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対決、リミキン

 屋敷の外でも喧騒が大きくなる。消火活動を指揮する怒号や水魔法が飛び交う。

中にいるヴィーア達も黒煙に襲われそろそろ息が続かない。


「兄貴、ここで治療はもう無理だ。僕は彼女を担いで離れる!」

「分かった、後で会おう!」


 カレインを担いだアレクはオリーに言う。


「君もついてきた方がいい、ここに居ても足手まといになるだけだぞ!」

「わたしは……」


 ヴィーアは伸びてきた鎌腕を椅子で防ごうとする、一瞬引っ掛かったかの様に止まるがすぐに両断される。蝋燭の燭台を掴み投げつけるが効果はなさそうだ。


「だぁぁこんなんで勝てるか!何か武器は…!?」


 ザックはまだ武器を探していて、始めはリミキンに刺さったレイピアを抜こうとしていたがどこか引っ掛かっているのか全体重をかけても抜けなかったので別の物を探している。


「もうちょっと持ちこたえられるか!?」

「あと三日は余裕だわ!」

「俺なら一週間だがな!」

「じゃあ俺は1年じゃ!」


 軽口を叩きあいながらもお互いに手は止めない、ヴィーアは壁にかかっていた豪華なだけが取り柄のなまくらの剣を掴み、ザックはボウガンを見つけたが弦受けの部分が壊れており使い物にならず投げ捨てる。


「おっりゃああ!」


 何度目かの衝撃斬を放つが大したダメージも与えられず剣が折れる。

「待たせた!」

「おっそいわボケ!」

 

 ようやくザックが駆けつけ、その手には自分の大型ナイフとカレインの直刀を持ってきた。

ヴィーアは直刀を受け取るとよく手入れされた、業物に相応しい感じが伝わってくる。

二人で剣の切っ先を向けて…


「気を付けろよ、あいつをぶっ殺せるのは」

「銀だろ」


 相談も何もしていないが二人で挟み撃ちする為に位置取りする熟練者同士の連携。

ザックが体術を交えたナイフ捌きで心臓を狙って攻め立てる、反対からはヴィーアが心臓を狙いやすくするために足を切断しようと動く。

するとすぐに後ろ蹴りが飛んでくるが身体をひねり回避、ひねりの回転を加えて脚を攻撃したが切断は出来なかったヴィーアは一歩下がった。

ザックも鎌の猛攻にあい一旦距離を取っている。


「こらー!逃げるなーー!!!」

「これは体勢を立て直すっていうんだよ!」


 相変わらず口の減らない二人だったが、リミキンに動きがある、前傾姿勢になったのだ。


「やべぇ、なんか来るぞ!」


 ザックが危惧した通りリミキンは、迅雷を発動させ目にも止まらぬスピードでザックに突進してきた。


「あっ、やべっ」


 テーブルを巻き込みながらザックが吹き飛び、思わずヴィーアは声をかけた。


「おい、おっさん!」

「大丈夫だ食らっちゃいない!」


 ザックは無事な様だが瓦礫から抜け出すのにしばらくかかりそうだ。ヴィーアはリミキンのがら空きの背中を激しく切付ける。

けたたましい咆哮がリミキンから飛び出し、膝をついた。


「ヴィーア、これを使え!」


 瓦礫やテーブルの山から腕にはだけ出したザックがナイフを投げ渡してくる。

だからヴィーアがそれを拾おうとした時だった。

膝をついた状態から迅雷を発動してきたリミキンへの反応が遅れたのだ。


(まずっ…)


 さすがのヴィーアでも避けられないと思った、防御姿勢も取れないまま直撃する未来が見えたと思った。


「危ない!」


 想像していたよりも軽い衝撃が横から飛び込んできてヴィーアは難を逃れた。


「あれ…?」


 身体は動く、少なくとも今の攻撃によるダメージは0だ、一体何が起こったのかと突き飛ばされた方を見る。


 背中に大きな傷を負ったオリーが血を流し倒れていた。


 ヴィーアは自分が怪我した時より焦る、こんな感情が出ることにも戸惑いながらもオリーに駆け寄る。


「おい、オリー!バカがなんでこんな事…」

「ヴィーア…無事?怪我は…ないかしら?」


ザックが瓦礫をぶち破って出てきた。


「俺が前を張る!」


 そんな言葉はヴィーアの耳には届いていない、そう言えば自分にも治癒が使える事を思い出し初めて使ってみる…温かい光が手から溢れだした。

「ふん、余計な事を…余裕で避けられたのにお前のせいでケツを打っちまったわ…おかげでアザが出来たらどうしてくれる。後でお仕置きだぞ」


言葉とは裏腹にヴィーアから出る声はとても優しい。


「じゃあ帰ったら覚悟しなきゃ…あのね、ヴィーアなら、何とかしてくれるって信じさせてくれる…貴方に着いていけば、なんだってうまくいくと思えちゃう」


 ヴィーアの魔力がもう底を尽きかける、元より魔法が使えなかったヴィーアだが指輪のおかげで多少魔力が増えたものの0から増え始めたばかりだ。


「そうだ今だって少し遊んでただけだ…もう終わるからな」


 魔力が切れたので回復ポーションを背中にかけてやる。

オリーは苦しそうだが、何か言いにくそうで、これで思った答えが来なきゃ死んでしまいしまいそうな、でも意を決して声を出す。


「………ねぇヴィーア…傷のある女の子は嫌いかしら?」

「そんなことは無いぞ、」

「証明してくれるかしら?」

「おう、帰ったら覚悟しろ。寝れないと思えよ、だから…死ぬんじゃないぞ!」

「ヴィーア…倒してきて!」


 立ち上がるとリミキンを睨み付ける、ザックが善戦しているがそろそろ限界そうだ。


「来たか!嬢ちゃんは無事だったか?」

「当たり前だ!もー頭に来た我慢ならんぶち殺してやる」


最終決戦が始まる。


リミキン編はもう終わります

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