或る女の子の夢
ついにそのときがくる
私が幼い頃
一番恐れていたものは
「死」だ。
特に私の愛する
おばあちゃんの
死。
毎晩毎晩
しくしく泣いては
おばあちゃんが死んだらどうしよう
死んだらどこにいくのだろう
気持ちはどこへ行ってしまうのだろうか。
無に帰るのか。
何もなかったみたいに
何も感じなかった世界へ行ってしまうのだろうか。
毎晩こんなことが頭を巡り
私は宇宙の果てまで意識を運ぶ。
果てにあるものは
「無」であり、
真っ白な世界に
行きつくのだと
子どもながらに思った。
幼い私は、
ある日夢を見た。
仲のいい
いとこが亡くなって
幽霊として自分の前に現れる夢。
当然いとこは死んでもいないし
夢ながらの話である。
1つ上のいとこは
幽霊になって
私に言うのだ。
「死んでしまうことは怖くないよ」
この夢の一言で、私は毎晩の悲しみから解放された。
私が死ぬのは恐くない。
でもやっぱり、おばあちゃんが死ぬのは悲しい。
それから何年たっただろうか。
10年は優に過ぎただろう。
21歳になった。
相変わらず、たまにおばあちゃんが死んだらどうしようと涙を流す。
それほど私はおばあちゃんが好きなのだ。
そして今、
おばあちゃんの愛する
私のおじいちゃんの
命がつきようとする。
おじいちゃんも大好き。
おじいちゃんが亡くなったら
おばあちゃんが悲しんでしまう。
ずっとずっと前から
「死」
が来ることは分かっていた。
ついに私から
大切な人がいなくなるのだ。
私はいつものように
いつもよりも現実身を持って
人を想って泣くのである。
お願い。
お願い。
文章が物語になっていることを願って。




