お守り
……おひさしぶりです。
更新頻度ダダ下がりですが、お許しを。
「あ!」
ミーシャが声を上げた。
「リュ、リュートくん! ポケットから何か落としましたよ!」
「あ……」
足元を見れば、お守りが落ちていた。
それはこの世界に来るまえにクラスメイトの巻田から貰ったものだ。オレにとってこれは、元の世界との繋がりを感じられる大切なアイテムだ。
「ありがとう。助かったよ」
ミーシャがそれを不思議そうな目で見ている。
「どうしたんだ?」
「あ、あの。それを少しお借りできないでしょうか?」
お守りを……? そんなに珍しいものだったのだろうか。
「ああいいよ」
手渡しすると、ミーシャはそれをまじまじと眺めていた。
……? お守りって、そんなに珍しいものなのだろうか。
それともただ単に見慣れない装飾に目を奪われているだけなのか。
「やっぱり、ただならぬ魔力を感じます」
「魔力?」
「はい。これをくれた人は相当な魔術師とお見受けしますが」
「そんなはずはないんだけど……いや、ありえるかも」
普段の巻田をイメージしてしまうと、魔術師からは遠いが、アイツは社家だと言っていた。つまり神社で神に奉仕する側こそ彼女の"普段"だったはず。
「それでなのですが、このお守りを魔道具にしてみませんか?」
「え。いいのか!」
「は、はい。も、もちろんリュートくんが許せばなんですけど!」
「ぜひお願いするよ」
巻田と交わした最後の言葉を思い出す。
――――うん! きっとご利益あるよ。
確かに、役に立ちそうだよ。巻田。
お守りを魔道具にする工程は十分ほどで終了した。
ミーシャは手際良く作業を進めていて、見ていて気持ちのよいものだった。
「どうぞ」
返されたお守りの見た目はほとんど変化していない。
「使用方法は魔力を通すだけです。効果は……呪いに対する強力な防御、です。回数は一度きりなので、使うときは気をつけてくださいね」
思いがけない出会いではあったが、ミーシャのおかげで万全の体制でセイラムに挑むことが出来そうだ。
体を動かせなくなる呪いもおそらく防げるはず。
噴水広場から離れて、待たせていたソフィアの元に戻る。
そして夕食の食材などを買い終えて、帰路に着いた。