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この青く美しい空の下で  作者: しんた
第四章 真実の愛を
95/543

登場人物紹介4

前回の紹介に少々付け足したものに、新たに登場した人物の紹介となります。

今回は王国側の人たちがいっぱいです。

そして今回も初期設定なので、適当に斜め読みしてください。

 

 ◇イリスヴァール


 魔法薬店"森の泉"の売り子兼薬師見習いで13歳の女の子。


 聖域で出会ったフィルベルグ王国の第二王女であるネヴィアと友達になり、太陽の日になるとお城でお茶をするようになった。第一王女であるネヴィアの姉シルヴィアとも友人となり、お茶にお菓子にお話にと、充実した生活をしている。


 シルヴィアの発案により、ミレイ、ロット、ネヴィア、シルヴィアたち5人で、古代遺跡と呼ばれる古城へと冒険へと出かけていった。そこはイリスにとって、とても考えさせられる場所だったようで、とても興味深く様々な経験が出来た。

 かつてそこに存在していた王国、読めないという石碑に隠された鍵、暖炉の先にある隠し部屋、宝箱に大切そうに仕舞われた白紙の書物。

 どれをとってもイリスには新鮮な気持ちで楽しめたようだ。

 その帰り際に襲撃されたスパロホゥクに狙われたネヴィアを、ぎりぎりのところで防御魔法を成功させ、護る事が出来てホッとしているようだった。

 だが、あの状況下で強力な魔法を発動させたという事の凄さに気が付いていないのは、どうやらイリスだけのようだった。


 兄のように慕っているロットと、大切なお友達の一人であるネヴィアの恋の行方が気になっていたが、急に舞い込んできたネヴィア結婚の話に驚き、その結婚相手となる人物の名前を見て、視界が歪むほどの衝撃を受けてしまう。

 訳もわからず真意を聞きに王城へと向かうも封鎖されており、確かめることは叶わなかった。


 以降は必死にロットを探し出すも、今まで見た事もないほど意気消沈したロットに上手く言葉をかける事が出来ず、どうすれば幸せになれるのかを考えていた。

 そんな折レナードに言われた、誰もが笑っていられる世界という言葉に、本気で憧れを抱くようになった。当然どうすれば良いのか、今のイリスには全くと言って良いほど分からないようだ。


 幾ら考えても一向に答えの出ないイリスは、考える事をやめ、自分の我侭を通そうと心に決める。想い合っている人同士が一緒になれないなんて間違っていると。

 ネヴィアが結婚してしまうという時刻ぎりぎりにロットを見つけたイリスは、ロットの想いを聞いた上で、我侭を通していく。

 そしてロットの説得に成功したイリスは、いざネヴィアの待つ教会へと進もうとするも、へなちょこ体力が災いしてもたついてしまう。イリスはロットへ先に言ってもらうようにして、出来る限り早く教会へと向かっていく。

 教会へと辿り着いたイリスは、既にへろへろとなっているも、ロットを押さえにかかる騎士達を阻む魔法の構築に成功する。この魔法の凄さを理解している者はその場に居た者の中で、女王と国王、それと騎士団長だけであった。


 結婚式を結果的に壊そうとしたイリスに、エリーザベトが強烈な威圧を込めてどういうつもりかを尋ねてくる。あまりの凄さにへたり込みそうになるも、イリスは自分の考えである我侭を通していく。


