鉄の令嬢の初恋と傷痕執事の求婚。そして、素直になれないお嬢様
「そこまでッ! 勝者、グリシェ・フロンティアーレ!」
立会人の鋭い声が響く。その声を聞いて、グリシェは相手の喉元に突きつけていた片手剣の切っ先を静かに降ろした。
「ヒッ、ヒィ……!」
操り人形の糸が切れたように、目の前の男は無様に地面へ崩れ落ちていく。それを冷たい目で見下ろしながら、グリシェは流麗な仕草で剣を鞘に収めた。
「では、私の勝ちということで。今回のお見合いは、お断りさせていただこう」
女性にしては低めの、落ち着いた声が男に告げる。
「くっ……」
目に見える刃物が消えただけで、男の目に敵意と侮蔑の光が舞い戻った。
彼女から距離をとりつつ立ち上がりながら、彼は目の前の生意気な女に少しでもダメージを与えてやろうと口を開く。
「調子に乗りやがって……! アンタに求婚する奴の目当ては、婿入りの地位だけだ。伯爵家の地位に入れるって話だから我慢して求婚してやったってのに、勘違いするなよ!」
「当然だろう」
透き通った湖面のような水色の瞳は、男の嘲笑を聞いても少しも揺るがない。
「私もまた、国境の秩序を守るフロンティアーレ家の婿に来る者には、国境伯としての適性しか求めていない。お互い様というやつだ」
形の良い唇から紡ぎ出されるのは、男性のような堂々とした言葉遣い。それがまた、男性の神経を逆撫でする。
「ふん、鉄の女が! アンタみたいな可愛げのない男、誰が好きになるものか!」
そう言い捨ててその場を後にする男を、グリシェは肩を竦めて見送った。
――自身が、男性に好かれるような容姿でないことくらい、重々承知している。
太陽の光の下でないと輝かない茶色の髪は粗野と評され、薄いアイスブルーの瞳は冷酷と詰られる。そして何より日頃の鍛錬で身体についた筋肉は、女性らしからぬ身体のラインを形作っていた。
そんな彼女を「しなやかで美しい」と褒め称えるのは、家の者くらいのものだ。
「お疲れさまでした、お嬢さま」
「トゥーヤ。お客さまはもうお帰りか」
「ええ。丁重にお見送りいたしまして、快く帰っていただきました」
「そうか。気を悪くしていたようだから家の者に当たらないかと心配したんだが、それなら良かった」
含みを持たせた執事の言い方を気にすることもなく、グリシェは軽く頷く。
「あまり手応えのある相手ではなかったようですね」
地面に落ちた剣を拾い上げながら、トゥーヤは小さく呟いた。
先程、グリシェが相手の手から叩き落とした剣だ。試合が始まってものの数秒の内に、勝負は決してしまった。あまりに隙の大きかった相手を思い出して、グリシェは苦笑する。
「そうだね……全然身体を動かした感じがしない」
その、と躊躇いがちに執事の顔を窺うと、共に居る時間の長い執事は「ええ」と気安く頷いた。
「物足りないのであれば、お相手しますとも」
「すまない。……もちろん、無理はしなくて良いから」
口ではそう言いながらも、トゥーヤが片手剣を構えた瞬間、グリシェは苛烈な打ち込みを見舞わせる。その鋭い一打一打をトゥーヤは確実に受け止めて捌いていった。
二人の唇に、よく似た微笑みが浮かぶ。好敵手を前にした、戦士の笑み。お互いのことを知り尽くした技の撃ち合いは、まるで舞のように美しい。
――しばしの間、決闘場にはお互いの剣がぶつかり合う金属音だけが響き渡る。
そうして数十合ほど打ち合ったところで、「キィン!」と鋭い音と共にトゥーヤの手の中にあった片手剣が弾き飛んでいった。ともすれば見落としてしまいそうなほどのわずかな表情の変化が、トゥーヤの顔を走り抜ける。
「っ!」
即座に剣を止め、グリシェは彼の元に駆け寄った。
「すまない! 楽しすぎてつい、羽目を外してしまった」
「いえ、大丈夫です」
「良いから、その右腕を見せて」
遠慮するトゥーヤを気にかけることなく、グリシェは彼の執事服の袖を捲り上げる。途端、彼の手首から肘の下まで跨がる大きな傷痕があらわになった。
やはり傷跡が疼くのだろう。なかば無理やりの行為だというのに、押しとどめようとする彼の手には力が入っていない。
六年前……彼が執事としてこの屋敷に来た時から刻まれていたその傷痕は、月日が積み重なっても癒える様子がない。
「やっぱり……少し熱を持ってしまっている」
そっとその傷痕を撫でる。グリシェの冷たい指先には、熱いほどの熱が伝わってきた。
「お嬢様! それは、お嬢さまのための薬で……!」
「つまり私に傷ひとつなかった今回、必要ないものというわけだ。そうだろう?」
止める執事をいなし、躊躇うことなくグリシェは薬箱から包帯を取り出してテキパキと治療を始める。止めても無駄だと悟ったのか、小さく息を吐くとトゥーヤは大人しく身体を任せた。
