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24 : DAY23-1 ブラックギルドマネージャー、情報収集する

 

「こんにちは、クレイさん」


「こちらこそ、お久しぶりです。 レイトンさん」


 昼下がり、王都を貫く大河に面したオープンカフェで新聞を広げているのは、待ち合わせの相手である王国警察の警部レイトンさんだ。


 びしりとスーツを着込んだ黒髪の男性。

 30歳を過ぎた年齢のはずだが、若輩の私にも丁寧に応対してくれる。


 盛夏には多くの人でにぎわうリバーテラスも、真冬の今は歩く人もまばら。

 こっそり情報交換するには絶好のシチュエーションと言えた。


「”事件”からもう1年ですか……あの時はお世話になりました」


 コーヒーとサンドウィッチを注文し、対面の席に座る私に深々とお辞儀するレイトンさん。


「いえいえ、少し捜査に協力しただけですし……」


 1年ほど前、王国最大のマフィア、”混沌の鷹”で後継者争いが発生し、王都各所で抗争が繰り広げられた。

 最盛期には魔法使いまで動員した派手な市街戦で一般市民にも犠牲者が出たくらいだ。


 王国警察だけでは手が足りないという事で、我が”竜の牙”にも協力が要請され、”心眼”持ちの私はいくつかの潜入捜査をこなしたのだ。


 王国警察の努力もあって、抗争はいったん沈静化したが、どさくさに紛れてトップの座を射止めた当時のNo3の方針で外国マフィアとの抗争が激化しており、王国警察は心休まる暇がないと言ったところだろう。


「このクソ忙しいときに”広報活動をしろ”とか、迷惑極まりないですが予算を握っている財務大臣殿直々の指示となれば、無下にすることも出来なくて」

「お互い中間管理職は辛いですな」


 なるほど……やけに話がスムーズに進むと思っていたら、バックに財務大臣であるゲースゥ卿がいるのか。


「これからのギルドに必要とされるのは政治力! 警察にはまねできない機動力と柔軟性が我らの武器なのだよ!」などど中身のない協会広報誌の受け売りを力説していたパトリックさんは

 上手くゲースゥ卿の口車に乗せられたのだろう。


「追加予算も付いたので、精々利用させてもらおうと思いましてね」

「今ウチでマークしている人物が彼です」


 レイトンさんが一枚の魔法写真をテーブルの上に置く。


「この男は……?」


 ざっくりと切りそろえられた蒼い髪、鋭い眼差しはなかなかの男前だが、写真の中では不機嫌そうに表情をゆがめている。

 ふむ、この顔どこかで見覚えがあるような?


「男の名前はシン。 先代ボスの息子で、現ボスの元No3からは疎まれ、風俗街の元締めという汚れ仕事をやらされているそうです」


「王都警察の方で調査したところ、ボスに冷遇されてすっかりやる気をなくしているという噂です」

「”こちら側”に引き込むには最適の人物では?」

「クレイさんには”切り札”もある事ですし」


 レイトンさんは私の”心眼”、”魔眼”の力を知っている。

 いざとなれば”操る”ことも出来るし、シンも警察からではなく冒険者ギルドからの協力依頼なら受けるのではという計算があるようだ。


「”魔眼”を使うのは最終手段にしたいですか、まずは会ってみることにします」

「情報提供ありがとうございます、警部」


「いえいえクレイさん、貴方から受けた恩を思えばこれくらいなんでもありません」 

「何かありましたら遠慮なく相談してください。 それでは、私は会議がありますのでこれで」


 レイトンさんは銀貨と名刺をテーブルに置くと、さっそうとコートを着込み、警察本部がある街区へ向かっていた。


 名刺には「王都西警察部 本部長」と肩書が記されている。

 初めて会ったときは一介の警部だったのだが、いつの間にかものすごく出世していたようだ。


「さて……また繁華街で風俗店に潜入するとなると、アルを連れて行ってやらないと拗ねるだろうな」


 私は苦笑を漏らすと、アルを魔法通信で呼び出すのだった。


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