 それが災いして、薬師見習い兼売り子から、"教会で愛を叫ぶ聖女"と言われるようになってしまった。




 ◇ミレイ・ミルリム


 兎人種(うさぎひとしゅ)の女性でイリスの姉。現在ゴールドランク冒険者で17歳。火属性魔法の使い手の狩人(ハンター)斥候(スカウト)としても活躍できる。


 イリスとロット、それに最近友人になったシルヴィアとネヴィアの5人で、古代遺跡に向かった際、その類い稀な美しい体捌きや戦闘技術に舌を巻くほどの才能がある。


 ネヴィアとロットの関係がそこそこ進展してきたと思っていた矢先に、女王からお呼びがかかる。逢って聞いてみると、ネヴィアの為に動いて欲しいと言うものだった。

 内容を詳しく聞いてみると、自分が街を出歩かない方が良いかもしれないと判断し、王城にかくまってもらう事を決めた。

 聴覚に優れているという事と、王城はとても広いという事があり、ネヴィアに会う事は簡単に避ける事が出来たようだ。

 以降はネヴィアにばれない様にこっそりと教会でレナード達と合流し、待機してネヴィアを待っていたようだ。当然イリスが来ることも予想できていたので、ロットが登場した後に来る筈のイリスの到着をわくわくしながら待っていたそうだ。


 ロットが語る愛の告白と、イリスが愛を叫ぶ姿に顔を赤らめながら目を輝かせて見ていたという。その姿は下手な恋愛ものの演劇を見るよりもずっと面白かったようだ。

 そうとは知らないイリスは後にへこむ事になるのだが、ミレイにとってはそれすらも可愛らしく思えてしまったらしい。


 無事ネヴィアの件も片付き、レナード達と午後の鐘から午後の鐘まで飲み続けるという貴重な体験が出来て、とても楽しかったそうだ。その際に判明した酒豪っぷりに"うわばみのミレイ"と恐れられ、怖いもの知らずの自称酒豪どもがミレイと勝負を挑むも、勝てる気がしないと言うほどの凄さがあるようだ。

 負けた方が酒代を驕るという制約に、逆に美味しく飲んでいるミレイだった。




 ◇ロット・オーウェン


 世界に20人ほどしかいないと言われ、最高峰の冒険者の証であるプラチナランク冒険者のひとり。17歳の人種(ひとしゅ)の男性でイリスの兄。

 左利きで利き手に盾を、逆の手に剣を装備し、盾を主体とする防御重視の戦い方を得意としている盾戦士(フェンダー)


 古代遺跡の冒険を終えて、二人で初めて行ったケーキ屋での事が、二人の距離を一気に縮めるきっかけとなったようだ。以降はお互いにとって、とても居心地の良い相手となっていき、この人とずっと一緒に居たいと思うようになったようだ。


 そんな最中、驚愕の手紙がロットに舞い込んでくる事となる。


 誰よりも慕っているネヴィアの結婚式に招待するといった内容のものに、世界が歪んでしまった。どうすればいいのか、方法などひとつしか思いつかず、諦めるしかないと思っていたのだが、イリスに『自分に嘘はつかないで』と言われ、ネヴィアへの気持ちを抑える事が出来なくなってしまった。


 自分の想いを伝えようと教会へと乱入するロットは、イリスの協力もあってネヴィアへ想いを伝える事に成功する。


 無事ネヴィアへ想いを伝える事ができ、さてどうしようかと考えていると、その結婚式も何もかもが狂言であったと聞かされる。人生で一番驚いたのではないだろうかと思えるほどに驚愕したロットは、少々思考が落ち着いた時に自分の置かれている現状を理解する事が出来た。


 要するに、やられた、ということに。


 だがそれも自分が不甲斐ないせいである為、反論出来ずに以降はギルド地下訓練場でひたすら自身の弱い心と対峙して克服しようと必死になっているようだ。


 全ては大切な人の為に。そんな想いが、ロットにある変化を見せているようだ。




 ◇ネヴィア・フェア・フィルベルグ


 フィルベルグ王国第二王女。身長158cmの16歳人種(ひとしゅ)女性。

 巷では白い妖精と呼ばれている。水魔法の使い手。防御魔法が得意で攻撃は苦手らしい。


 鎖骨辺りまで伸びたナチュラルストレートロング。前髪は右目の上辺りで横に分けられ、顔周りの内側に少しだけ頬を包み込むように切り揃えられていてとても清楚に見え、美しい黄金の髪と黄金の瞳が更に彼女を魅力的に魅せている。


 性格は真面目でお淑やかで慎ましやか。優しく澄んだ心の持ち主で、慈しみや思いやりに溢れ、悪口も陰口も言ったことが無く、権力を振りかざしたことなど一度たりとも無い、まさに非の打ち所がない品行方正のお姫様。

