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花言葉シリーズ

マリーゴールドの花束

作者: 怪連堂

 私は雨が嫌い。

 じめっとするしくせっ毛の私にとって湿気は美容の大敵。

 いつも爆発する髪がより一層爆発してしまって手に負えないし。

 梅雨に入ってからは一層雨が降る日が多くなった。

 梅雨だから当たり前のことだけど、何となく気持ちが沈む気がする。

 最近は彼氏とあまりうまく行ってないことも原因かもしれない。

 彼は否定するけど、私この前彼と知らない女が仲良さげに腕を組んでデパートに入るところを見たんだから。

 彼もまんざらでもなさそうな顔で笑ってた。

 一番許せないのは、その女がさらさらの綺麗な黒髪ストレートだったこと。

 くせっ毛で悩む私への嫌味なの?くるくるで悪かったわね!

 女のことを問い詰めても彼はしらばっくれるばかり。

「なんのことだ」、「あれは姉だ」とか言い訳ばっかり。

 仕舞いには私のこと鬱陶しそうな目で見つめてきた。

 そんなに私が煩わしいの?そんなに私は変なことを言っているかしら?そんなに私が嫌いなの?

 嫌なら嫌と言ってくれればいいのよ!

 それからはもう売り言葉に買い言葉で大喧嘩。初めてあんなに激しく彼と口論したかもしれない。

 それでも私は自分を曲げられなかった。

 それから私と彼氏はあまり連絡を取っていない。

 やっぱりやましいことがあったから素直に謝りもできないのでしょう?そうじゃなければ今頃濡れた子犬のようにしょんぼりしながら謝ってくるのだから。

「ごめん」って。「悪かった」って。

 悪いと思っていたら素直に謝るところも好きだった。意地っ張りな私はそれができなかったから、そういうことができる優しい彼が大好きだった。

 でも、もう会えないかもしれない。別れるかもしれない。

 そう思うと居てもたってもいられなかった。

 優しい彼と別れるなんて考えただけでも恐怖が湧いてくる。

 嫌。嫌。嫌。そんなの絶対に嫌。

 そもそもこんなことになった原因は、あの女。彼と楽しそうに歩いていたあの女のせいよ。

 そうよ。だからこんなに拗れてしまったのよ。

 だから、私は。


 喧嘩以来しばらく距離を置いていたら、彼が血相を変えて私のところにやってきた。

「なあ!黒髪のストレートの女性のこと、知らないか⁉」

 やっぱり何か隠してたのね。だからそんなに憔悴しているのでしょう。

 姉がいなくなっただなんて、嘘ばかり。嘘ばっかりついて。

 やっぱり決心して良かった。私は間違ってなんかいなかったんだ。

 良いことをしたな。無駄にもしなかったし。

 庭の綺麗なマリーゴールドが私の心を癒してくれる。


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