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この世界が滅する前に。  作者: うそ
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new game

ずっと考えてた作品を文字にすることが出来て感動しています!少しでも多くの人に読んで欲しいと願うばかりです。初心者なので誤字脱字が絶対にあります!そこんところ宜しくお願いします。

秋が来た、鮮やかに色焼けした紅葉や青葉、そして太陽が沈む頃美しく広がる夕焼け。いつも見慣れた光景は・・・・・・広がってはいなかった。これも定めだったのかもしれない、地球のそして人間のエゴの。「愛せば愛は帰ってくるものですよ。」そう先生は言った。意味が分からなかった、理解しようとも思わなかった。でも・・・今なら分かるこれは人類の、私への相応の報いだったのだ。ごめんなさい、ごめんなさい、あなたたちと同じ場所に行くことをどうか、どうか許してください。


 バイクを吹かした、日頃のストレスや不満や憤怒をバイクのハンドルに預けた、今日の大空は一段と凄かった、轟音をたてながら孟スピードで誰かとレースをしてるかのように愛車を飛ばした、道路交通法なんて知った事じゃない、今気持ちいいならそれで良い。そんな甘いことを考えながらバイクの後ろに乗ってた私は大空の異変に気づいた、今日の大空は飛ばしすぎてる。大空の運転はその日の気分で決まるのだ。何があったのか知らないがこの峠の先には急カーブがあることを私は知っていた、人目がないからこんなところを走っているけどそれが裏目に出るのは御免だった。

 「大空!飛ばしすぎだよ!」

 轟音にかき消されながらも必死に声を出した、しかしどれだけ声をかけても大空は何も反応しない。

 「大空!いい加減にして飛ばしすぎだってこの先は急カーブだよ」

 頭に血がのぼっていくのが分かった、でもそうなっているのは私だけではなかった。

 「黙れ、俺のバイクにお前が乗ってるんだから主導権は俺にあるだろ、お前は黙って乗っとけ」

 忘れていた、大空は人に指摘されるのが一番嫌いだったんだ、だから学校を辞めた・・・と言うか辞めさせられたのに、墓穴を掘った。私の予想通りに大空のバイクのスピードはどんどん上がっていく、風で体が飛んでしまいそうだった、カーブが近づいてくる、死にたくない、まだ死にたくない!心のなかでそう叫びながら目を瞑る。次の瞬間思っていないことが起きた、大空の叫び声。バイクのブレーキ音。そして小動物を轢いたかのような鈍い音。頭で処理する前に体に大きな痛みが走った、バイクがクラッシュしたのだ。摩擦の痛みと熱さで一瞬気絶しそうになりながら一生懸命体の動きを止めるように動いた、カーブに行き着く前に事故を起こしてしまったのだ、体の動きが止まったことを確認すると真っ暗な闇のなか痛みに耐えながらケータイを探す、ケータイはポケットのなかで破損していた、しかしまだ電気はつくようだった。恐る恐る電源を付け辺りをゆっくりと照らす、何が起きたのか早く判明させないとパニックに陥ってしまいそうだった。視界に写り混んできたのはクラッシュしたバイクと痛みに悶える大空だった。

 「大空!大丈夫?」

体が吹っ飛んだわりにはあまり怪我をしていなかったまだ少し肌寒かったので長袖長ズボンをはいていて摩擦の脅威からは逃れることが出来たようだった。私は少し痛む右肩を押さえながら大空に近づく。もし大空の体のどこかがちぎれてたらなんてことを考えてしまい大空から少しライトを離した、その瞬間私はあるものを見て自然に吐き気に襲われてしまった。そこにあった物は人間だった、小動物なんかじゃない、人間だったのだ。吐いた気持ち悪さと何かわからない気持ちに押し付けられ涙がたくさん流れてきた。産声を上げた時以来きっとこんなに泣いたことは無いだろうと言うぐらい無意識に涙は止まることなく流れてきた。

「嘘・・・だろ」

 真後ろから大空の声がして後ろを向く、あまり大空も怪我をしてないようだった。終った私の人生も大空の人生も、こんなことで、大事だとは分かっていたけど「こんなこと」としか思えなかった。大空は倒れた人に近づき脈を淡々と測り出した。その表情を見れば死んでいると分からないはずはなかった。

 「人を殺した・・・どうしよう・・・何してんの大空?」

目を疑った大空が死体の身ぐるみを剥がしていたのだ、その大空の行動を見ながら体がフリーズして動かなかった。

 「・・・たいのか?」

大空は手を強く握りながら小さく呟いた。何を言っているのか意味が分からなかった。

 「え・・・な」

私がもう一度聞こうとする声を遮るように大空が叫んだ。

 「捕まりたいのか?」

 「え?捕まりたい?」

今の私はその言葉の意味をとらえることは出来なかった。

 「だからさぁ、もう良いのか?楽しく生きたいんじゃねーのかよ!捕まったら終わりだぜ未成年でも殺人は裁かれるんだよ、」

 「それって・・・」

 「・・・埋めるぞ」

大空はそう呟いて無表情で女の私物をすべて出して道に散らばした、メガネ。可愛いキャラクター柄のハンカチ。瓶のキーホルダー。ヘアゴムやピン。そして一枚の紙切れ。心をどこかに置いているかのようにぼうっとしていたが大空に声を掛けられて我に帰る。私はどうかしたかのようにフラフラと物体に近づき肩を持つ、目が合った・・・女と目が合った。真っ黒な死んだ目をしていた、また吐き気に襲われそうになった。するとそれを見て大空が女のハンカチを持ってきて顔にかけた。

それからは女を道路沿いの山に運び込み穴を掘って埋めるだけの単純作業だった。砂を必死にかけた、何をしているのか自分でも分からなかった、ふと女の左手を見てみると光るリングが着いていた、指輪だ。女だからかもしれないけど自然と自分の手は指輪に延びて行った。大空は証拠を残すなと言ったがこれだけはなぜか譲ることは出来なかった、女の死体を埋め終わり私はリングと女の遺留品、大空は壊れた愛車の一部を持って帰路についた、これ以外は何も覚えてない、というか思い出せない。

  この日を期に大空とは疎遠になった。

  この日を期に夜は眠れなくなった。

  この日を期に私はあの道を通らなくなった。

  この日を期に私は人殺しになった。

  ただそれだけ。



 続く・・・


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