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終わったあとの事は知らん、しもじものしごとだ

 騒がしさと喧騒の中、カレインは目を覚ます。自分は屋敷の中庭にいて何人か同じように地面に布を引いただけの簡易救護所で手当てを受けているようだ。


「うっ…ここは?」


 机の上に戦う道具を揃え今にも出発しようとしていたアレクと目が合う。


「気が付いた?一応血は止まったけど到底戦える状態じゃないから大人しくしていること。いいね?」

「あの化物は倒したのか?」


 自分がやられる前の数フレームを思い出し、傷口に痛みが走った気がした。


「いいやまだみたい、だから助けに行ってくる。じゃ、また」

「あっ…」


 動こうと思ったが思うように動かず、カレインはなにも出来ないまま寝転がるしか出来ない自分を恥じた。


 脚を払うように振り払われた右の鎌腕を二人揃ってジャンプで躱す、ヴィーアはそのまま頭を狙いに行きザックは一回転して腕の間接にかかと落としを放つ。

頭に一撃与え、着地と同時に振り下ろされたもう1本の腕と斬り合い跳ね上げ、左腕の鎌部分の根元から切断した。


「すっげぇ…」


 ザックは一息にそれだけの処理を行ったヴィーアの戦闘センスに思わず感嘆の声が出たが、自分も負けてられないとばかりに前に出る。

ヴィーアを蹴ろうと繰り出された脚を横から蹴り軌道を反らし、脇腹にナイフを突き立てる。引き抜き更に心臓を狙うが右腕に殴られ吹き飛んでしまう。


「兄貴!」


 そこにアレクが現れる。一時的に土の壁を展開する魔道具を放り込み壁を作るとザックに治療を始めた。

ヴィーアは魔道具が投げ込まれた時のリミキン視線を見てある仮説を思い付いた。


(そうか、これならいけるかもしれんぞ!)


 アレクが壁越しにボウガンを発射したが腹に当たってしまい倒せず反撃を受ける。


「くそ、外した!」


 土壁に腕がねじ込まれ両側に開くように破壊されアレクはナイフを構えた。


「おい!!!」


 ヴィーアが一際大きな声をあげるとリミキンは振り返る。


「取ってみろ!」


 ヴィーアは天井に届くくらい高く指輪を投げるとリミキンの視線は天に、胴は無防備となった。


「ナイフをこっちに寄越せ!」

反射的にアレクはヴィーアにナイフを投げる。


「これでっ終わりだ!!!!」


 回転して飛んできたナイフに回し蹴りをで合わせ心臓に叩き込む。

部屋全体が震えるほどの悲鳴が上がりリミキンはついに倒れた。


「…はぁーしんど」


 その場に座り込みたかったヴィーアだったが急いでオリーの元に駆け付ける。


「おいデカイ方!今すぐ回復だ!」

「すぐ行く!あとデカイ方って呼ぶのやめろ!」

「オリー、終わったぞ。俺の活躍ちゃんと見てたか?」


オリーは起きない。


「かっこよかっただろ、しゅばばって腕を斬った所とか」

「…」

「ほら、どいて」


 アレクがヴィーアからオリーを受け取り、ザックがヴィーアを立たせる。


「お前んだ」


 指輪を握らせ肩を叩く。


「しっかりしろ、起きた時お前がそんな顔してたら嬢ちゃんの気持ちも覚めちまうぞ」

「…ふん、ありえんな」

オリーの所に戻る。

「どうなんだ、オリーは治るか?」

「このレベルで、かすっただけとは言えあんな攻撃を受けたのに息がある。君が回復魔法使えたのもポーションを持っていたのも運が良い、どれか一つかけても危なかったよ。ほら、もう大丈夫、その内目を醒ますよ」

「……そか」


 ヴィーアはオリーを抱きかかえると食堂を後にした。


「あ、おい」

「いいから行かせてやれ」


 コルト兄弟はそれ以上声をかける事は無く、二人を見送ることにした。


「ヴィーア殿!」


 中庭につくと辛うじて立っていたカレインが声をかけた。


「ヴィーア殿、あの怪物は倒せたのか?役に立てなくてすまない…オリービア殿は無事か?」

「おぉカレインか、もちろん俺にかかれば余裕だ!オリーもただ寝てるだけだが少し疲れたからな、先に帰るわ」

「そう、か…」


 まるでカレインなど興味ないかのようにすたすたと歩いて行ってしまうヴィーア。


「ヴィーア殿!また会おう」

「その内会えるだろ、約束を忘れるなよ!」


 馬車に戻ったヴィーアにバルボが駆け寄ってくる。


「ヴィーア様!大丈夫でがすか?」

「あぁ、いいから帰るぞ」

「はいでがす」


オリーを椅子に寝かせると頭を撫でる。

「出発するでがすー」


馬車は帰路へとつく…


 ポタト男爵は屋敷の一部が燃えたが魔道具も守れて怪物も倒せた事で上機嫌でコルト兄弟から報告を受けている。


「なるほど、よくやってくれた。さすが魔物ハンターだ!」

「死体はこっちで回収するのでご心配なく、あとは報酬を貰えたら俺達は出ていくんで」

「分かった、執事長。金を持ってきてくれ」

「畏まりました」


 執事長はずっしり重い袋をコルト兄弟に手渡すと、恭しく下がる。


「残りのギルドにも責任を持って届けさせるから心配しなくていい。それではさらばだ」


 コルト兄弟も退出したあとポタト男爵は執事長に魔道具を渡した。


「では確実にこの魔道具を王室に届けるよう手配するように。これで私も地位も上がること間違いなしだ!」

「はい旦那様、では失礼します」


部屋から出た執事長はそのまま外に出ていく。


「これは執事長、お出かけですか?確か魔道具を王室に届けないと行けなーー」


門番の首が落ちた。


「とんだ邪魔が入りましたが、やっと手に入りました。これで」


 執事長の顔の皮が剥がれておぞましい姿が現れる。

「もう、ここに用はない」


 後日本物の執事長の遺体を探すために屋敷を探索したところ宝物庫の大きめの壺の中にバラバラになった執事長が発見されたと言う。



リミキン編、これにて終了です。

次回からは日常パートに戻り少しはギャグ路線に戻れるかなと

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