 その見た目だけではなく美しい内面に心を惹かれる国民はとても多い。


 フリルをとても上品にあしらわせた白のボレロに、白に黄色がほんのり入ったエレガントビスチェドレス。髪にとめてある黄色の花のコサージュが、彼女の白く透き通るような美しい肌と流れるようなさらさらとした髪をより惹き立てている。


 誰が見ても素敵で立派な淑女の美しいお姫様で、母に似ず本当によかったと、父であるロードグランツは真顔で語る。


 イリスとミレイとは初めて会った日から意気投合しており、姉を加えた4人でお茶しながら恋バナをしたりしている。


 イリスをとても大事にしており、妹のようにも思える大切なお友達。お姫様という役柄上、友人と呼べる人はイリスとミレイが初めての友人である。

 幼少の頃に会い、以降は共に過ごしているリアーヌとお友達になりたいと思ったのだが、彼女に恐れ多いと断られ、その日は人知れずベッドで涙を流したそうだ。


 以降はお姫様扱いする者としか出会えず、もしかしたらもうお友達など出来ないかもしれないと思った矢先に、素敵なふたりと出会うことができ、いっぺんに二人もお友達が増えてかなり嬉しかったようだ。その気持ちは周りから見ても伝わるほど、表情と仕草に出ていたらしい。


 公務でリシルアとエークリオの中間にあるシグルからフィルベルグへ戻る途中、凶悪な魔物(グルーム)に襲われ、危ないところをロットに助けて貰い一目惚れをしてしまう。


 イリスとミレイ、それと姉であるシルヴィアの助力もあり、少しずつ良い関係になりそうになっていた所に、最悪とも呼べる事件が起こる。

 母である女王エリーザベトが、自分の結婚相手を決めてしまったというのだ。

 すぐさま母に確認を取るも聞く耳を持ってもらえず、更には城の外へ出歩く事も禁止されてしまった。何とか手紙だけでもとイリスへしたためたものを送ろうとするも、エリーザベトに見つかり取り上げられてしまう。