「そういえば……今日は髪型が少しいつもと違いますね。普段も凛々しくて素敵ですが、そちらもよく似合っています。髪飾りが映えて、お美しい」
治療に専念するグリシェを眺めながら、トゥーヤはしみじみとした声を洩らした。
普段は無造作にひとつにまとめている彼女の髪は細かい三つ編みを作ったうえで結い上げられており、その傍らには銀細工の髪留めが光る。
貴族女性らしいとは言いがたいが、凛々しい彼女を惹き立てた出で立ち。谷底に凛と咲く百合を飾るには、宝石よりもひと雫の夜露の方が相応しい。
「一応お見合いの場……だからな。せめて髪型ぐらいはと思って」
衒いのない賛辞に赤面しながら、グリシェは言い訳がましい言葉を口にする。
今日のお見合い相手は気づくこともなかったお洒落。でも、トゥーヤはそれを目敏く見つけられるのだな、とあらためて執事を見る。
グリシェが幼いころから傍に仕えてくれていた大事な執事、トゥーヤ。彼との付き合いも、もう十年近くなる。
小さい頃は同じくらいの背丈だったのに、いつの間にか長身のグリシェでも見上げなければならないくらい彼は大きく成長してしまった。
それでも、グリシェを見守る優しい瞳は少しも変わることがない。一見するといたって平凡な黒い瞳と髪。しかしそれが陽の光に当たると紫水晶のように美しく透き通ることを、グリシェはよく知っている。
「怪我の具合はどうだ」
「おかげさまで、痛みは引きました。旦那様に報告される前に、お茶をお持ちしましょうか」
「いや、結構。嫌なことは早めに済ませてしまおう」
あっさりとそう言って、グリシェは祖父のいる執務室へときびきびと歩きはじめる。そのぴんと伸びた背筋は、先ほど男に投げつけられた悪意に些かも染まっていないことを何よりも物語っていた。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
「お祖父さま、最近お見合い相手の質が落ちていませんか?」
「おお、可愛いグリシェ。今日の男はダメだったかね?」
ノックもそこそこに、苦言を呈しながら執務室へ現れたグリシェ。他国の重鎮からは『血塗れ候』と畏れられているはずの現国境伯、サガンはそんな彼女を目じりを下げて嬉しそうに迎え入れた。
「帳簿が読めて野心がある、それなりに優秀な男だったんじゃが……」
「帳簿が読めるは確かに大事ですが、野心があるは違うでしょう。あれは己の力量を見誤っているだけの阿呆です」
身も蓋もなく、グリシェは祖父の言葉をバッサリと切り捨てる。孫娘の厳しい言葉にサガンは情けなく白い眉を下げたが、グリシェの苦言は終わらない。
「あんな男に、次期国境伯の地位が務まるものですか。他国が攻めてきたら真っ先に逃げ出す姿が目に浮かびますよ。せっかく家柄、年齢にこだわることをやめて婚約者の間口を広げたのです。最低限の執政能力と、有事の際共に戦えるだけの強さくらい兼ね備えていてもらわないと」
「うむ、まぁ……まったくもってその通りなんじゃが。しかし、ウチのめぼしい男どもは既にグリシェに負けておるし、どうしたもんか……最愛にして唯一の孫娘の花嫁姿を、果たして儂は生きてる間に拝めるのかのぅ……」
「わざとらしい嘘泣きはやめてください。お祖父さまならこの先二十年は余裕で現役を務められますとも」
つれなく返せば、「ちっ」と大人げなく舌打ちを鳴らしてサガンは顔を上げる。
「まぁでも儂がグリシェの行く末を心配しているのは、本心からじゃよ。とはいえ、くだらぬ男と結婚させることができないのもまた事実。相応しい男が現れるのを待つしかないこの現状が辛い……儂の秘蔵っこがこの見合いに参加してくれれば、話も変わってくるのじゃが」
「ほう。お祖父さまには、そんなものが」
「うむ。そいつが若い頃から目をかけているんだがね。お見合いに関しては一向にうんと言ってくれんのだ」
「意欲の有無もまた、適性のひとつでしょう。無理強いしても良い結果は生みません」
冷静なグリシェの返しに、「すまんのぅ」と祖父は背中を小さく丸めた。
「お前の父母が健在なら、もっと上手いやり方で婚約者を迎えられていたんじゃろうが……儂は戦一辺倒で、そうした駆け引きはさっぱりで」
「嘆いても、詮のないことです。このやり方は、私にも合っていますからそんな気落ちなさらず」
グリシェとしては心からの言葉だったのだが、サガンはそれを聞いてますます眉を下げる。
――突然の馬車の事故で両親が亡くなったのは八年前、グリシェがまだ十歳の頃のことであった。
