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一人の犠牲の元  作者: 一角黒馬
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一人で絵を描く少年

もはや小説なのか、レベルに拙い文章ですが、大目に見てくだされ。

殺傷衝動に駆られる時、いつも友人の顔が思い浮かぶ。

連絡がつかず焦っていた時に、相手の家族の暗い声を聞いた時の、絶望感を思い出す。

一安心した後に一気に堕とされた時の、現実感の無さを。




優介が日向ひゅうがと初めて出会ったのは、蒸し暑い夏の日。

様々な事情を持った20歳までの人たちが友達を作る、または交流する総合病院の一室で、一人ぽつんと絵を描いていたのが、日向だった。

皆何かを抱えているとは思えない程騒いでいる中、日向だけ仲間外れをされたように椅子に座っていた。

けれど、そんなこと気にもせず微笑を浮かべて、ゆっくり手を動かしている日向には、何だか惹かれるものがあった。他人と戯れずに自分の時間を楽しむ、優しそうな表情に惹かれたのかもしれない。

体験で来ていた時は緊張や騒ぐ子供たちへの嫌悪感で、人に話しかけるなんてことは出来なかったが、次に行った時には勇気を振り絞って日向に話しかけていた。

母から「友達が出来るように頑張って」と言われたのもあるが、何より、友達のいなかった今までを変えたいという気持ちがあった。

「あの……絵、好きなの?」

日向は優介に気付き振り向いたが、一瞬きょとんとした顔をしたので、優介の小さな声が他の子供たちの声にかき消されたんじゃないかと思い、あたふたと手を動かしていたが、声はしっかり聞こえていたらしく、日向は微笑んだ。

「特別好きって訳ではないんだ。ここにいる時はいつも絵を描いているんだけど、君は好きなの?」

返事が来た事と微笑んでくれた事に一安心する。

「あ、うん。好きなんだよね……えと、話しかけちゃってごめん……」

絵が好きだということ以外に何を言えばいいのか分からなくなり、なぜか謝ってその場を去ろうとすると、日向は優介の手を掴み引き留めた。

「もう少し話さない?隣に座りなよ」

「え、あ、うん。失礼、します……」

日向の話しかたはとても分かりやすく、無理にリアクションする必要がなかった。

質問攻めをするでもなく、共感を求めるでもなく、優しい顔で語りかけてきてくれる。

少なからず緊張はしたけれど、優介はすぐに心を開いた。



日向と会話したその日から、交流場に行くのが楽しみで仕方がなかった。

まだ友達と言えるかどうか分からないが、人と関わるのがこんなにも楽しいとは知らなかった。

もし日向と友達になれたなら、どれだけ楽しいだろう。

交流場は友達を作る場所なので、精神科での入院中の友達と違って、必要最低限の個人情報なら交換しても良くて、交流場以外の場所で自由に遊んでも良い。

だから、日向と上手くいけば本当に友達というのが出来てしまうのだ。

想像するだけで心が躍る。

交流場に行ってから上機嫌な優介を、母、優子は安心したように眺めていた。

優介の機嫌が良いと優子も家事のやる気が出た。



交流場に行くのに慣れ、日向とのコミュニケーションにも慣れてきた頃。

いつも通り絵を描く日向から、外で遊ばないかと提案があった。

優介も絵を描く手を止め、日向の方に向き直った。

確かにお互いに慣れてきた頃だし、外で遊べる友達が出来てしまえば、交流場などにわざわざ来なくても良いのだ。優介も日向も他の子供たちとは一切関わることもなく、言ってしまえば二人は大して交流場にいる必要がない。

家が遠いわけでもなく、会おうと思えば簡単に会えるので、外で遊ぶと言うのは良い提案だった。

優介は考え込まずに即答した。

「そうだね」



薄目を開けて時計を見る。

今日が何月の何日で何時なのか頭に入ると、大事な約束を思い出し、心がわくわくとした。

布団から起き上がるのも、いつもより楽に感じた。

腹は空いていないが、一応朝食をとった。朝食と言っても、今の時刻はもう12時過ぎなので、正しくは昼食だ。

カリカリに焼いた食パンの上に目玉焼きとチーズを乗せたシンプルな朝食を済ませ、歯を磨き顔を洗い、寝癖のついた髪を水で濡らして元に戻し、いつもの寝間着からTシャツに短パンという簡単な格好に着替え、小さなバッグの中に何を入れるか考えた。

待ち合わせの時間は1時半。1時半から5時半まで外に出かけているとしたら。

ティッシュ、ハンカチ、水筒、一応スケッチブックと筆記用具。

このくらいだろうか。こんなに少なくて大丈夫か不安になる。外出が得意じゃない理由の一つだ。

もう一度服装と持ち物を確認し、30分くらい時間が余った。

余った時間はパソコンを使い音楽を聴いた。音楽は絵と同じくらい好きだった。楽器を弾いてみたいという気持ちもあり、バンドマンの父に教わっていた時もあったが、努力の出来ない優介には続けることが出来なかった。

30分はすぐに経った。



待ち合わせ場所の公園には既に日向がいた。

いつも通りの優しい笑顔を見ると、不安が和らぎ、落ち着くことが出来た。

日向は行きたい所を優介に聞いたが、あまり遊んだ経験のない優介はどこに行けば良いのか全く分からず、手をあたふたと動かすだけで、何も答えられなかった。

「とりあえず涼しい所に行こう」と日向は目の上に手をやって太陽の光を遮り、公園を見回した。

平日の公園には子供を連れた母親くらいしかおらず、自分たちが浮いているように感じた。


























「お前ごときが純文学?(笑)」と思うかもしれませんが、6、7割自己満足な物なので、純文学にしました。

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