 以降は連絡を取るに取れず、呆然としながら涙を流していた日々を過ごす。


 とうとう結婚式となった運命の日。司祭の言葉に誓う事が出来ずにいる所へ、最愛の人の声が教会に響いてきた。

 振り向いたネヴィアは、嬉しいと思うよりも、どうしていいのか分からずにその場に立ち尽くしていた。


 ロットはネヴィアの元へ歩きながら、自身の想いを語っていく。

 そして正式なプロポーズまでさせてしまったネヴィアは、あまりの嬉しさに大粒の涙が止まらなかった。


 その後、その事件は女王の狂言だったと聞かされ、呆然としてしまうが、すぐにロットの傍にいられると分かり、嬉しくて嬉しくて堪らなかったようだ。


 以降は涙を流す事も無く、幸せな日々が続いている。




 ◇シルヴィア・フェア・フィルベルグ


 フィルベルグ王国第一王女。十八歳。シルバーブロンドの髪。銀の瞳。

 巷では赤い妖精と呼ばれてるらしい。


 ネヴィアの姉で妹思い。性格は明るく楽しい事と恋バナが大好き。

 大人びた顔立ちで、シックな赤いエレガントドレスが似合う女性。

 赤は彼女が好きな色らしく、好んで良く着ている。


 若かりし頃の母に憧れ、魔物をお忍びで狩っていたが、父にバレて、涙ながらにやめてくれと懇願され、仕方なくお城で大人しくしているが退屈で仕方が無いようだ。


 最近父であるロードグランツが寂しそうに見つめてくるので、ちょっと、いやかなり引き気味である。


 ネヴィアを姫ではなく、一人の女性として接してくれる友人であるイリスとミレイに興味を持ち、自分とも同じように接してもらい、友人関係になった。


 世界に憧れを抱き、冒険するのを楽しいと思っていたのだが、父の目がある為、なるべく行かないようにしていた。

 時々、父の目を盗んでは草原や浅い森程度まで護衛を付けて訪れる事もあったようだ。その際は必ず母に報告をして向かうほど、母の存在を絶対的に信じていた。

 憧れの女性の理想像がエリーザベトなので、母のように気高く、美しく、強くありたいと常日頃から思っている。


 友人になったイリスとミレイにお願いして、ロットとネヴィアを仲良くさせようという名目で、古代遺跡まで冒険に行った経緯があり、その時のあまりにきらきらと瞳に映る世界に再び憧れを抱き、もし王女でなかったのなら冒険者として毎日を過ごしていたのかもしれないと、叶わぬ願いを抱いてしまっていた。

 王女である以上は公務を放棄するわけにも行かず、そんな事出来る訳が無いと理解していても、イリス達とこうして冒険に出て過ごしたいと願わずにはいられないほどの憧れを抱いてしまった。


 5歳の頃に母主催で行われたお茶会に呼ばれたエミーリオの才筆の片鱗に惚れてしまい、以降は手紙の遣り取りをしながらエミーリオへの想いを募らせていった。

 15歳の春にエミーリオから綴られた愛の言葉に、涙しながら笑顔で答えるシルヴィアは、とても美しく淑やかな表情だったという。


 プロポーズされた日に真っ先に憧れの母に報告をして、以降は親公認の婚約者(フィアンセ)の間柄となる。


 ネヴィアの幸せの為にと母が考えた作戦に二つ返事で賛同し、以降はエミーリオを花婿の代役として立てるも、愛する人が演技とはいえ妹の婿として並ぶ姿に、胸が張り裂けそうな想いをしていた。結局最後は我慢できず、自分でばらしてしまうというとても可愛らしい面を見せる。


 楽しい事が大好きで我の強そうな面を見せるが、実際はとても穏やかでお淑やかな淑女である。冒険となると楽しいあまりにうきうきと気分が高まってしまうらしいが、いざ魔物と戦う際は一気に真面目な顔になる。

 その姿はかつての女王エリーザベトを髣髴とさせるものを感じると、騎士団長のルイーゼは語る。




 ◇ロードグランツ・フェル・フィルベルグ


 フィルベルグ王国の国王様。三十八歳。銀の髪に銀の瞳。

 王族の男性はミドルネームがフェルに、女性はフェアになるそうだ。

 元プラチナランク冒険者であり、元々王族の血は流れていない。

 国王に即位する前に冒険者ランクを返上している。


 森で休んでいる所を魔物に襲撃され、エリーザベト()助けられるという運命的な出会いをした。

 その後もよくエリーザベトの守護という名のおもり(・・・)に任命されられていた。ちなみにこれは彼女の命令である。


 女性に対しては小心者で、エリーザベトにプロポーズされた(・・・)時も怖くて断れなかったという。無論そんなことは伝わらず、いつの間にか結婚をして、いつの間にか国王様の椅子に座っていた。


「貴方迫力ないんだからお髭でも生やしなさい」と妻に言われ、言われるがままちょこんと髭を生やしている。


 最近お年頃の愛娘達が、そろそろ嫁に行ってしまうのではないかと思っただけで涙が出てくるような、とても元プラチナランク冒険者で活躍していた人とは思えない優しい人だが、戦闘となるとランクに恥じない働きを見せる。


 現在は王様という立場上、戦うことはなくなったようだ。

 もともと好きで戦っていた訳ではない為に、冒険者を辞めてからは生き生きとしていたらしいのだが、最近では愛娘達の件で気が気ではないらしく、できるならこのままお嫁に行かず、ずっとお城にいて欲しいと思っているようだが、エリーザベトから驚愕の偽装婚儀の話を聞き、色んな意味で焦ったようだ。