それから一度家督を退いていた祖父のサガンが再び国境伯として執務を預かるようになり、一人残されたグリシェの保護者として愛情を注いでくれている。使用人の支えもあって、祖父と孫の二人三脚の生活は時折寂しさに襲われることはあれど、幸福なものであった。
ただし、彼らにはひとつだけ大きな問題が待ち構えていた。……後継者問題である。
フロンティアーレ家の一人娘であるグリシェは将来、国境伯の地位を継ぐことになる。そしてそのためには、婿を迎える必要があった。それが、女性が家督を継ぐ場合の条件のひとつなのだ。
伯爵家の一人娘が婿を必要としている――そんな噂は、あっという間に社交界を駆け巡る。そしてグリシェが十五を迎えた頃には、フロンティアーレの屋敷には家督を継げない貴族の次男、三男坊たちの釣り書きが山のように積み重なったのであった。
もちろん最初のうちは彼らも、釣り書きの多さに目を白黒させながらも普通のお見合いを行なっていたのだ。しかし、見合いに訪れる男たちは揃って歯の浮くような賛辞をグリシェに送り、自分がいかに優秀か滔々と語るばかり。いくら数をこなそうと、彼らの本質はまるで見えてこない。
困り果てたサガンとグリシェは話し合った結果、方針を大きく転換することにした。爵位も見た目もこだわらない、その代わりただ強さだけを求めようと――すなわち、「グリシェとサガン、その両方に強さを認められたものが、フロンティアーレの婿となる」という条件である。
「強さ」とひと言に言っても、サガンは「己に誇れるものがあればそれで良い」というスタンスであった。つまり、秀でているのが剣術でなくとも、算術や社交術、話術でも構わない。自身の強みで儂を納得させよ――と。
一方のグリシェの条件は、シンプルだ。「私に一対一の戦いで勝てる者――以上」。
最初のうちは、こぞって多くの男たちが挑んできた。伯爵家の地位に目をくらませた彼らは己の強みを声高に主張し、簡単に勝てると踏んでグリシェに剣を向ける。
そうして女の分際で剣など、と侮蔑の表情で挑む男たちを、グリシェは容赦なく叩きのめしたのであった。それはもう、容赦なく。
それ以降、お見合いは非常にわかりやすいものとなった。グリシェはただ、挑んでくる男たちを倒せば良い。
そうして求婚してくる男たちを倒しつづけること、はや数年。気がつけば、グリシェに勝てる男は現れないまま、お見合いの数は随分と少なくなってしまっていた。
「貴婦人からはほど遠い、血を好む野蛮な女」――いつの間にか、社交界ではそんなグリシェの噂が出回っていたのだ。グリシェに敗れプライドをへし折られた男たちが、彼女に見当違いな憎悪を向けたからである。
そうしてついた通称が「鉄の令嬢」。その呼び名ばかりが先行した結果、真っ当な貴族たちはフロンティアーレ家を敬遠するようになってしまい……肝心の婚約者は決まっていないまま、今に至る。
「まぁグリシェの言うとおり儂もまだしばらく現役を退くことはない。気長に構えることにしよう」
結局有効な打開策は思いつかず、今日もまたそんな結論でこの話は終わった。
「ああ、そうじゃ」
グリシェが退室しようとしたところで、思い出したようにサガンは声を掛ける。
「トゥーヤに後で来るように言っといてくれないか。今年の決算のことで話があっての」
「お祖父さま、彼は私の執事ですよ?」
咎めるようなグリシェの視線に、決まり悪そうに顎をかきながらサガンは目を逸らす。
「わかっておる! わかっておるが、ちぃーっとだけ、な? あやつの執務能力はかなりのもんでの。貴族顔負けじゃ」
「はいはい。わかりました、伝えておきますよ。彼が優秀なのは、私もよくわかっていますからね」
ため息混じりに答えれば、サガンはホッとしたように肩の力を抜く。
国境を守る戦は得意だが、締め切りを守る執務は苦手なサガン。そのわかりやすい反応は祖父の可愛らしいところで、グリシェはひっそりと微笑みながらその場を後にしたのだった。
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
「おかえりなさいませ、ちょうどお茶を淹れたところですよ」
自室へと戻ったところで、ティーセットをととのえたトゥーヤに迎え入れられた。彼のこの気の回し方は、本当に芸術的だ。思わず頬が緩む。
用意されたカップを傾ければ、柔らかな甘さと身体の芯が温まる感覚に包まれた。
「ハニージンジャーティーか。良いね」
精神が擦り切れているのを見通しているかのような、お茶の用意。ほっと息をついたグリシェは、自分が思ったよりも疲弊していたことにようやく気がついた。
「ああ、染み入るなぁ……」
