私と初恋
初恋・・・その人にとって最初の恋の意
「響〜、話聞いてる?」
初恋……、ねぇ……。
「響!話聞いて!」
「えっ!ごめん、何の話?」
私は国語辞典を閉じて友人の話を真剣に聞くことにした。
「も〜、さっきも言ったけど、柚希くんとは最近どうなのよ!」
あー、またこれかよ。
友人は私に会う度にそれを聞いてくる。
正直だるいし、これしか話題ないのかよって思う。
なので私はいつもの通りに行動をするだけである。
「あー、噂をすればなんちゃらってやつだわ。ユズに呼ばれたから行くわ。じゃーね」
私はそう言っていつもなら家に帰るんだが、今日は大学内にいるユズから本当に呼ばれたのである。
というわけで、私がいた教室からは少し遠い写真部の部室がある建物の前までやってきた。
メッセージには建物の真ん中のドアの前に立ってるように書いてあるのでそこで待つことに。
待つってほど待たされたことはユズに関してだけなら出会ってから1度もない。
ほら、もう来た。
「ひーちゃん!来てくれてありがとう!」
歩いてきたと思ったら抱きつかれるというね。
「ユズ、話があるから読んだんだよね?離れなさい」
「あ、そうなんだよ! ひーちゃんに頼みたいことがあってさ……」
何だかいつもより深刻な表情をしてるユズを見ると少し心配になる私である。
「あのね、今日からひーちゃんのお家に一緒に住んでもいい?」
予想外の出来事だ。
私の頭は沸騰してしまったようだ。
「よく分からないから一言で説明して?」
「えっと、ひーちゃんと一緒にいたいから?」
一つだけ言っておくが私とユズは付き合っていない。
ただ、家が隣同士ってだけだ。
しかもただのマンションの。
隣人。
ちなみに私は人になにか頼まれるのには弱くないがユズの頼みだけは昔から断るのが苦手である。
「仕方ない、いいよ。私も親が出張だし」