1/26
1話:吾輩、猫を拾ってまいった。
吾輩は、齢四十を過ぎたおっさんである。名乗るほどの名前は無い、おっさんで構わぬ。
つい先日──あれは雨の日の夜だった。
ミャオ〜! ミャオ〜! と、何やら妖のような声が微かに聴こえ、吾輩は一瞬、心臓を停止しかけたのだが、家の前にはずぶ濡れお化け顔負けの、ヨチヨチと覚束ぬ足取りを見せる小柄な猫がいた。
猫はかなり痩せこけており、生後などよく分からぬが、どう見てもチビであった。
参った、参った。これはどうしろと? 吾輩はそう思い、一度は見て見ぬ振りを決めた。
だがしかし、ミャオ〜 ミャオ〜! とずっと自分の存在を吾輩に知らせようとする健気さに、いてもたってもおれず、猫を家に招くことにした。
幸い、家族もいぬ独り身が故、迷惑をかける身内などいもしない。
吾輩は、猫を拾ってまいった。
こちらは、気分転換の物語になりますが、少しでも面白い、続きが気になるな。と思って貰えましたら〔ブックマーク〕や、広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてもらったりGoodボタンを押して貰えると嬉しいです。