「随分お疲れのようですね」
「まぁね。剣で戦うこと自体は嫌いじゃないけど、相手を値踏みし、また値踏みされるお見合いってやつはそれだけで削られる。……はぁ、早く結婚したいよ」
「お見合いをやめたいがために結婚するというのも、本末転倒な気がしますが」
「いや、私は本気で結婚に憧れているよ」
冗談めかして返すトゥーヤの言葉に、真顔でグリシェは答える。
今まで心の奥底に眠らせていた本音が転び出たのは、優しいハニージンジャーの香りに気持ちが緩んでいたからだろうか。
「あの頃のような……恋を、してみたいんだ」
ほぅ、とお茶を飲んで吐き出した息と一緒に、言うつもりのなかった言葉がカタチとなる。
「興味深い話ですね」
トゥーヤの落ち着いた相槌が心地よくて、昔の思い出が湧き出すように蘇ってきた。まだ両親が一緒だったころの幸せな記憶。
ひとりで振り返るには寂しくても、誰かが聞いてくれれば追憶は暖かな毛布となる。目で合図すれば、心得たとばかりにトゥーヤが向かいの椅子に腰を下ろした。
一緒に追憶の毛布にくるまってくれる聞き手を得て、グリシェは遠い目で記憶を手繰り寄せる。
「あれは私がまだ十になる前……、家族で隣国のタクティスに行った時の話だ――」
その時は和平を迎えてちょうど十年の節目の年だった。両国の親密な関係をアピールするために、様々なイベントが開催されていてね。
その一環として、剣術の天覧試合の賓客として私の両親が招かれたんだ。……まぁ、隣国の国境伯に自国の優秀な戦士を見せつけたい、という思惑もあったのだろう。
優勝候補は、二人いた。タクティスの騎士団長と、当時我が国の貴族との結婚を控えていた第六皇子。
今考えると、あれは第六皇子のアピールの場だったんだろうね。多くの観客が集まる天覧試合で能力を示して、皇子の価値を示してやろうとしていたんじゃないかな。
おそらく彼らとしては、決勝戦で騎士団長と第六皇子が当たることになる……そう考えていたんだろう。そうなるように、皇子の対戦相手を調整するくらいのことはしていたはずだ。彼の予選試合はほとんど見ていないから、これはあくまで推測だけど。
確かに、騎士団長は強かった。膂力も技術も見事なもので、彼を敵に回したら面倒なことになると思わせるだけの実力の持ち主だったよ。
そしてあまりに強かったために、試合が予定よりだいぶ早く終わってしまってね。せっかく時間が余っているからと、私たちは別ブロックの第六皇子が参加している会場に移動したんだ。
……彼と出会ったのは、そこだった。
最初、対戦相手を見た時は、義憤に駆られたよ――なんてひどい出来レースだと。そうまでして、第六皇子を決勝戦まで進ませたいのかと。そう思っても仕方ないくらい、両者の体格差は歴然としていたんだ。
体格に恵まれ、男盛りで見るからにパワーに満ち溢れた第六皇子。そんな彼と相対していたのは、私と五つほどしか年の変わらない、小さくて華奢な少年だった。
ほとんどボロのような胸当てだけ装備した彼は、それでも闘志に満ちた姿勢で堂々と立っていた。周囲から漏れ聞こえる声を聞くに、その少年は実際に実力でここまで勝ち上がってきたらしい。
でも、そんな噂を私は到底信じることができなかった。彼はあまりに……貧弱に見えたから。とてもじゃないけど、屈強な戦士には思えなかったんだ。
――そして、試合が始まった。
その前の試合も少しは目にしていたからわかっていたんだけど、皇子の剣術の腕は、なかなかのものだった。こちらでは珍しい、刀身の反ったサーベルを使った剣術で、素早さとしなやかさで相手を翻弄していくスタイルだ。
……でも、それに相対する少年の方がもっと変わっていた。彼が使っていたのは、自分の背丈ほどもある巨大な大剣。刀身の幅も、少年の身体を半分覆い隠してしまうほどの大きさで、とてもじゃないけど武器として扱うには不適切な品だ。
それなのにそんな鉄の塊を易々と振り回して、彼は第六皇子の攻撃をすべて受け切っていった。必要最小限の動きで、確実に皇子の攻撃に対応していたんだ。
そして、慣れない武器相手に業を煮やした皇子が、勝負を決めようとサーベルを振りかぶった瞬間だった。
彼の攻撃に合わせて、少年の大剣がすべてを薙ぎ払うような力強さで振るわれる。……勝負は一瞬だった。銀色の旋風が巻き起こったと思ったら、皇子の手にしていたはずのサーベルがカランと地面に落ちる音がした。
おそらく、相対していた皇子ですら何が起こったかわかっていなかったんじゃないだろうか。しばらく呆けたようにその場に立ち尽くしていて、武器を失ったことに気がついて降参するまでには随分と時間が掛かっていたから。
