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7 : DAY7-1 ブラックギルドマネージャー、依頼を開始する

 

「Bランクモンスターの退治なんて、でっかい仕事ありがとうございます!」


「クレイさん、僕……頑張ってきますっ!」


 ついに来てしまった次の日。


 パトリックさんが勝手に請け負った”グランオーク退治”の依頼……私が依頼書をステファンに手渡すと、彼は依頼内容に興奮し、元気よく出発してしまった。


 アルが作ってくれたオーブを手渡し、いざというときは遠慮なく使うように伝えたが……ああ、心配だ心配だ。


 サキュバスであるアルが作ってくれるマジックアイテムの効果は絶大なのだが、発動条件が人間には理解できないことが多く……今回も正確には理解できていない。


 アルいわく、「ステファンくんに”ザーマ”ちからがおよんだ時だよっ」とのことだが……多分、ピンチの際に発動するんだろう。


 グランオークの攻撃力は高い……一撃でやられなければいいが。


 私は仕事に集中できず、何度もトイレに席を立つ。

 そのたびに事務員のセレナさんが心配してくれるのだが……。


 何度目かのトイレを終え、執務室に戻ると、私用の通信水晶球がピカピカ光っているのに気づく。


 この色は……アルだ。


 なにかあったのかと心配になり、魔法通信を繋ぐ。


『にはっ! 仕事中にごめんね、クレイ』


 鮮やかなカラー映像が空中に投影される。

 普通の通信魔法では音声が精々なのだが……さすが魔族である。


「どうしたんだアル? なにかあったのか?」


『えへへ……クレイ、ステファンくんのコトが気になってるんじゃないかな~って』

『アルの魔法で、ステファンくんの様子が見れるよっ!』


 ぱぱっ!


 なんと! そんな事が出来たのか!

 アルが指をくるくる回すと、空中にもう一つの映像が映し出される。


 険しく切り立った崖の下に流れる川……王都郊外に広がる渓谷だ。

 グランオークの出現が報告された場所の近く……と、映像の端に見覚えのある栗毛の頭が映る。

 ステファンだ。


 グランオークのネストを前に出現した野良スライムを切り伏せている。

 いいぞ! 一昨日よりもさらに技の切れ味が増している。


 これならいい勝負ができるかもしれない……もう数体野良スライムを倒せれば。


 だが私の期待も空しく、ぞっとする雄叫びが渓谷に響き……紫色の体を持つ巨大なグランオークが現れた。


「な……通常の個体よりも大きいぞ?」


『あちゃ~……変異個体だね、アレ』


 アルも顔をしかめている。

 一定確率で出現する上位個体で、通常よりも強いことが多い。



 ドウンッ!



 グランオークの剛腕を回避したステファンは、覚えた剣技を駆使して攻撃を仕掛けていくが……。


「くそ、マズいな……ダメージが少なすぎる」


 ステファンの身のこなしはさらに進歩しており、グランオークの両腕に空を切らせている。

 だが、肝心の剣技にダメージがあまり乗っていない。


 まだレベルが低いので、仕方がないのだが……。


「頑張れステファン! 頑張れっ!」


 彼は善戦しているが、このままでは、スタミナが切れて相手の攻撃が当たるか、スキルポイントが尽きて何もできなくなるだろう。


 あまり無理はしたくないが……”奥の手”を使うべきか……ちらりとアルの姿を見た瞬間、執務室のドアがノックされる。


 この丁寧なノックは……セレナさんか?


「お忙しいところすみません……パトリックさんがどうしても呼んで来いと……」


 困った顔のセレナさん。


 この大変な時にっ……万一の時は直接念話を私に飛ばせとアルに伝え、急いでギルドマスター室へ向かう。



 ***  ***


「すみませんギルドマスター、もう一度お願いできますか?」


 パトリックさんが言ってきたのは、とんでもない事だった。


読んで頂きありがとうございます!

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