第一話
空想だけではなく、現実の知識も入ってます。
四話まで一気に投稿します。
「佐藤晴人」
……ん?
「晴人、起きるんじゃ」
爺ちゃんの声だ! 声……そうだよ返事だ! 返さないと!
「おお! 起きたようじゃな」
え……会話が成立してる?
「ふむ、記憶は安定しておるはずじゃが……混乱しとるの」
え? 何? どういうこと? 爺ちゃんなのか? その声は爺ちゃんだろ?
「ワシは君の爺ちゃんではない。 君の記憶が、そう働いてるだけじゃ」
爺ちゃんじゃないなら、誰なんだ。 ここはどこで、何で僕は話せないんだ。
「まず、ワシは神様だ。 次にここは、神域じゃ。 君の口で話せないのは、君が体を持っておらず魂だけの存在だからじゃ」
神様? 神域? 体がない?
「まあ、そのことはこれから証明されるから、置いておく。 君には、ワシが管理する世界へ行ってもらう」
「そして、その世界に君専用の新しい世界を作ろう。 君の第二の人生は君専用の世界でスタートじゃ」
「どうじゃ、ワクワクするじゃろ。 君の思い描く世界を作り、そこで生活が出来るのじゃ」
今まで聞いたことが全部ホントのことなら、凄いけどね。
「それをここでは証明出来ないから、実際に行って確認してもらうしかない」
「ただ神域を一度離れれば、こちらからは干渉出来なくなるから、君の欲しいスキルや魔法を今、決めねばの」
欲しいスキルは決まってる。
前からやってみたかったんだ! 農園生活を! 農園関係を全部下さい。
「魔法は?」
自衛出来る程度で。 生活に関する魔法とかあれば良いかな……
「転生扱いになるが、容姿や年齢は変わりなくしておこう」
ありがとう
「向こうに行ったら、森の中じゃ。 そこから真っ直ぐ歩くと城が見える。 それが君の家になる」
城が家とかファンタジーじゃん
「一人では寂しかろう、プレゼントを送ったからの。 特に使命はないし、長く生きてくれればそれで良い」
ホントだったら、神社でも建てようかな
「おお! 良いのお! 下界でのワシの名はヴァハビアじゃ」
その言葉を最後に、僕の目の前は真っ暗になった。
◇
まぶたの向こうに光を感じた。
ゆっくりと目を開けると、神様の言った通り森の中だった。
神様の言葉が真実味を帯びてくる。
僕がいたのは大木の根元で、動物はいないように感じる。
「確か、真っ直ぐだったよな」
神域での神様の言葉を信じ、大地を強く蹴り僕は走り出した。
◇
「マジかよ……城……大きいな」
一体僕が何千人縦に並べば、てっぺんに着くのかわからない程高い。
城壁は遠くからでも線が見える。 つまり、近くで見たらかなり大きいことだろう。
ここから城まで走っても、今日中に着くのか怪しい。
そんなことを考えていたら、背後から男性の声がした。
「初めましてマスター」
恐る恐る振り返り声の主を見た。
お金持ちの家にいそうな、執事服を着た白髪の男性が、胸に手を当て立っていた。 右手を左胸に添える感じで。
「えっと、その、マスターって僕?」
「はい。 申し遅れました、私はヴァハビア様に作られた内の一体で、名をオルレガンと言います」
「よろしく、オルレガン。 僕は佐藤晴人。 あれ? 世界が違うから晴人佐藤?」
「〈ステータス〉と唱えるもしくは念じると確認出来ます。 また、〈オープン〉を付けると誰もが確認出来ます」
〈ステータス〉
「おお! 名前は、ハルト・サトウ……」
ん? 種族が人間じゃない? 何だ半神って
「ハルト様、今から城へ向かいますので、お手をお借りしても構いませんか」
「あ、うん。 でもどうやって……」
目の前がブレたと思ったら景色が変わり、さっきまで遠くから眺めてた門が目の前にあった。
「えええええ!!!」
「転移でございます」
僕は急いでステータスを確認した。
スキル……鑑定、亜空箱、料理人、成長促進、転移……あった!
「大事なのはイメージです。 一度訪れた場所ならば、イメージ次第でどこへでも行けます」
〈転移〉
おお! さっきの大木だ。
「なるほど、便利だ」
「では、城内へ参りましょう」
◇
城内は、豪華の一言で済む。
明かりは、魔物から取れる魔石を設置しボタンで点滅することが出来る。
また、城全体を悪意ある者が侵入出来ないように結界で覆ってあるみたいだ。
この、僕専用の世界も同じ結界で覆われていて、更に物理と魔法防御の結界もある、とオルレガンが言っていた。
簡単に、案内と一緒に説明を受けた。
一階、玄関であるホールと、門の管理室兼、受け付け。 右に倉庫。 左に応接室。
二階、右側の階段を上がった先に食堂。 その奥に厨房と食料庫。 左側の階段を上がった先に複数の客室。
三階、エレベーターで階移動。 温度管理された快適な庭、プール、巨大な風呂場。
四階、エレベーターで階移動。 マスタールーム。 管理者とオルレガンのみ入室可。
五階、エレベーターで階移動。 沢山のメイド型オートマタ、執事型オートマタ、戦闘用オートマタの収納庫。 管理者のみ入室可。
最上階、エレベーターで階移動。 コントロールルーム。 管理者のみ入室可。
「めっちゃ快適じゃん」
最後まで読んでくれて、ありがとうございます!
この作品は、フランス語の単語を一部使っています。
カフェがフランス語と知って、使い始めました。