思ってもみなかった大番狂わせに、会場中で歓声と拍手が巻き起こった。その地鳴りのような響きを浴びせられながら、少年は勝利を謳う様に空に向かって大剣を掲げる――その姿を見て、私は初めての胸の高鳴りを覚えていた。痛みを覚えるほどに締めつけられる心臓と、夢でも見ているようなフワフワとした多幸感。
会場には多くの人が居るというのに、私にはもう彼しか見えていなかった。それ以外のものはすべて灰色に褪せてしまった。その中で、彼だけが光だった。
――圧倒的な強さ。あの戦闘を見てわかるのは、それだけだ。あの距離では彼の顔だってわかりはしない。
でも、ほかには何もいらないと思うほど、彼はそれだけで魅力的だった。私はもう、彼から視線を引き剥がすことができなかった。いつまでも彼を見続けたいと思っていた。すっかり彼の虜になってしまっていたんだ。
……間違いない、私の初恋はその時だ。
名前も顔も知らないあの少年に、私はどうしようもないほどの恋をしてしまった。
ああ、そうだ。その時からずっと、私は彼の面影を求めているのかもしれない。お見合いに「私よりも強い者」という条件をつけたのも、今考えるときっとあの記憶の所為だろう。
私は未だに、あの少年のような圧倒的な強さを目にしたいと子供の頃の夢を引きずっているのさ。あらためてそう思うと、恥ずかしいけれどね。
……話を逸れてしまったね。天覧試合の続きに戻ろうか。
さて、少年が第六皇子に勝利したのは、準決勝の試合だった。次は、決勝戦。騎士団長との試合だ。
もう一度あの少年に会える、あの強さを目の当たりにできると、私は胸の高鳴りと共に喜び勇んで会場へと向かったよ。
でも……。
そこまで話したところで、グリシェは一度言葉を切った。すっかり冷めてしまった手元のカップを傾けて、喉を潤す。
「残念ながら、彼に会うことはできなかった。決勝戦に現れたのは、少年に敗れたはずの第六皇子。観客には『準決勝で重大な規約違反が行なわれたため、参加者が繰り上がった』というアナウンスがされただけ。おそらく、タクティスは皇子を退けて貴族でもない男が決勝戦に出ることを良しとしなかったんだろうね……」
遠くを眺めながら、グリシェはゆっくりと首を振る。
「私のほろ苦い初恋の思い出は、こんな感じさ。少しは楽しんでもらえたかな」
「ええ。とても……とても、興味深いお話でした」
何やら深い考えに沈みながら、トゥーヤは躊躇いがちに言葉を発する。
「ではもし……もし、その少年に再び会えるとしたら……お嬢様は、何を望まれますか?」
「そうだな……結婚してもらえたらそれが一番だけれど、先方の気持ちもあるだろうしねぇ。でもせめて、手合わせをしてもらえれば、私の初恋も良い思い出として消化できるようになるかもしれない」
言葉にしてから、グリシェはふっと柔らかな笑みを洩らす。
「いや、何なら、それすらもいらないな。もう一度あの美しさを、心が掴まれてバラバラになりそうな圧倒的な勇姿を目にできれば……それだけで良い」
あーあ、とわざとらしく溜め息をつくと、にやりと執事に笑いかけながらグリシェは肩を竦めてみせる。
「どうやら私は、自分で思っていたよりももっとずっと、あの初恋に囚われていたらしい」
○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
祖父の「秘蔵っこ」が、グリシェとのお見合いを承諾した――そんな報せが飛び込んできたのは、それから十日ほど経ってのことであった。
「突然、手のひらを返したようにお前さんとのお見合いに積極的になっての。気が変わらないうちにと、さっそく日程を組んでおいた。今回の相手は手強いから、しっかり準備するようにの?」
――そうして、お見合いの日はあっという間にやって来る。
しかし、グリシェの気持ちはこれまでにないほどに後ろ向きであった。原因は明白だ――この前口にした初恋の思い出の所為である。
今まで彼女はお見合いを、「貴族の娘としての義務」と使命感を持って臨んできていた。なるべく私情を交えず、客観的に国境伯の伴侶として相応しいか判断する――そう意識してこなして来たつもりだった。
それなのに、今のグリシェにはそれができそうにない。忘れていた初恋の気持ちが、立場に縛られたグリシェをちくちくと苛んでくる。
こんな相手と恋がしたいと、叶うはずのない望みを叫ぶもう一人の自分が、止められない。
(結婚相手は、条件を満たしていればそれで良いと思っていた――なのに、「理想」を具体的なカタチで思い浮かべてしまったがために、これでは現実の相手とのギャップを受け入れられそうにない……! 今までの条件を満たした相手が現れたとしても、それを自分が「妥協」と捉えてしまいそうで嫌になる……)
