40 : DAY36 ギルマネージャー達、謎の敵に襲われる
「まさか……この気配は」
「”純魔族”かもしれない……なんでこんな所に?」
目の前の人型から感じる圧倒的なプレッシャーに、全身の毛穴が逆立つ。
どくん……どくん!
自分の心臓の音がやけに大きく聞こえ、【魔眼】の力をつかさどる右目の奥がズキズキと疼く。
「……えっ……なんで?」
私の背後から戸惑いを含んだアルのつぶやきが聞こえる。
恐らく、【魔】の力を感じ取れなかったことを不思議がっているのだろう。
何故なら……。
私の脳裏に、あの日の光景がよみがえる。
瀕死の重傷を負ったアルに私の左目が反応し……。
「来るっ! ギルマネさん!!」
はっ!?
追憶に浸っている場合ではない!
この場を切り抜けるために、私は魔眼の力を解放する。
純魔族相手にどこまで通じるか分からないが……奴の魔力を吸収して、少しでも弱らせることができたなら、アルとノノイがなんとかしてくれるはずだ。
「アシストは任せて!」
ヴィイイインッ!
ぱしゅん!
ノノイが牽制の閃光魔法を放つが、ヤツの手前で空間ごと歪み、あっさりと吹き散らされてしまう。
くそ、はやり純魔族に人間レベルの魔法は通じないのか。
『ほう……そちらの男、憑いているのか? 面白い……』
『だが、用があるのはそちらの出来損ないに対してでね。 いくら下級とはいえ、見逃さないことになったのだ』
『ふん、宮仕えというのは面倒なものだ』
何事もなかったようにたたずむ漆黒の人型が、なぜか笑った気がした。
同時に、ぞわりとする悪寒が右半身を襲う。
ぐっ、コイツ……なにを言ってる?
魔族は基本的には人間に不干渉のはず……言葉は悪いが、たかが下級魔族のアルをなぜ純魔族が気に掛ける?
「アルには……手を出させないぞ!」
シュウウウウウウ……
ノノイが稼いでくれた時間を利用し、魔眼の力を全開にする。
アルとノノイの魔力すら飲み込んだ全力魔眼だ。
コイツにも多少は効くことを期待したのだが……。
『少々興味深いが……まだ未熟であるな、人間』
キイインッ!
「くそっ……!」
私の魔眼が場に満ちた漆黒の人型の魔力を吸い上げ始めるが……奴の魔力は尽きることを知らない。
ミシミシと、脳みその奥、魂自体が軋む音がする。
長くは持ちそうにない。
『この後の予定が詰まっているのでな、さっさと終わりにさせてもらう』
「なにを……?」
こちらの事など全く意に介していないのか、漆黒の人型から二本の腕のようなものが伸びて目の前で交差する。
ぱんっ!
やけに間の抜けた音がした瞬間、背後から悲鳴が響く。
「あっ……うああああああああああっ!?」
「危ない、ギルマネさんっ!」
その絶叫がアルのものだと知覚した瞬間、ノノイが展開したらしきマジックシールドが私を包み……。
ズドオオオオオオオンンッ!
圧倒的な光と衝撃が坑道を揺らす……巨大な爆発に巻き込まれ、私の意識は闇に飲まれた。




