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<キール>

 何日か経つが、バーベリは期限を切ったはずの返事を求めてこなくなった。ひとまず先延ばしにできたことにホッとした。後で知ったことだが、事態は私を飛ばして先に進んでいた……。


 ソフィアと踊った後、さらに城内を歩き回ったが、イリーナの匂いを探し出す事なできなかった。イリーナはまだ捕まっていない。はっきりと確信した。

そうであれば、バーベリの家族を人質にとって、フェオドラ様と交換できれば良いのだが……。城内にいるのであれば、なんとかできるかもしれないが、城外であれば、アキムたちの助けがいる。問題はそれをどうやって、アキムたちに知らせるかだ。


 私がウロウロと歩き回るせいか、兵士たちは頻繁に交代した。


 ルカは逃げる事を諦めたのか、王立図書館に篭って、薬草の本を熱心に読んでいるようだった。囚われていると言う状況でさえなければ、いい環境だと喜んでいたくらいだ。彼の知識の膨大さを考えれば、国としてルカを雇いたいが、イリーナのことを考えると城内ではなく別の場所にいってほしい……。


 ソフィアから毎晩、踊りながら情報の裏付けを得ていた。

イリーナは捕まっていない。バーベリの家族は辺境に隠されているらしいが場所はわからない。城内の兵士たちはほぼ、バーベリの兵士と入れ替えられている。フェオドラ様は元気になった為、余計に見張りが増えたことなどなど。

ソフィアにフェオドラ様を逃すことを持ちかけても、ただ首を横に振るばかりだった。


 こうして、ソフィアが毎晩私と踊っている事を聞いたバーベリが、期限を設ける事をやめたのだという。バーベリにとって、私の気持ちがソフィアに傾けば、イリーナに用はない。イリーナの無事を願うのであれば、ひとまず、傾いているふりをするのが得策だろう。そんなわけで、バーベリはソフィアが私と二人で会うことを歓迎していた。


 昨晩などは、バーベリの計らいなのか楽師が曲を奏でてくれた。ただし、踊る時は長い鎖に付け替えられた。私が窓辺の方に行くため、二階とは言え、飛び降りて逃げないか心配になったようだ。もしくは飛び降りて自害しないか、か。


 鎖が絡まないように、首が閉まらないように気をつけて踊る。鎖が灯火を受けた瞬間に鈍い光を放つ。ソフィアの襟ぐりの開いた紅のドレスからは谷間が見えてしまう為、なるべく遠くを見て目を逸らす。


 イリーナには淡い色が似合うと、遠くを見ながら思う。イリーナとソフィアは似ているところもあるが、ソフィアには濃い色の方が似合う。

何度か鎖が絡まり、無様に転んでしまった。そんな時、ソフィアは泣き笑いのような表情をする。イリーナならどんな表情をするだろう? 泣いてしまうだろうか?


 ソフィアが踊る時に体を密着させてくるようになった。時には頬を私の肩にもたせかけて踊る。その方が、バーベリのことなどを聞きやすかった。

 だが、一瞬、肩の上に乗る銀の髪を見てイリーナと錯覚してしまいそうになる。そんな時は危うく、抱き寄せてしまいそうになる。姉妹だけあって、触れた髪の手触りも似ている。 

ソフィアの中では、私が人を殺した件はどう片付いたのだろう? なるべくイリーナとソフィアを結びつけないようにし、違う事を考えた。


 指先で柔らかい髪の先に触れるだけでいい。それほど狂おしく、イリーナを求めていた。もしかしたら、後しばらく会えないでいると、人に戻れなくなると言う身体からの警告なのかもしれない。

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