけた相手間違えた気がするヨ」


ちなみに他の冒険者は辞退した。


「では準備はいいですかな?中はどうなっているか私には分かりません。なんならどうやって出るかも分かりませんが、精霊様と話せれば糸口が掴めると思います。では御武運を」

「い、いざ吸い込まれるとなると緊張するナ…」


 カルは何処からか拾ってきた長い棒を近付けて安全を確かめている。

ヴィーアはそんなカルの後ろに忍び寄り…


「ドーン!」

「ワッオマエフザ」


 ヴィーアに押されカルは姿見に飲み込まれ言葉は最後まで届かなかった。


「はっーはっはっは!どうだビビったろ!」


 返事などもちろん来ず、静寂が部屋を支配する。文官に至ってはドン引きしている。


「…おーい大丈夫かー?い、今いくぞー…」


 恐る恐る近付き足の爪先から入ろうとしたヴィーアが足を上げた瞬間、姿見から手が生えて足を引き摺り込んだ。


「……きロ!…ィーア!起きろっテ!」


 ヴィーアが目を開けると目の前にカルの顔がある。

「…おう、いいぞ」

「んんん~っっっ!」

 何が良いの分からないが寝ぼけているヴィーアはカルに口付けした。

口内を遠慮なしに舌が蹂躙する。

ジタバタし、もがいてシッポがピンと張っていたが、やがてへなへなと降り脱力する。


 解放されたのは1分間たっぷり堪能された後だった。

本来おすまし黒魔法使いキャラ出そうと思ったのですが、カルのようなキャラほうが面白くなりそうだったんで

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