 無事にネヴィアは想い人と婚約をする事が出来たようで安心する反面、可愛い可愛い娘がお嫁に行く事実を否定する、とても子供らしい一面を見せる。


 偽装婚儀の日の夜に、エリーザベトへ駄々をこねまくった人物である。




 ◇エリーザベト・フェア・フィルベルグ


 フィルベルグ王国の現女王。三十六歳。金の髪、金の瞳。

 先王であるクロード・フェア・フィルベルグのひとり娘で、おてんばという言葉が生ぬるい豪快な人。


 若かりし頃はよくお忍びで外に出ては狩りと称して魔物を狩る遊び(・・)をしていた。

 白く輝く美しいドレスアーマーを着ていた為、かなり目立っていたのだが、本人からするとそれでもお忍びだったらしい。


 とんでもない豪傑で、当時プラチナランク冒険者だったロードグランツが、魔物に大怪我をされてギルドに運ばれて来たのを見て、目の色を変えながらギルドを飛び出し、単独でその魔物を襲撃し見事勝利してみせた。

 当時親衛隊であったルイーゼも直ぐに全力で追いかけたのだが、追いつくどころか見失うまで離されてしまい、追いついた頃には全てが終わった後となり、ルイーゼは本気で焦ったようだ。


 戻ってきた時の彼女の真っ白なドレスアーマーは、返り血を浴びて真っ赤に染まっており、"鮮血の戦姫(ブラッディプリンセス)"と呼ばれ、血を浴びても尚美しく気高い凛としたその佇まいに、女性冒険者から絶大な支持を受け、男性冒険者からは恐れられた。


 返り血を浴びたままロードグランツの所へ向かい、無表情で彼の胸倉を掴み

 「私と結婚しなさい」とプロポーズした事は、今や伝説になりつつある。

 ちなみに場所は賑わっている冒険者ギルド内である。

 黄色い声を上げる女性冒険者達と、血の気が引く音のした男性冒険者達でギルドは溢れ返っていたという。


 結婚して王妃になってからは狩りもする事も無く、随分と大人しくなった。

 二人の娘を王妃付きの侍女や乳母に一切任さず、自分の手でしっかりと育てた。

 娘達に対しては女神の様な優しい微笑を見せる人で、そんなエリーザベトの顔を見た事がないロードグランツは、その様子を見て泡を吹いて意識を失ったらしい。


 ネヴィアとロットの関係をしっかりと把握した上で、このままでは一向に進展しないと判断した。他国の要人からネヴィアに求婚の手紙が届きまくっていたという件もあり、丁度良い機会なので二人の気持ちを気づかせようとした。


 作戦は上手く成功し、満足気のようだ。


 イリスの才覚を見出し、その力の大きさを危惧した人物。

 充填法(チャージ)と呼ばれるフィルベルグ王国の秘術を、独学で見つけてしまったイリスに驚愕するも、その使用方法をイリスと娘達へと教えていく。

 本来であれば娘のどちらかが王位を継承した後に話す予定ではあったのだが、イリスが図書館の魔法書のみでそれに至ってしまい、話さざるを得なかった。


 偽装婚儀の日に目の当たりにしたイリスの魔法に、やはりという確信じみたものを感じたようだ。その時の彼女が言う面白いものとは宰相ロドルフの対応でなく、イリスの魔法そのものだった。騎士を阻んだあの魔法の真意に気がついているのは、女王と国王、そしてルイーゼだけである。

