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27 : DAY25-1 ブラックギルドマネージャー、引き続き潜入捜査する

「おおおおっ! ついにでっかいシマに踏み込むんだね!

 密着! 王国警察24時!」


 特大の潜入捜査を前に、準備を整えたアルが興奮している。

 いつもの彼女と違い、濃いめのアイシャドーを散らし、シェイプチェンジの魔法で身長を伸ばしている。

 愛らしい雰囲気はそのままに、10歳ほど年齢を進めた姿……サキュバスの名にふさわしい妖艶な雰囲気をまとう。


「ああ。 今までいくつかの事件を解決してきたが、”クライマックス”にはデカい事件を持ってくるのが広報のセオリーだろう」


 なぜか最近ご機嫌絶好調で気前の良いパトリックさんに、王国警察広報活動のシメとして何かネタを持ってくるよう指示されたのだ。

 どうせなら王都の治安に貢献できることをしよう、そう考えた私は協力者として契約したマフィアの幹部シンに連絡を取り、魔麻薬の取引が行われる店を教えてもらったのだ。


 取引の実態を把握し、王国警察と連携して一斉検挙する予定である。


 潜入捜査には危険が伴うし、証拠を集める必要があるので”心眼”持ちの私とサキュバス・アルの最強コンビで挑むことにした。


「早く行こ! 早く行こクレイ! なにしろ、キメ○クができるんだよっ!?」


 ……というか、店の性質的に、彼女を連れて行くしかなかったりする。


「こらこら……本当にキ○セクしたら私が捕まるでしょうが。 ちゃんと”クスリ”は中和してくれよ?」

「あと尻尾は隠しなさい」


「は~い!」


 なにしろ、シンから教えられた店は、王都内でも特段のヤバさなのだ。


 表向きは健全?なクラブである。

 基本カップルでの入店が必要であり、イケメンと美女、ふたりのキャストが着く。


 キャストはカップルの男女それぞれに熱視線を送り……疑似NTRを楽しんで情熱を燃え上がらせた後、追加料金を払った客には秘密部屋で魔麻薬を使ったキメセ○をさせ、魔麻薬中毒に落とすという、果てしなく罪深い店である。


 NTRの背徳感からか、ハマってしまう中毒者が続出……表向き客の自由意志となっているので、店本体には王国警察も手が出せないのが実情だ。


 というか、疑似NTRクラブの時点で絶対健全じゃないと思うのだが……中毒にされずに薬物の利用実態を把握するには、魔族であるアルの協力が不可欠なのだ。


「ふぅ、それじゃ行くか……くれぐれも羽目を外し過ぎないようにな」


「らじゃ~っ! アルにはクレイしか見えてないから、何があってもあくまでプレイの一環だよ? にひひっ」


 やれやれ、彼女にとってはヤバイ潜入捜査も夜の生活のスパイスに過ぎないという事か。

 私は大人姿のアルを連れ、深夜の繁華街に繰り出すのだった。



 ***  ***


「ふふっ……お兄さん、カッコいいわよ」


 スタイル抜群の赤毛の美女が身体を寄せてくる。

 むっちりとした胸と太ももの感触。


 アルはスレンダーな体型なので、ある意味久しぶりの感覚にドギマギしてしまう。


 意外な事に、その店は繁華街の入り口に位置していた。

 高級な飲食店が入居する雑居ビルの地下1階、食事をしてそのまま遊びに行けるよう、建物内部で直接つながっている。


 なるほど、金持ちをターゲットにしているという話は本当のようだ。

 店内には10個ほどのボックスシートがあり、1組のカップルに1組のキャストが着く。


 成金カップルを装い入店した私たちは、さっそくキャストの接待を受けていた。


「このイヤリングどこで買ったの? 凄く似合ってるね」

「それに綺麗な髪……こんな素敵な女性、オレ初めて見たよ」


「ふふっ、おにーさんありがと♪」


 私の隣では金髪のイケメン青年が、アルの相手をしており、その右手が優しく彼女の髪に触れる。

 くっ……アルの髪を触っていいのは私だけなのに……!

 胸の奥を嫉妬の炎が焦がす。


「クレイ……えへへ」


 私の視線に気づいたアルが、パチンとウィンクをよこす。

 よし、今夜はめちゃくちゃ可愛がってやろう……!

 いつもと違う情愛の感情が、身体の奥を突き動かす。


 な、なるほど……これが疑似NTRというヤツか。 ハマる連中がいるのは分かるが、精神衛生上よくはない!


「ふふっ……これ以上は旦那さんに恨まれそうだ。 これはお詫びの印です」

「おふたりに良い夜を」


 ひとしきりこちらの感情を揺さぶった後、金髪の青年が琥珀色の飲み物をテーブルに置く。

 一見、薫り高いアップルシードルに見えるが……!


(……アル!)

(おっけー!)


 私はアルに目配せをし、”心眼”を発動させる。

 案の定、コイツに媚薬と魔麻薬が混ぜられているようだ。


 アルの解毒魔法が発動したことを確認し、私はグラスを傾ける。

 にやり、獲物が掛かった……そうほくそ笑む感情を背後から感じる。


 なるほど、こういう流れなわけだ。

 声を掛けてきたのはぴしりとタキシードを着こみ、上品なひげを蓄えた中年男。


「それではお客様、どうぞこちらへ……」


 私とアルが媚薬と魔麻薬に冒されたと判断したのだろう。

 中年男は蠱惑的なバリトンボイスで、奥の隠し部屋に私たちをいざなう。


 行為の後、”クスリの営業”を掛けてくるつもりだ。

 私は決定的な証拠をつかめるよう、演技を続けるのだった。


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