夢が叶った!
「「「おーーーーー!」」」
なんか周りがさっきとは違う騒がしさだぞ?
「「「勇者だー!」」」
「「「賢者様だー!」」」
なんで俺をみんな見る! そして近寄ってくるな! それは今すぐ試したいことがあるんだ!
こういう時はさっき使った転移魔術で逃げるに限る!
「何とか家の中まで転移できたか…… さて……」
魔王から吸い取った力と俺の研究成果を合わせる実験をこれからやろう……
肉体は簡単に変えられる。問題の心をどう調節するか……
完全に女になってしまったら俺の自我があるか怪しくなってしまう。
それはもはや別人だ。
もしせっかくの魔術の知識も忘れてしまっては、過剰なアタックをする男に護身用の魔術が使えなくなってしまう。
ここまで来たのだから徐々に俺の理想に近づけていこう。
俺の理想は変幻自在の体と心は俺の意思を残しつつその意思に対して女性の反応をする体……
まずは美人な髪は目立つロングヘアーのピンク色、胸はほどよく豊満でお腹は括れてそこに綺麗なヒップライン。
全裸でクルッと鏡の前で回ってみるがどこからどう見ても女だ。
女に変身しすぎて今更女の全裸に何も思わなくなってしまった。
ここまでは成功で問題はここから……
徐々に魔王の力で自らの心を女心に変えつつ俺の意思を保てる間を……
まずは男率八割。
俺はレフレアだを言い続けよう。
「俺はレフルアだ」
意識はハッキリしているが言葉遣いや仕草に変わりなしだからもう少し男率下げてみよう。
男率五割。
「俺はレフルアよ」
お? 変化あり! 今度は男率三割!
「私はレフレアよ」
おぉ! いい感じ! 俺の意識もあって言葉遣いが変わった。軽く部屋を走ってみよう。
走り方は……
内股気味で手を横に振っている! 魔力も感じる!
……夢が叶った! やった! よくやった俺!
これで理想の俺の人生が始まる。
もー我慢できない! この時を待っていたんだ! 趣味で買ってクローゼットに溜めていた綺麗な数々のドレスの中から真っ赤なドレスを着て街中を歩いてみよう!
いざ外へ!
と思ったけど、町は魔族のせいで大荒れで国民はどこかに避難しているようだったのを忘れていた。
倒れている人も町の建物も壊れているみたいだしいる、とりあえずそっちから手を付けるか!
とりあえずまた勇者とか賢者とかこの姿で言われたくないから、人気が少なくてこの街を一望できるバレない場所に移動しよう……
王城の地番高い所の屋根だ!
行ったことはないけどここから王城ってすぐ近くで屋根見えるから行けるかも……
まずは王城の屋根を見つめながらイメージして転移魔術を展開すれば……
はい来れた!
さて、さっきの龍の魔術を雷属性じゃなくて光属性に変えて回復魔法で次々と怪我人を回復出る気がする!
こうかな? ……おー手から暖かな光の龍がどんどん傷ついた人々を癒していく。
人は龍に任せるとして次は町の建物の復元だ。
前に女に変身できたけど男に戻れなかった時に焦って作った復元魔術で建物を何とか出来るだろう。
さすがに王都全体は難しいかな……
でも、やってみるだけやってみよう。
とりあえず元はこんな感じかなって思い浮かべて一軒を復元魔術使うと瓦礫が元に戻って行く!
成功だ!
魔力も全然使ってないし、魔王から貰った分もあるから一気に自動で王都全体を復元できるだろう!
もうイメージするのが面倒に思えてきたから適当に復元魔術! よろしく頼んだ!
ふぅ、やっと終わった。
とりあえず屋根に座って休憩しながら辺りを見渡すけど、もう薄暗くなってきて国民も王都に帰ってきているようだ。
よし! 今度こそ俺のお楽しみの時間だ……
まずは国民が王都に帰ってくる魔王たちが攻めてきた反対の南門の森に転移魔術でいどうしてその中からそっと皆に紛れて王都に入り、あたかも非難するように言われたお姫様的な位置で王都に入ろう!
紛れることには成功したけど、この格好で護衛の一人もいないお姫様設定には無理があるか……
でも周りの人の視線は俺に集まっている!
「あの綺麗な人、きっとお姫様だよね?」
「どうだろう。でも本当に美人でうらやましい……」
「ねぇ。ママ。お姫様みたいな綺麗なお姉ちゃんがいるよ?」
「あら本当に綺麗ね。きっと貴族かどこかのお姫様よ。ほら、お姉さんばかり見てないで足元に気を付けて歩きなさい」
か、い、か、ん! これだよ、これ! これを長年味わいたかった。
もし男の割合が高かったらこの綺麗な顔がにやけてやばいことになったが、逆に清々しく髪をなびかせてさらにアピールしている!
爽やかななにおいの中に甘さがあるようないい匂いするしなにこれ、すげー!
歩き方も優雅に男のように足と足の幅を広げて歩くのではなく逆に足をクロスさせるように歩く!
俺の理想そのものだよ!
王都にもすんなり入れたし今度は男だ……
入れたのはいいんだけどちょっとやばいことになっていた。
「皆さん! 魔族や魔王を単独で討ち取った勇者レフレア様を見かけたら王城に来ていただけるようにお伝えください!」
台の上で周りに言いふらしている騎士! なぜ俺だと知っている! 俺はこの王都に来て知り合いなんてほとんどいないぞ! 飯屋のおっちゃんと女物服を売ってくれるお婆ちゃんだけだぞ!
「ちょっといいかしら……」
「うわ…… めっちゃ美人……」
男受けもいいのは良い事だが今はそれどころじゃない……
「魔王を倒すような方でしたらさぞ有名な方と思うのですがレフレア様という方を私は聞いたことがなく、そのことを詳しく教えていただけませんか?」
「そ、それは大勢の騎士がレフルア様が魔王を倒していたところを見ていたのですが、その騎士の中にレフレア様と学生時代を同じクラスで過ごし見続けてすごい才能の持ち主で有名人のその人にそっくりだと数人が言っていた事がきっかけで今捜索中なのです! 住民票を調べると確かにこの王都にレフルア様が住んでいることは確かで家も訪ねたのですが留守で今こうして皆さんに呼びかけているところです!」
「……お忙しい中ありがとうございました」
な、なるほど…… 俺は学生時代の周りの人間に目を一切向けなかったが周りからは覚えられるほど認知度が高かったのか。
「あ、あの! この後ゆうしょ……」
最後まで言わせずにサラリと髪をなびかせ通り過ぎていくこの仕草……
クスッ。今の騎士どんな気持ちだろう。
とりあえず、どうせ男で顔を出したら勇者とか賢者とか言っていたからなんか厄介事が起きたら頼まれて面倒なこと巻き込まれ事しか想像できないから、もうあの男の姿は捨てて女として生きるんだ!
もともとそれが望みだったし!
さて周りは魔族に勝利した宴って感じでお酒を飲みながら喜び合う者ばかり。
ただ違う喜びも聞こえてちょっと焦った。
「あれ! 私の家が前より立派できれいな家になっている!」
「こんな立派な暖炉が出来ている!」
「建物が大きくなって二階建てが三階建てになっている!」
俺の実家って裕福なほうでお母さんが綺麗好きの影響で何となくそんなイメージしてちょっと適当にやりすぎた……
まー喜んでいるし壊れているよりはいいでしょう!
さて宴は始まっだばかり!
俺も色々と楽しみますか…… クックック。
読んでいただきありがとうございます。また明日も投降予定ですので是非読んでいただけると嬉しいです(*´▽`*)