自分にも相手にも誠実でいたいと振る舞うグリシェは、そんな八方ふさがりの己の心境に絶望を感じる。
普段であれば相談に乗ってくれるはずの彼女の忠実な執事も、今日は休暇を取っていて傍にいない。気持ちの整理がつかないまま、グリシェは支度をととのえて重い足取りで会場へと向かったのだった。
――そうして。約束の時間にやって来たのは、予想外の人物であった。
「トゥーヤ!? 今日は休暇じゃなかったのか?」
目の前の彼に反射的に声を掛けてから、その様子がいつもと違うことに気がつく。
何かの覚悟を決めたようなその表情はいつもの穏やかな笑みとはかけ離れていて、峻烈な冬の山のような厳しさを見せている。服装も普段の一部の隙も無い執事服とは違う動きやすさを重視したもので、その姿はまるで傭兵のよう。
そして背中からゆっくりと下ろされた荷物を見て、グリシェの顔はさらに驚愕に歪んだ。
「まさか、それは……もしかして……」
呻くグリシェの目の前でゆっくりと布がほどかれていき、包まれていた中身が露わになっていく。
ぎらりと光を反射して周囲の景色を映し出す、巨大な刀身。グリシェの肩ほどまで聳える刃の根元には、飾り気のない武骨な柄がにゅっと伸びている。巻きつけられた布は、滑り止めのためだろうか。だが、持ち手があったところでこの巨大な鉄の塊を、果たして何人が振り回すことができるだろう?
かつての記憶そのままの武器を前にして、グリシェは言葉を失って立ち尽くした。あの日初恋の話をしてから、何度も瞼の裏でなぞって来た輪郭――間違いない、あの時の大剣だ。
「トゥーヤ、君は……」
言いかけたところで、「シィーッ」と人差し指を唇に当てトゥーヤは右目を瞑ってみせる。初めて見せるその気障な仕草は、しかしながら何故か彼に妙に似合っていた。
「聞きたいことがあるのでしたら、この戦いの後でお話ししましょう」
「……ああ、承知した」
もろもろの疑問を呑み込んで、グリシェはトゥーヤに向き合い剣を構える。それだけでスッと意識が研ぎ澄まされるのがわかった。
「その……ケガは、大丈夫なのか」
「随分と余裕ですね、お嬢様? 俺は強いですよ」
にやりと強気に答える彼に、覚悟が決まった。
「いざ、……参る!」
片手剣を構え、力強く大地を蹴る。猫のようにしなやかで鋭い彼女の一撃を、トゥーヤは落ち着いた様子で大剣で受け止めた。
「っ!」
急いで数歩後ろに下がり、片手剣を彼の大剣から引き離す。あのまま刃を絡めていたら、質量の差であっという間にこちらの剣は折られていたことだろう。
あの大剣に掴まったら負けだと悟り、グリシェは素早い足取りで角度を変えながら鋭い連撃を繰り出した。その切っ先のひとつひとつが、丁寧にトゥーヤの大剣によって弾かれていく。
はたから見れば、大剣はほとんど動いていないように見える。それなのに、必要最小限の動きで彼女の攻撃はすべて防がれているのだ。それはまるで、自律する鎧人形が彼の周囲を常に守っているかのようであった。
少し距離をとろうと飛び退ったところで、首の後ろがぞわりと粟立つ感触がした。反射的にさらに数歩後ろへ飛ぶ。
その鼻先を掠めるように、竜巻のような豪風が吹き抜けていった。――遅れて、彼が大剣を振り抜いたのだと気がつく。あのままの距離でぐずぐずしていたら、間違いなく自分は死んでいただろう。
(中途半端な距離ではダメだ……! 却って相手の射程に入ってしまう……!)
背中に冷たい汗を感じる。彼の射程に入らないように気をつけつつ、グリシェはゆっくりと息をととのえた。
一歩間違えれば、命を刈り取られかねない決死の勝負。しかしそれは、緊張と同時に奇妙な高揚感をグリシェにもたらす。
(そういえば、彼のケガはどうなっているのだろう……?)
ふと湧いた疑問を胸に目を走らせれば、彼の剣の握りが通常と逆になっていることに気がついた。本来であれば刃に近いのは右手となるはずが、左手が上になっている。
――まさか、ケガを契機に利き手を変えたのだろうか。
ありえない、と脳内で打ち消すも、ありえないことではないかもしれない、と彼女の思考は真っ当な意見に反論した。かつて彼女が見た少年は、まさに戦神に選ばれた天才であった。彼こそがトゥーヤであるならば、利き腕を失ったところで諦めるようなことはしないであろう。
――だが、利き腕が左だと気がつけたのは大きい。
再びトゥーヤへと打ちかかりながら、グリシェはこっそりと頷く。そして何合か剣を交えたところで、再び彼から距離をとった。
(……来いっ!)