 既に現状出来得るだろうという話をイリスに伝え、充填法(チャージ)以上の強大な力を使わないようにと釘を刺した。


 ちなみに先王であるクロードは、娘の結婚と同時にめんどくさい王の座をさっさと退位し、現在では愛する妻シャーロットと悠々自適に過ごしているらしい。




 ◇ルイーゼ・プリシーラ


 フィルベルグ王国騎士団団長。

 綺麗に切り揃えられたゴールデン・ブラウニッシュ・ブロンドのショートヘアに薄い青い瞳。

 騎士とは思えないような優しい瞳で35歳の既婚者女性。可愛らしいとも言える表情からは伺えないほどの実力者で、王族や部下達からの信頼が厚い。


 若かりし頃、エリーザベトの親衛隊を勤めた女性でプライベートでも親交がある。元々は可愛いひとり娘の護衛という名目のお目付け役として先王クロードから任命された。


 エリーザベトが途轍もなく強い為、周囲からは形だけの親衛隊と思われていたが、物凄く強い人である。

 現在はフィルベルグ王国騎士団長となり、兵士育成に力を注いでいる。


 自身の努力は怠らず、兵士育成に精力的に指導に当たる彼女の育成方針は、根性論ではなく理に適った育成法で、最近めきめきと兵士が強くなっているらしい。


 無理をさせない、怪我をさせない、怒鳴らない、確実にじっくりと、兵士それぞれにあった方法を考え育てるタイプで、才能なしと言われるような兵士でも決して見捨てない。それ故、部下からの信頼は絶大である。


 白銀の鎧に剣と盾で戦うスタイル。冒険者で言うならば盾戦士(フェンダー)に相当する。

 あくまで指揮官である為、直接戦う事は最近は稀であるが、それは部下の育成に力を注いでいるからである。その強さはかなりのもので、冒険者登録はしていないが、文句なくプラチナランクになれるであろう実力者。


 主人である元親衛隊で同僚のマーティン・クレバーに、どうやってプロポーズしたらいいかを悩んでいた所、エリーザベトが勧めた"プロポーズ大作戦"を試してみるもマーティンに失神され、涙目でおろおろした可愛い人でもある。

 マーティンが目覚めた後、普通に告白したら普通に結婚できたらしい。その後、その話をエリーザベトにすると、扇で口を隠しつつ怪訝な顔で『おかしいわね、(わたくし)は成功したのに』と言っていた。


 ルイーゼは貴族の出身者であるため、夫は婿養子となる。

 プリシーラ家は代々王国の剣となり、盾となり、国民を守り続ける者を多く輩出して来た名門家ではあるが、ルイーゼはそれに甘んじることなく、日々鍛錬を欠かさない。




 ◇エミーリオ・ヴァレンテ


 フィルベルグ王国でも一二を争う貴族であるヴァレンテ家の次男。18歳。


 身体は少々細く、170センルほどはある身長の男性としては、かなり華奢と言える。薄い栗毛で細い髪は顔を動かすだけでさらさらと動き、穏やかな薄茶色の瞳がそれをより一層際立てていた。


 元々才筆のある家系で、多くの学者や研究者などを輩出して来た名門家である。

 エミーリオ自身もかなりの文才があり、世に出せば多くの人に支持されるような作品を生み出す才能を持っている。

 その片鱗は幼い頃に招待された女王主催のお茶会の際、シルヴィアと初めて話をしただけで、彼女を惚れさせるほどの素敵な言葉を口に出したと言う。当時、彼らは5歳だった。


 以降は文通の遣り取りをしながら、シルヴィアに想いを募らせていったようだ。

 15歳となった事をきっかけに、一度王城のシルヴィアを尋ね、面と向かって告白をした経緯がある。シルヴィアはその言葉を聞いて、瞳に涙を溢れんばかりにため、一言『はい』と言うのが精一杯なほど嬉しかったようだ。

 その時の言葉はまるで星空のようにきらきらと輝いていたと、後にシルヴィアは語っている。


 性格は至って温厚。まるでロットの性格を更に穏やかにした心持ちで、ゆっくりと話すその口調はとても物静かで丁寧。

 怒っている所を見たことが無く、笑顔の絶えない心優しい男性。


 ネヴィアとロットの件で義妹(いもうと)の為になるのならと、二つ返事で了承してくれた。




 ◇リアーヌ・ラフォレ


 フィルベルグ王国王室メイド副長兼第二王女付き侍女長。

 ネヴィア付きメイドとして彼女の身の回りの世話をしている。


 身長165センチ。痩せ気味でスタイル抜群の女性で20歳。

 薄い金色のショートヘアに黄色がかった金の瞳。


 足元を隠すほど長いロングスカートに、とても品良く誇張し過ぎないフリルをあしらえた真っ白なエプロンと、白くシンプルなヘッドドレスを頭につけたメイド服を身に纏っている。


