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第四話

四話目になります。


 土地を購入したハルト達は、街で売られている食材の値段をそれぞれ散って、見て回った。

 

 野菜と言っても、大根などの根菜類(こんさいるい)、玉ねぎなどの茎菜類(けいさいるい)、キャベツなどの葉菜類(ようさいるい)、トマトなどの果菜類(かさいるい)、ブロッコリーなどの花菜類(かさいるい)穀物類(こくもつるい)茸類(きのこるい)、マメ類、イモ類、がある。


 季節物だったり、生産数だったり、単純に手間暇だとかで、値段がバラバラだった。


 野菜や、肉類、牛乳、茶葉、水も含めて、店で出す料理と値段を決める。


 料理人スキルがあるので、料理全般に困ることはない。

 唯一困るとすれば、手が足らないこと。

 しかし、足らないからと言って誰彼構わなく雇うと、調理法を盗まれる恐れがある。 そのため、第一に信用出来るかどうかを鑑定で見つつ面接をする必要がある。 さらに、商業ギルドで店に害が及ぶ行為を禁止する書類を書いてもらう。 そうしてやっと、雇える。

 結構長いので、事前にやるか営業して募るか悩みどころだ。





 情報収集後、ハルトは先に帰り店の間取り図を描いていた。

 購入した土地はそれなりの広さがあった。 以前は宿屋と酒場があったそうだ。


 「オルレガン戻りました」

 「メルナも戻りました」

 「お疲れ様」


 オートマタなのに何故か人間味がある。 だからか、少し疲れたように見える。


 「シュクルの間取り図ですか」

 「ネーミングセンスありませんね。 砂糖はないですよ」

 

 「それじゃ、メルナはどんな店名にする?」


 「そうですね。 私ならイデアルとかイリゼ……あ! シエルなんてどうです?」


 「メルナの意見に賛成したいところですが、既に決まってしまったので……」


 イデアは、フランス語で理想。 

 イリゼは、フランス語で虹色の。 

 シエルは、フランス語で天空。


 どう考えても、シエルが一番良い。 ハルトは自分のセンスが嫌になった。




 開けた扉の前にレジ。 レジ奥にカウンター。

 一階にテーブルを五つ設置し、二階には七つ設置した。 席数は各四つなので最大、百四十五人も入ることが出来る。

 飲食店としては王都最大となる。

 飲食店は全て一階だけだったことに対し、シュクルは二階も使う。 その分動きが多くなってしまう。


 「コンロなんですが、ガスレンジにするのはどうでしょう。 この世界にはない物ですが」


 「良いねメルナ。 それでいくよ」


 「どんどん決めていこう」





 「あんたには悪いが、うちは簡単なものしか出してないからねえ」

 「ムリを言ってすみません」


 「料理人になりたいっていう、気持ちは大事だよ」




 「ふう。 サリファンの方はどうだったかな」

 「おーい! グレイナル!」

 「サリファン! どうだった?」


 「いや、私もダメだった。 でもね、裏通りにお店を見つけたんだ」


 「裏通りはイメージが良くない。 怪しい感じがする」


 「どうせ、大通りじゃどこも私達の希望通りにはいかないよ。 とにかく行くだけ行こ」


 彼らは料理人になる夢を持って、大通りの飲食店を回っていた。

 しかしどこも、簡単な調理しかしておらず凝った料理というものがなかった。

 平民エリアなら仕方ないのかも知れない。


 細い石畳の道の先頭を歩く彼女に声をかける。


 「なあ、サリファン。 どこまで行くんだ? 貴族エリアに近くないか」


 「もうすぐ着くからさ」



 彼女が止まった場所は、二年程前に店じまいをした宿屋だった。 いや、今は違う店が建っている。

 三階建てのため、他の建物より長くて大きい。 一番上の階は、きっと見晴らしが良いだろう。


 彼女が入って行くので、慌てて追いかけ店内へ足を踏み入れた。

 

 酒場とは違い、店内は落ち着いた雰囲気だった。

 

 「いらっしゃいませ」

 

 どこかの貴族のメイドかと思う程の美人が、メイド服を着て声をかけてきた。


 「あ、いえ。 客じゃないんです」

 「開店したけど人が来ない、シュクルにどういったご用件でしょうか」


 何だろうこの、自虐的のような他人事のような感じは。


 「私達、料理人になりたくて飲食店を回ってるんですけど、希望にそう店が見つからないんです」


 「ウロウロしてたら、このシュクルを見つけたから入ってみたという感じでしょうか」


 「「はい」」


 「少しお待ち下さい」と言って、メイドさんは階段を上がって行った。


 「雰囲気は良いけど、ここもダメかなあ」

 「まだ決まった訳じゃないだろ」


 話しているとメイドさんの後ろから、青年が来るのが見えた。

 彼が店主だろうか。


 「マスター、こちらがそのお二人です」

 「初めまして。 カフェシュクルのマスターをしてます、ハルトです」


 席に座るよう促され、二人は腰掛ける。


 「料理人になりたいけど、大通りはどこも簡単な軽食だから、裏通りに来たって、聞いたけど合ってる?」


 「「はい」」


 「じゃ、お二人の希望って何?」


 「その店でしか出せないような、凝った料理や親しまれる料理に関わりたいです」


 「出来れば二人一緒に雇ってもらえると……」


 いつの間にか青年の斜め後ろに、執事服を着た白髪の男性が立っていた。

 マスターと呼ばれた青年は考えた様子で、白髪の男性に意見を聞いた。


 「オルレガンはどう思う?」


 「心拍数に変化なく落ち着いて話されております。 また、ウソはついていませんが、成長に貪欲だと思います」


 オルレガンと呼ばれた男性の発言で、二人の落ち着きは消えた。

 

 「マスター、心拍数上がりました。 マスターのセンスの良さに感銘を受けたのでしょう」


 「メルナ、うるさい」



 「開店したは良いけど、裏通りだから人が殆ど来ない。 来てもそれほど多くないだろう。 それでも良くて商業ギルドで書類にサインしてくれるなら、雇うよ」


 「雇うよ」と言われ、驚きつつも二人は喜んだ。 だが聞きたいことがある。


 「あの、雇ってもらえるのは有難いんですが、書類とは?」


 「二人に条件があるように、こっちにも条件があるんだ」


 「まず、この店は王都のどの店とも違う。 二階なんてないし、最大、百四十五人も入るとこなんてある? 調理器具はここにしかない物が多い。 調理法も外に出したくない」


 「雇用条件は、店の害になる言動をしないこと。 内容は、店以外の場所で絶対に、ここの調理法を使ったり伝えない。 ウソをつかない。 真面目な態度で働く。 店に関わる秘密を誰にも伝えない」


 




 まるで、昨日の出来事のように鮮明に思い出せる。

 初めてマスターと出会い、雇って貰えた時のことを。


 カラン


 お。 珍しい、お客さんかな?


 「いらっしゃいませ」

 

野菜の種類が、あれ程あるとは知りませんでした。(果菜類と花菜類の違いとは?)


はい、出ました。

3連続フランス語ですが、題名にある『天空』を何故使わなかったのか、後になって思いました。


明日も投稿します!既に予約済み!

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