グリシェの内心の叫びが聞こえたように、トゥーヤが一方的な射程を押しつける大振りを放った。
その瞬間を見逃さず、後ろへ引くと見せかけていたグリシェは一気に間合いを詰める。
(今なら、左腹ががら空きだ……!)
針の穴を通すような正確な突きで、その腹を穿つ一撃を放つ。
……しかし。
「ぐっ……!?」
何が起きたかわからなかった。わからないままに視界が反転し、全身が地面に叩きつけられる。決め手となる一撃を繰り出したはずのグリシェは、何故か気がつけば地面に引き倒されていた。
痛みに耐えながら身体を起こせば、すっと目の前に刃が突きつけられた。
ほんの少し切っ先を動かせば、彼女の命なんて簡単に断ってしまいそうな殺意の結晶。でも、その銀色の輝きが綺麗だ、と反射する光に目を奪われる。
そっと顔を上げれば、今までにないほどの真剣な眼差しのトゥーヤと目が合った。その額には、汗ひとつかいていない。
今まで自分は彼の本気を見たことがなかったのだな――とグリシェはそれを見て悟った。
これまで彼はケガの所為で力の入らない右手だけで、グリシェと渡り合うだけの剣技を見せていた。本来の得物である大剣と左手を加えた彼の強さは、比べるべくもない。
何度挑もうと、彼に勝てるビジョンがまったく目に浮かばなかった。自分との実力差は絶望的だ。
「私の負けだ……降参する」
見合いを始めてから、一度も口にしたことのない台詞。それを初めて声に出して、グリシェは清々しい気持ちに笑い出したくなった。
「まさかあれだけ大きいデカブツの軌道を、あのタイミングで変えてくるとは思わなかった」
「お褒めいただき、光栄です。お嬢様も、まさか利き手の違いを判断して、あのタイミングで仕掛けてくるとは……驚きました。あまり加減ができませんでしたが、お身体は大丈夫ですか」
「ああ、少し打ち身が痛むくらいだ。問題ない」
差し出された手に掴まって、身体を起こす。
「素晴らしい動きでした。私の攻撃を躱してもらえなかったらどうしようと内心ヒヤヒヤしてたのですが、杞憂でしたね」
「そんな心配をしていたとは思えない程、殺意に満ちた攻撃だったけれどな」
お互いに健闘を讃える言葉を交わし、視線を合わせて二人で笑い合う。そしてふっと真剣な表情に切り替えたトゥーヤは、優雅な仕草でグリシェに跪いた。
「これで、お嬢様の結婚相手の条件を満たせたと思います。――どうか私と結婚していただけませんか、お嬢様?」
そう言ってグリシェを見上げる視線はどこまでも真っ直ぐで、真剣だった。
「っ!」
初めての感情に、頬が一気に熱くなるのを感じる。思わず彼から目を逸らしそうになったが、トゥーヤの視線はそれを許してはくれない。
「お嬢様?」
「きっ、君は……あの時の少年なのか?」
すぐに頷くことができず咄嗟に出た質問に、トゥーヤは「ああ」と至って普通の顔で頷いた。
「そうです。愚かにも平民でありながら公衆の面前で第六皇子を叩きのめしてしまったのが、俺です。その結果、彼らの不興を買った俺は、利き腕を失うことになりました――本来なら俺は、そのまま野垂れ死んでいた。でも、お嬢様の御父上に拾っていただいて、生き延びることができました」
目の前の状況から目を逸らすように、グリシェは頭に浮かぶ疑問をただ口にしていく。
「何故、今になって……」
「もちろん、お嬢様の初恋の話を聞いたからです。……ずっと、お慕いしていました。でも、お嬢様の求める相手に自分は相応しくないと、この気持ちを押し殺していた。それなのに、お嬢様の初恋の相手が俺だなんて聞いたら、もう抑えられるわけないじゃないですか……!」
「わわわ、わかった! わかったから!」
漠然と思い描いていた初恋の少年の姿が、目の前のトゥーヤに重なっていく。それは今まで恋愛感情から遠ざかっていたグリシェには強すぎる刺激で……。
ちゅっ、という音と共にトゥーヤの唇がグリシェの右手から離れた。そして彼女の顔を見上げた彼はニッと笑む。
「手に接吻しただけでこんなに真っ赤になるなんて、お嬢様は本当に可愛いなぁ」
「なっななななな……!」
キャパシティを超えた出来事に言葉すら出て来なくなったグリシェを見て、トゥーヤは愛おしそうに微笑む。
「ありがたいことに、大旦那様は俺のことを買ってくれています。地位のことは気にするなと……だから後は、お嬢様の気持ち次第なんです」