 真面目すぎる性格で、その仕事ぶりは丁寧かつ完璧にこなす。

 表情を出すことがあまり得意ではないらしく、見た目では冷たい印象を持たれる事もあるのだが、誰よりもネヴィアの為に尽力してくれる彼女を、ネヴィアは心からの信頼を寄せていた。


 ネヴィアが幼少の頃から近くでお世話をしてくれる彼女を"最初のお友達"にしたがったネヴィアに、それはとても恐れ多い事なので、という理由で断ってしまう堅物さん。


 この国は王制ではあるもののそこまで王室が権力を握っておらず、基本的にこの国は宰相であるロドルフを含めた数人の閣僚と騎士団、ギルドによって護られているといっても過言ではない。

 王族とは国の象徴であり、歴代王族を全て含めても権力を誇示する輩は史上存在していない。故に、メイドや平民だからという理由なだけで、友人を作れないわけでは決してない。


 だが、あまりにもこの国の王女様達が大事にされ過ぎているせいで、ネヴィアも姉であるシルヴィアも友人と呼べる人を作ることが出来ないでいた。


 それは母であるエリーザベトも同じではあったのだが、歳が近く幼少からの付き合いであるルイーゼとは親交を持つことができ、現在でもその関係が続いているのを二人の王女はとても羨ましがっているようだ。


 それでもずっとネヴィアの傍にいてくれる彼女の事を、いつかは本当の友人関係になれることをネヴィアは今も夢見ているようだ。




 ◇ロドルフ・ブアン


 フィルベルグ王国政務官。国務大臣や宰相などとも呼ばれるが、正しくは政務官。年齢46歳、男性。

 主に国内外の政策や企画に参画し政務を担当し、より良く国民が平和に過ごせるよう日々仕事に勤しんでいる。

 相当の堅物で真面目過ぎるとよくエリーザベトに苦言されている。


 王国騎士団とギルドの間を掛け持ち、ロドルフの指示がなければ騎士団も勝手に動けないようになっている。

 これは騎士団の独断専行を避けるためである。当然彼だけでの独断も出来ないようになっており、騎士団を動かす際は必ず王か女王の承認が必要となっている。


 だがこれはあくまで形式だけであり、現在騎士団を動かす理由は魔物に対してのみである為、現在フィルベルグ王国騎士団は訓練が主な任務となっている。


 詰まるところ彼は書類整理という雑務をひたすらこなす仕事を日々過ごしている。王や女王はあまり手伝わないため、その内過労で倒れてしまうかもしれないと、近くで勤務しているメイドは語っていた。




 基本設定は登場人物紹介3と同じになる為、削除させて頂きました。もし、詳しい設定を知りたい方がいらっしゃいましたら、お手数ですが登場人物紹介3をご覧頂けると嬉しく思います。


 新章突入で気持ちを新たにしたい所なんですが、あまりの眠さに気持ちを新たにする前に、泥のように眠りたいです。



ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。


日付変更である0時に、次回のお話を予約掲載させて頂きました。

もしよろしければまたお読みになって頂けるととても嬉しく思います。


『小説家になろう 勝手にランキング』 

 さんに登録させて頂いております。


 もし宜しければ、下にある文字をぽちっとして頂けると筆者は喜びのあまり、

しばらくお待ちくださいのテレビ画面に、しんたが小躍りしながら現れます。


1ぽちっと1ぱぱっと! です。



 以前、1話から10話であるイリスの旅立ちまでのお話を、加筆修正を加え短編作品として投稿させて頂きました。その短編作品を強引ではありますが、切りの良いところで分割し本編の作品としても修正を加えてあります。

 初期状態とは大分違うと思われますので、宜しければご覧頂ければと思います。



 あと1時間ほどで、第5章を気持ち新たに初めて行きたいのですが、気持ちを新たにする前に眠気をどうにかして欲しいです。

 さすがに今日はこのまま寝させて頂きます。活動報告も明日の公開とさせて頂きますね。


それではみなさま、おやすみなさいませ。 



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