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ニート・ベッド・マジシャン  作者: 氷獄鶏
眠りの森のニート
7/7

VS おっさん?

レベル1×強い魔物倒す。

するとどうなるか?

普通ならレベルが上がるはずだ。

ダン○ちみたいに

レベル毎の重みが相当重くない限り

レベルアップして当然だろう。

ということは、だ。


横たわる魔木に向かって寝具一閃(ベッドスラッシュ)を叩き込んだ。


「BEFEEEEEWU………」


ほらな。

こいつ、死んだふりしていやがったんだ。

危うく騙されるところだったぜ……

するとどこかで聞いたことあるような

ファンファーレが頭の中で響く。


―――テレテッテッテェ♪


『レベルアップしました。詳しくはステータスを御覧ください』


ついで中性的な女性の声まで聞こえてきた。

ずいぶんご丁寧にステータス確認を進めてくる。

言われるまでもなくそのつもりだがな。

ほら、ステータスオープンっと!



名前:ショウヘイ・トドサカ

職業(クラス):寝具使い Lv12

HP :2/75

MP :10/75

STR:69

INT:69

DEF:68

RMG:67

AGI:72

LUK:66

スキル:<言語習得LvMax> <寝具戦闘術 Lv1> <寝具魔法 Lv1>


おおぉ……

一気に11もレベルが上がったぞ!

魔木(こいつ)どんだけやべぇ魔物だったんだよおい……。

だがこれで簡単には死ななくなった訳だ。

しかも全体的に見て10倍近く強くなった。

上昇値から見てレベルアップ分で割ると

キリの良い値にならないから上昇量は固定じゃないっぽい?

まあいいや。

今回の戦いで肉体的にも精神的にもかなり消耗した。

こりゃ寝るしかないな。


直ぐ様ベッドを用意して俺はそのまま深い眠りに就いた―――――



■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



ドンドンドン!ドンドンドン!

ドンドンドン!ドンドンドン!


久しく聞く事の無かった騒音。

ドアを叩く音が鳴る時

いつもいつも

借金取りが扉の向こうで待ち構えているのだ。

ナイフで親に脅されて

毎回表に出るのは俺だ。

そのたび暴虐の限りを全て受け

全身ズタボロ痣だらけ。

気付けば朝になっていた――――


このときからだろうか。

数の暴力に抗うなんて無理なんだと悟ったのは―――――



■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



ドンドンドン!ドンドンドン!

ドンドンドン!ドンドンドン!


これが夢か現か分からない。

だがこの音には聞き覚えがある。

借金取りが来た時の音だ。

だけど俺は異世界で力を手に入れた。

まだまだ発展途上のちっぽけな力だが

今の俺なら借金取りのチンピラ十数人程度

どうにでもなるだろう。


気付けば右手に握られていたベッド

それを掲げ

視界に写る人影目掛けてそのまま俺は振り下ろす――――



「寝相ワリィなぁ……」

「――――え?」



唐突に声を掛けられ目が覚めた俺。

目の前には筋骨逞しいおっさんが立っていた。

片手で軽々俺のベッドを受け止めた状態で―――――



■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■



「ガハハハハッ!終わったことだ気にすんな!」

「すみません……」


悪夢を見た俺は寝ぼけておっさん殴ってしまったらしい。

もちろんベッドで。

たぶんおっさんじゃなかったら大事になっていたかもしれない。

なんだかんだでベッドはかなりの重量だ。

ついでに不壊属性疑惑というおまけ付き。

鉄の塊で殴ったも同然である。

下手すればそれ以上だ。

本当おっさんで助かったわ~。


「そういえばさっきの騒音って一体……」

「おぅ?覚えていないのかお前さん」


なんか俺が寝ている間

周りに結界が張ってあったらしい。

もしかすると安眠結果か?

しかし使った覚え全然ないぞ?

そもそも使い方すら知らないし。

ありのままを話してみると……


「分からねぇのに使えるっつぅことは余剰魔力じゃねぇかそれ?」


おっさん曰く、

魔力が全快すると

微量ながら魔力が体外へと放出されるらしいのだ。

特に寝ている時は回復量も非常に高く

放出量も顕著になるという。

ついでに言えば

魔力に不慣れな奴が急にたくさん魔力を得ると

魔法が勝手に発動することがあるらしい。


つまりだ―――


「魔力全快で寝ている間は無敵ってわけか」

「無敵かどうかは知らんが俺の全力パンチに耐えたんだ。ありゃ凄えぞ」

「全力でやったんかよ……」


閑話休題。


「そういえばおっさん。こいつ何か判るか?」


指を差す先に横たわる魔木の死骸。

おっさんは納得したように頷く。


「お前さんの地域には居なかったのか。こいつはボスデミタスっつうんだ」

「へ、へぇ~」


―――居ないも何もそもそも魔物が居ない異世界から来ました。


なんて言えるわけもなく軽く相槌打ってといた。


ってかボスデミタスってコーヒーっぽい名前だな。

確かに樹上付近を見てみれば南瓜サイズのコーヒー豆が幾つも幾つも実っている。

マジ謎ファンタジーだ……。


「このボスデミタス?って街で売れたりするのか?」

「本体自体はぶっちゃけ薪にしかならんが実は高値で取引されてるぜ」


とにかくデカイコーヒー豆。

大振りな味しそうなイメージあったが案外そうでもないのか?

意外と売れるようだし。

増々疑問が増すばかりだ……

まぁいいや。

分からないことは全部おっさんに聞けばいい。道中で。

そのためにも俺はある取引を持ちかけた。


「おっさんデミタス運ぶの手伝ってくれない?分前は売値の3割で」

「乗った!」



こうして俺は街への道案内兼情報源を手に入れたのだった―――――


ようやく街に行けます。

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