「私は……」
喉に絡まる声を必死に絞り出しながら、グリシェはまだ混乱の真っ只中にある己の感情を出さないようにできるだけ冷静な返事を試みた。
「正直なところ、結婚相手としてトゥーヤは魅力的だと思う。執務能力も高いし、剣の腕前も素晴らしい。トゥーヤが国境伯の執務を支えてくれるなら、とっても安心できるよ」
「お嬢様?」
しかし、それだけではお気に召さなかったらしい。表情はにこやかなまま、トゥーヤは容赦せずにグリシェへと迫る。
「俺が聞きたいのは、異性として俺をどう思うか、という話なんですが」
「そっそれは……!」
じり、とつい足が後ろに下がっていく。彼から距離をとろうと後退りしているというのに、下がれば下がるほどトゥーヤが前へ詰めてくるのは一体どうしたら良いのだろう。
やがて後退するグリシェの足はとん、と壁に行き当たってしまった。もうこれ以上逃げられない。
逃げ道を塞ぐように、トゥーヤが壁に右手をついた。残された僅かな空間に立ち竦むグリシェを見下ろすトゥーヤの目が、三日月のように細くなる。身を固くしてじっと俯くグリシェの耳に、トゥーヤの吐息が間近でかかった。
「愛しています、お嬢様」
ほとんど囁き声のようなそれはグリシェの耳朶をくすぐり、彼女の身体に火をつけていく。
「トゥーヤ……」
爆発しそうな心臓を抱えながら、グリシェは必死に声を出した。
「正直、今はまだいっぱいいっぱいで、何をどう答えたら良いのかわからないんだ! ただ、初恋の相手がトゥーヤで良かったとは感じているし、大剣を操るトゥーヤの姿はあの頃と変わらず格好良かった、とは思う……。ただ、さっきからトゥーヤを見てると心臓がどきどきするし気持ちはソワソワするしで、正直それどころじゃなくて! 異性としてどう思っているかは、もう少し落ち着いてから考えさせてほしい……」
グリシェを壁へと追い詰めていたトゥーヤの身体が、震えだす。おそるおそる彼の顔を見上げれば、トゥーヤが必死に笑いを堪えているのがわかった。
「可愛いなぁ、お嬢様は……そこまで言ったらもう、俺のこと、大好きって言ってるようなもんじゃないですか」
「そっ、そんなつもりは……」
「ええ、わかってますよ。大丈夫です、お嬢様。お嬢様の気持ちの整理がつくまで、俺はいくらでも待ちますとも。ひとまず……」
そっと身を屈めて、トゥーヤはグリシェの耳元に囁く。
「明日もまた、お嬢様の目の前であの剣技を披露してみせますね」
その姿を思い浮かべただけで、胸の高鳴りがさらに強くなった。思わず瞳に期待の色を浮かべてしまう。
そんなわかりやすいグリシェの反応に、トゥーヤは軽く微笑んだ。
「ほぅら、やっぱり俺のこと大好きじゃないですか」
姿勢を戻すフリをしながら、トゥーヤは素早くグリシェの額に唇を落とした。
「~~~~っ!」
それに何も反撃できず、固まったままグリシェは涙目で彼を睨む。
「っ、いつまでも自分が主導権を握れるものと思うなよ……!」
しばらくしてようやく絞り出すように出てきたのは、そんな負け惜しみにしか聞こえない台詞。
「ええ。俺が振り回されるようになる日を、待っていますとも」
余裕たっぷりなトゥーヤの反応が、実に悔しい。
「さぁ、お嬢様も疲れたでしょう。そろそろお茶にでもしませんか」
『私に一対一で勝てる者』――トゥーヤの背中を追いながら、グリシェは自分が挙げていた婚約者の条件を、ふと思い出していた。
まさか自分が剣による戦いだけでなく、男女のやり取りにおいてもここまで一方的に負けることになるとは思わなかった。
――でも。
そこまで考えてから、グリシェはそっと首を振る。
――私はきっと、もう彼に勝てない。
だって、その声を聞くだけで、姿を見るだけで心がときめくようになってしまった。平常心を保てなくなってしまった。
きっとこの症状は、治らない。私は、この感情が何と名づけられるのか知っている。
……今はまだ、認められる余裕がなくても。
――だからせめて。
自分の負けず嫌いな性格を自嘲しながらも、グリシェは静かに決意を固める。
――せめてこの気持ちを口にするまで、もう少し時間を稼ぎたい……!
二人の犬も食わぬ戦いは、まだまだこれからも続くのであった。
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