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第六話


 「父上、どうかなさいましたか? ルードも今日はどうしたんだ?」


 今日の食事は、何かおかしい。 そう判断した、王太子が二人に尋ねた。



 「……ルードよ、ワシから一つ頼みがあるんだが」


 「父上、丁度僕もお願いがありまして」


 「では、ワシから。 ルードよ、出来ればシュクルでパンの持ち帰りが出来ぬか聞いて欲しい。 出来るなら持って帰って来てくれ」


 「わかりました。 聞いてみます。 父上、次は僕です。」

 「うむ」


 「シュクルで働かせて下さい」


 「!!!」


 「一週間の内の三日を通い、もしくは泊まりで「お主も気に入ったか」……はい」



 王太子、王太子妃、王妃、王女の四人は、二人が何の話をしているのかサッパリ、わからなかった。


 「あなた、何の話をしているの? シュクルとは何かしら」


 「母上。 今日僕達が平民エリアへ散策に行ったのはご存知ですか?」


 「ええ。 張り切って行くのを見ましたから」


 「平民エリアと貴族エリアの境目辺りの裏通りに、新しいお店があったのです。」


 「そこは飲食店で、名前を『カフェシュクル』と言います。 大通りの飲食店のような、賑わいを目的とした感じではなく、落ち着いた雰囲気のあるお店でした」


 「メニューを見ても初めてのものが多くて迷いましたが、数分で運ばれた品は、今まで食べたことのない程美味しかったんです」


 食堂にいた全員が、目の前の食事を見て考えを巡らせた。

 『今まで食べたことのない程美味しかった』 ルードの言ったことが、食事が終わっても尚、頭に残っていた。






 「では、母上行ってまいります」

 「私も行きます。 そのシュクルとやらに」


 「あ、はい」


 ルードは母親の食事に対する圧に耐えることが出来ず、一人で向かえなかった。

 城を出るため王家の印が入った馬車に乗り込もうと見ると、何故か兄の王太子と王太子妃のフェーネさん、ロナリア姉さんが腰掛けていた。


 「何してるんですか、ジェイダ兄上、フェーネさん、ロナリア姉さん」


 「何、ルードがあれ程絶賛する店と食事が気になってな」

 「私は付き添いです」


 父を除く、王家の全員が馬車で平民エリアへ向かう。

 恐らく前代未聞の出来事で、平民エリアを行き交う者達は、王家の馬車に驚愕していた。


 やがて馬車は、平民エリアと貴族エリアの境目にある裏通りに入った。

 そして、目的地である『カフェシュクル』の前で停止した。





 カラン


 「いらっしゃいませ、廃れたような店シュクルへ。 二度目の来店ありがとうございます」

 「メルナくーん、ちょっと来ようか」


 「失礼します、マスターが呼んでいますので」


 昨日と変わらず、仲の良いやり取りに微笑むルードは、席へ腰掛けた。


 

 「これは…」

 「平民エリアの飲食店のメニューはこんなにも多いのか?」

 「いえ、兄上。 多分ここだけです」

 「貴族エリアで出されるケーキとは、見た目が違いますね」


 メニューと睨めっこすること三分。 


 「私はピザかしら」

 「俺はオムライス」

 「私はショートケーキで」

 「私はサンドイッチよ」


 王妃、王太子、王太子妃、王女が、注文しメルナが確認を取る。

 


 「飲み物は全員、ディンブーで」







 一番下の息子ルードが、昨日見つけたと話す『カフェシュクル』。

 夫で国王のルーカスも、城で長年料理人の食事を食べているのに、「気に入った」と話す。

 一体シュクルという店は、どれ程の美味しさの料理を出すのか。 私が今食べている食事よりも、美味しいならその料理人を是非迎えたい。




 今日、『カフェシュクル』に行くと言うルードに、つい「私も行く」と言ってしまった。

 なるべく目立たない服装をしているけど、大丈夫かしら。


 馬車に乗り込むと、朝から見かけなかった一番上の息子ジェイダと、フェーネさん、娘のロナリアが乗っていた。

 目的は全員同じで、シュクルの品定めとわかってホッとした。 良かった私だけかと……


 城を出て、貴族エリアを過ぎる。 普段は城から出ることなく過ごしているため、最近の国民の生活を把握出来ていないのは私の落ち度でもある。

 馬車は平民エリアと貴族エリアの境目辺りの裏通りに入って行く。

 裏通りは大通りと違い、暗く薄気味悪いイメージがある。 実際、馬車が通る道は建物の陰で光があまり当たっておらず、店に着くまで暗かった。


 店に着き、店内へ足を踏み入れた時は安堵したものだ。 道中の張り詰めた雰囲気が、店内の柔らかな照明で溶けていくのが感じられた。


 従業員とは思えない程美しいメイドが、城のメイドも羨む姿勢で対応する。 自虐的な発言でマスターと呼ばれる人物に呼ばれ、奥へ向かった時ルードが面白そうにしていたのには驚いた。 ルードのこのような表情はあまり見ない。

 

 席に腰掛けメニューを開いたジェイダと共に、何があるのかと目を向ける。 思わず二度見する勢いだったことは反省しなければ。

 私達の前に座る、フェーネさんとロナリアもメニューの質の高さに驚きを隠せていない。


 まず、文字だけではなく絵が描かれていところに好感が持てる。 初めて来る人でも、わかりやすい工夫がされている。

 

 次に文字。 少し傾いて書かれているため、私は読みやすい。

 

 最後に値段。 もし絵と同じ料理が出てくるなら、この値段は安すぎる。 貴族エリアで出すなら三倍の値段でも良いと思う。


 私はピザという初めて聞く食べ物を頼んだ。

 種類を選べるというのが良い。 最初だからと、定番を選んだ。

 

 ジェイダは、オムライス。 絵のようすから黄色いのは卵だろう。 赤いソースがかかっていて、何かを包んでいる感じだ。


 フェーネさんは、ショートケーキ。 フェーネさんの話を聞くところ、ケーキというのは最近貴族エリアで出され始めた、お菓子の一つらしく、砂糖の塊を食べていると表現していた。


 ロナリアは、サンドイッチ。 ルードがパンと言っていたのを思い出し、白い部分がパンであると判断した。 が、パンといば例えるなら石。

 私は密かにロナリアのことを挑戦者(チャレンジャー)だと思った。



 ルードは何も頼まず、メイドと何やら話をしている。

 恐らく昨日の件に違いない。 『シュクルで働かせて下さい』あの言葉には、人生で一番驚いたのでは? と思う程だった。

 ルードが自分から何かを頼むなんて、今まで一度もなかったからか、衝撃が大きかった。


文章というよりも、箇条書きな感じ。

頭の中の想像や経験・体験をどうやって伝えるかが、難しく苦戦してます。


国王陛下、王妃殿下、王太子殿下、王太子妃殿下、王女殿下、王子殿下。

これで全員かな?

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